勾留とは?要件・期間・延長と、準抗告で争う方法
2026/10/07
勾留とは、逮捕に続いて、裁判官が被疑者の身体拘束の継続を認める処分であり、勾留の請求をした日から原則10日、延長を含めて最長20日である(刑事訴訟法207条、208条)。
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この記事の要点
- 逮捕から最長72時間以内に勾留が請求され、認められると原則10日、延長で最長20日となる。逮捕からの合計は、最長23日である。
- 勾留には、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由に加え、住居不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれのいずれかが必要である(刑事訴訟法60条1項)。
- 勾留に不服があるときは、準抗告(刑事訴訟法429条1項2号)、勾留の取消請求(同法87条)、勾留理由開示(同法82条)などの方法がある。
- 外国籍の方は、勾留されたこと自体は退去強制事由ではないが、在留期限の管理と、刑事手続と並行して進む入管の手続への対応が必要になる。
勾留とは何か?
勾留とは、逮捕された被疑者について、裁判官が、引き続き身体を拘束することを認める処分である。
逮捕は、警察などが裁判官の令状によって行う短期間の身体拘束である。勾留は、その後に検察官が裁判官へ請求し、裁判官が判断する。起訴前の被疑者の勾留は、裁判所と同一の権限を有する裁判官が行う(刑事訴訟法207条1項)。
起訴された後は、被告人としての勾留に切り替わり、期間は公訴の提起があった日から2か月で、必要があれば1か月ごとに更新される(同法60条2項)。
逮捕から勾留までの時間制限はどうなっているのか?
逮捕後は、48時間以内に検察官へ送致され、さらに24時間以内(逮捕から通算72時間まで)に勾留が請求され、この制限を超えると釈放される。
勾留の期間は、勾留の請求をした日から10日以内で、やむを得ない事由があれば、検察官の請求により、通じて10日まで延長できる(刑事訴訟法208条)。
| 段階 | 時間・期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 逮捕後、検察官へ送致 | 身体拘束から48時間以内 | 刑事訴訟法203条1項 |
| 検察官が勾留を請求 | 送致を受けてから24時間以内(身体拘束から72時間まで) | 同法205条1項・2項 |
| 勾留 | 請求の日から10日以内 | 同法208条1項 |
| 勾留の延長 | やむを得ない事由があるとき、通じて10日まで | 同法208条2項 |
| 合計 | 逮捕から最長23日 | 同法203条から208条まで |
勾留が認められる要件は何か?
勾留には、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由に加え、住居不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれのいずれかが必要であり、勾留の必要性も判断される。
刑事訴訟法60条1項は、「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」がある場合で、次の3つのいずれかにあたるときに、勾留できると定める。この規定は、被疑者の勾留にも及ぶ(同法207条1項)。
このほか、勾留の理由とは別に、勾留の必要がなくなったときは勾留が取り消される(同法87条1項)ことから、勾留には必要性も求められる。実務上は、事件の軽重や、身体拘束による不利益との比較で判断される。罰金30万円以下などの軽い罪(刑法等以外の罪は当分の間2万円以下)は、住居不定の場合に限られる(同法60条3項)。
- 被疑者が定まった住居を有しないとき(1号)
- 被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき(2号)
- 被疑者が逃亡し、又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき(3号)
勾留中の取調べや接見はどうなるのか?
勾留中も黙秘権は保障され、弁護人とは立会人なしで接見できるが、家族との面会は接見禁止により制限される場合がある。
逮捕・勾留されている被疑者は、取調べのための出頭や滞留を拒めない(刑事訴訟法198条1項ただし書)。その一方で、自己の意思に反して供述する必要はない(同条2項)。供述する内容は、弁護人と相談して決める。
弁護人は、立会人なしで被疑者と接見できる(同法39条1項)。捜査機関が日時を指定することはあるが、防御の準備をする権利を不当に制限してはならない(同条3項)。
裁判官は、逃亡や罪証隠滅のおそれがあるときは、弁護人以外との接見を禁止できる(同法81条、207条1項)。勾留状が発せられた被疑者は、貧困その他の事由により弁護人を選任できないときは、請求により国選弁護人を付けてもらえる(同法37条の2)。逮捕のみの段階では、この制度は使えない。
勾留に対して争う方法は何か?
勾留を争う方法には、準抗告、勾留の取消請求、勾留理由開示、勾留請求に対する意見書の提出があり、目的と時期が異なる。
どの方法を選ぶかは、勾留の理由や必要性の事情を踏まえて、弁護人が判断する。勾留請求の段階では、勾留の要件がないことを意見書で裁判官に伝えることもある。
| 方法 | 目的 | 根拠 |
|---|---|---|
| 準抗告 | 勾留の裁判そのものの取消し・変更を求める | 刑事訴訟法429条1項2号 |
| 勾留の取消請求 | 勾留の理由や必要がなくなったとして、取消しを求める | 同法87条、207条1項 |
| 勾留理由開示 | 公開の法廷で、裁判官に勾留の理由を明らかにさせる | 同法82条から86条まで、207条1項 |
| 意見書の提出 | 勾留請求の段階で、勾留の要件がないことを伝える | 法律上の定めのない実務上の方法 |
準抗告とはどのような手続なのか?
準抗告とは、裁判官がした勾留の裁判に不服がある者が、その取消し・変更を求める手続であり、地方裁判所の合議体が判断する(刑事訴訟法429条)。
勾留に関する裁判は、準抗告の対象である(刑事訴訟法429条1項2号)。請求先は、簡易裁判所の裁判官がした裁判については管轄地方裁判所、それ以外の裁判官がした裁判についてはその裁判官の所属する裁判所であり、合議体で決定される(同条4項)。
ただし、勾留については、「犯罪の嫌疑がないことを理由として抗告をすることはできない」(同法420条3項、429条2項)。このため、準抗告では、勾留の理由(住居不定・罪証隠滅・逃亡のおそれ)や必要性がないことが主な理由となる。勾留の延長の裁判も、勾留に関する裁判として争える場合がある。
外国籍の方は在留資格にどう影響するのか?
勾留されたこと自体は入管法24条の退去強制事由ではないが、在留期限の管理と、刑事手続と並行して進む入管の手続への対応が必要になる。
勾留中に在留期間が満了する場合、更新の手続をしないまま期間を過ぎると、不法残留(入管法24条4号ロ)にあたるおそれがある。更新の手続(同法21条)をどうするかを、早い段階で検討する必要がある。
刑事手続が行われていても、入管は、退去強制対象者に該当する外国人について、退去強制の手続を進めることができる(同法63条1項)。退去強制令書が発付されても、その執行は刑事手続が終了した後である(同条2項)。
また、逃亡のおそれの判断では、住居、仕事、家族、在留資格の状況が考慮されるため、在留期限が切れている場合や、身元を引き受ける人がいない場合は、勾留が認められやすくなることがある。
弁護士に相談すべきタイミングはいつか?
勾留の判断は逮捕から最長3日以内に出るため、逮捕の連絡を受けた時点で、できるだけ早く弁護士に相談するのが望ましい。
勾留が決まる前なら、意見書で勾留の要件がないことを裁判官に伝えられ、決まった後も準抗告を検討できる。被疑者の配偶者、直系の親族、兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任できるため(刑事訴訟法30条2項)、家族が中国にいる場合も、微信などで連絡を取って依頼できる。
弁護士を選ぶ際は、次の点が確認の目安になる。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区、弁護士松村大介・第一東京弁護士会)は、中国語での相談に対応しており、専属通訳が常駐し、中国律師も在籍している。外国人の刑事事件と入管手続(在留特別許可・退去強制)を扱っている。
- 中国語で直接説明を受けられるか。
- 身体拘束されている場合に、早期に接見へ行ける体制か。
- 刑事事件と入管手続の両方を扱っているか。
- 見通しとリスクを、断定せずに説明してくれるか。
よくある質問
勾留は最長で何日ですか。
勾留の請求をした日から原則10日、やむを得ない事由があれば通じて10日まで延長でき、最長20日である(刑事訴訟法208条)。逮捕後の時間を含めると、逮捕から最長23日となる。
勾留中、家族は面会できますか。
接見禁止が付いていなければ、面会できる場合がある。接見禁止(同法81条、207条1項)が付くと、弁護人以外とは原則として面会できない。面会の時間や回数は、収容先の規則による。
勾留に納得できないとき、どうすればよいですか。
準抗告(刑事訴訟法429条1項2号)、勾留の取消請求(同法87条)、勾留理由開示(同法82条)などの方法がある。どの方法が適しているかは、弁護人と相談して決める。
勾留されると、在留資格はすぐに取り消されますか。
勾留されたこと自体は、入管法24条の退去強制事由ではなく、直ちに在留資格が失われるわけではない。ただし、在留期限が近い場合や、他の退去強制事由がある場合は、別の対応が必要になる。個別の事情による。
根拠条文・出典
- 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)60条、81条、82条、87条、198条、203条、205条、207条、208条、208条の2、37条の2、39条、420条、429条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/)
- 出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)21条、24条4号ロ、63条(e-Gov法令検索)
- 刑事訴訟法30条2項(独立して選任できる弁護人の選任権者)(e-Gov法令検索)
- 日本国憲法38条1項(黙秘権)(e-Gov法令検索)
ご相談について
ご家族が逮捕された、警察から呼び出しを受けた、という場合は、早い段階でご連絡ください。中国語でのご相談に対応しています(専属通訳が常駐)。微信(WeChat)ID:matsumura1119。中国人の刑事事件|刑事事件と在留資格|お問い合わせ
最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077) 舟渡国際法律事務所(東京都豊島区) 微信ID:matsumura1119
本記事は一般的な法律情報であり、個別の事案の結論は具体的な事情によって異なる。
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