外国人が逮捕された直後の72時間は何が起きるのか
2026/10/07
逮捕後の72時間とは、警察での弁解の聴取、検察官への送致、裁判官による勾留の判断までが進む期間であり、この間の対応がその後の身体拘束の長さや在留資格の問題に影響する場合がある(刑事訴訟法203条・205条)。
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この記事の要点
- 警察は逮捕から48時間以内に検察官へ送致し、検察官は受け取りから24時間以内、かつ身体拘束から通算72時間以内に勾留を請求するか釈放する(刑訴203条・205条)。
- 勾留は10日間で、やむを得ない事由があれば最大10日延長される。逮捕からの身体拘束は最長で約23日になり得る(刑訴208条)。
- 配偶者・直系の親族・兄弟姉妹は、本人とは独立して弁護人を選任できる(刑訴30条2項)。
- 外国籍の場合、刑事手続と並行して入管法上の手続が進むことがあるため、早い段階で見通しを確認する必要がある。
逮捕された直後の72時間は、どのような流れで進むのか
警察の48時間、検察官の24時間という時間制限があり、通算72時間以内に勾留請求か釈放かが決まる。
逮捕された被疑者は、まず警察で犯罪事実の要旨と弁護人を選任できる旨を告げられ、弁解の機会が与えられる。留置の必要がないと判断されれば釈放され、必要があるとされれば、身体拘束から48時間以内に書類・証拠物とともに検察官へ送致される(刑訴203条1項)。
検察官は被疑者を受け取ると、あらためて弁解の機会を与え、受け取りから24時間以内に裁判官へ勾留を請求する。ただしこの24時間も、身体拘束から通算72時間を超えることはできない(刑訴205条1項・2項)。この制限内に勾留請求も起訴もされなければ、直ちに釈放される(同条4項)。
| 段階 | 時間制限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 警察から検察官への送致 | 身体拘束から48時間以内 | 刑訴203条1項 |
| 検察官による勾留請求 | 受け取りから24時間以内(通算72時間以内) | 刑訴205条1項・2項 |
| 勾留期間 | 10日(やむを得ない事由があれば最大10日延長) | 刑訴208条 |
警察での最初の手続(弁解の聴取)では何が行われるのか
逮捕直後に犯罪事実の要旨と弁護人選任権が告げられ、取調べが始まるため、供述の内容は早い段階から記録に残る。
警察官は、犯罪事実の要旨と弁護人を選任できる旨を告げるにあたり、弁護士・弁護士法人・弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨とその申出先も教示しなければならない(刑訴203条1項・3項)。
日本語に通じない外国人を取り調べる場合、警察官は原則として通訳人を介して行うものとされている。ただし、現行犯逮捕など直ちに通訳人を付けることが困難なときは例外がある。また、その外国人の理解する言語に通じた警察官が自ら取り調べる場合も、この規定の対象外である(犯罪捜査規範233条1項)。
勾留とは何か、どのような場合に認められるのか
勾留は、住居不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれのいずれかがあると裁判官が判断した場合に認められる。
勾留請求を受けた裁判官は、被疑者に被疑事件を告げ、弁護人を選任できる旨などを告げたうえで判断する。勾留の理由がないと認めるときは、勾留状を発せず、直ちに釈放を命じる(刑訴207条)。
勾留の要件は、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、住居不定、罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由、逃亡を疑うに足りる相当な理由のいずれかに当たることである(刑訴60条1項。207条1項により被疑者にも準用される)。
外国籍の方の場合、日本国内の住居や身元を示す資料、家族や勤務先との関係などが、逃亡のおそれの判断に関わる場合がある。弁護人が勾留請求の前後に、これらの事情を意見書や資料にまとめて裁判官に示すことが考えられる。なお、日本の保釈は起訴後の制度であり、起訴前の被疑者には認められない(刑訴207条1項ただし書)。中国の取保候審と同じ制度ではない点に注意が必要である。
勾留が決まった後は、起訴・不起訴・釈放のどれになるのか
勾留期間の満了までに、検察官が起訴するか、不起訴として釈放するかを決める。結果は事案ごとに異なる。
検察官は、犯人の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重・情状、犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる(起訴猶予。刑訴248条)。
勾留決定に不服がある場合は、準抗告によりその取消しまたは変更を請求できる(刑訴429条1項2号)。また、勾留の理由や必要がなくなったときは、親族なども勾留の取消しを請求できる(刑訴87条、207条1項)。どの手段が適切かは、事案の内容による。
家族は、逮捕直後にどのような行動をとれるのか
家族は、事実確認、弁護人の選任、必要な書類や連絡先の整理といった行動をとれる。面会は制限される場合がある。
配偶者、直系の親族、兄弟姉妹は、被疑者から独立して弁護人を選任できる(刑訴30条2項)。恋人や友人は、この規定には含まれない。弁護士は、立会人なく被疑者と接見できる(刑訴39条1項)。
家族本人の面会については、逮捕直後は認められない場合があり、勾留後も裁判官が接見等禁止の決定をすると、弁護人以外とは面会できなくなる場合がある(刑訴81条、207条1項)。
外国籍の方は、逮捕・勾留によって在留資格にどう影響するのか
逮捕や勾留そのものですぐ在留資格が失われるわけではないが、罪名や刑の内容によっては退去強制の対象となる場合がある。
退去強制の対象となり得る外国人について刑事手続が行われている場合、入管当局は、その者を収容しないときでも、退去強制の手続を進めることができる(入管法63条1項)。刑事手続と入管手続は、別々に進み得る。
不法入国・不法残留など入管法70条の罪の被疑者については、収容令書が発付されたときなどに、検察官への送致に代えて、48時間以内に入国警備官への引渡しなどの措置がとられる場合がある(入管法65条)。
有罪判決後は、罪名と刑の内容によって、退去強制事由に当たるかどうかが変わる。拘禁刑の全部執行猶予の言渡しを受けた場合は、24条4号リの対象から除かれる。他方、薬物関係の罪は有罪判決のみで4号チに当たり得る。最終的な見通しは個別事情による。
また、勾留中に在留期間が満了する場合は、更新や変更の申請が必要になることがある(入管法20条・21条)。期限を過ぎると不法残留になるおそれがあるため、早めに確認することが望ましい。
| 場面 | 関係する入管法の規定 | 影響の概要 |
|---|---|---|
| 勾留中に在留期間が満了する | 20条・21条 | 更新・変更の申請が必要になる場合がある |
| 1年を超える拘禁刑 | 24条4号リ | 全部執行猶予の言渡しを受けた場合は対象から除かれる |
| 薬物関係の罪で有罪判決 | 24条4号チ | 罰金や執行猶予でも対象となり得る |
| 不法残留・不法入国等の被疑事件 | 65条・70条 | 入国警備官への引渡し等の措置がとられる場合がある |
弁護士に相談すべきタイミングはいつか
逮捕の連絡を受けた時点がもっとも早い相談の機会であり、勾留請求の前に動けるほど選択肢が多い。
勾留の判断は逮捕から72時間以内に行われるため、この時間内に弁護人が本人と接見し、取調べへの対応や資料の準備を行うことに意味がある。在留資格に関する見通しも、早い段階で確認しておく方がよい。
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の弁護士 松村大介は、中国語での相談に対応しており、専属通訳が常駐し、中国律師も在籍している。外国人の刑事事件と入管手続を扱っている。
よくある質問
逮捕された家族に、すぐ会うことはできますか。
逮捕直後は面会が認められない場合があり、勾留後も接見等禁止の決定が付くと弁護人以外は面会できなくなる場合がある。弁護士は立会人なく接見できるため(刑訴39条1項)、まず弁護士を通じて本人の状況を確認する方法がある。
逮捕されると、すぐ強制送還されますか。
逮捕や勾留だけで直ちに強制送還が決まるわけではない。ただし、罪名や刑の内容、在留資格によっては、刑事手続と並行して退去強制の手続が進むことがある(入管法63条1項、24条)。個別事情により異なる。
弁護士費用を払えない場合は、どうなりますか。
勾留状が発せられた後は、貧困その他の事由で弁護人を選任できないときに国選弁護人を請求できる(刑訴37条の2)。逮捕直後の段階は対象外であるため、弁護士会の当番弁護士制度の利用も含めて検討する。
家族が中国にいて来日できない場合、何ができますか。
家族が日本にいなくても、配偶者・直系の親族・兄弟姉妹であれば弁護人を選任できる(刑訴30条2項)。電話や微信で弁護士に連絡し、必要な手続の方法を相談することができる。
根拠条文・出典
- 刑事訴訟法 第30条・第37条の2・第37条の3・第39条・第60条・第81条・第87条(e-Gov法令検索)
- 刑事訴訟法 第198条・第203条・第205条・第207条・第208条・第248条・第429条(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法 第20条・第21条・第24条・第63条・第65条・第70条(e-Gov法令検索)
- 犯罪捜査規範(昭和32年国家公安委員会規則第2号)第233条(e-Gov法令検索)
ご相談について
ご家族が逮捕された、警察から呼び出しを受けた、という場合は、早い段階でご連絡ください。中国語でのご相談に対応しています(専属通訳が常駐)。微信(WeChat)ID:matsumura1119。中国人の刑事事件|刑事事件と在留資格|お問い合わせ
最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077) 舟渡国際法律事務所(東京都豊島区) 微信ID:matsumura1119
本記事は一般的な法律情報であり、個別の事案の結論は具体的な事情によって異なる。
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