起訴された後の流れとは?公判・通訳・判決までの手続を解説
2026/10/07
起訴された後の流れとは、検察官が起訴状を提出して被疑者が被告人となり(刑事訴訟法256条)、公判での審理を経て、裁判所が判決を言い渡すまでの手続をいう。
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この記事の要点
- 起訴されると、裁判所から起訴状の謄本が送達され、弁護人を選任できる旨が知らされる(刑訴271条・272条)
- 日本語が十分でない被告人には、公判で通訳人が付く(175条)
- 身柄拘束中の被告人は、起訴後に保釈を請求できる(88条)
- 判決には、無罪、実刑、執行猶予付き、罰金などがあり、不服があれば14日以内に控訴できる(373条)
- 外国籍の方は、判決の種類により在留や退去強制への影響が大きく異なる
起訴されると、被疑者の立場は何が変わるのか
起訴されると、被疑者は被告人となり、裁判所で審理を受ける立場になる。起訴は、検察官が起訴状を提出して行う(刑訴256条)。
起訴状には、被告人を特定する事項、公訴事実、罪名が記載される(256条2項)。裁判所は遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達し、公訴提起の日から2か月以内に送達されないときは、公訴の提起は効力を失う(271条)。
逮捕・勾留されていた被告人の勾留は、起訴後は公訴提起の日から2か月とされ、継続の必要があれば1か月ごとに更新される(60条2項)。在宅事件では、そのまま自宅から公判に出頭することになる。
起訴された後、弁護人はどのように付くのか
起訴後は、自分で弁護人を選任できるほか、貧困その他の事由で選任できないときは、国選弁護人を請求できる(刑訴36条)。
裁判所は、起訴後遅滞なく、弁護人を選任できる旨と、選任できないときは国選弁護人を請求できる旨を被告人に知らせなければならない(272条1項)。死刑・無期または長期3年を超える拘禁刑に当たる事件は、弁護人がなければ開廷できない(289条1項)。
在宅事件では、捜査段階には国選弁護が付かなかった場合でも、起訴後は国選弁護人を請求できる。起訴前から私選の弁護人を選任している場合は、起訴後もその弁護人に依頼を続けることができる。
起訴後に釈放されるための保釈とは何か
保釈とは、勾留されている被告人が、保釈金などを条件に身柄の釈放を受ける制度であり、起訴後に請求できる(刑訴88条)。
保釈の請求があったときは、死刑・無期または短期1年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したとき、罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由があるときなど、法定の除外事由がない限り許される(89条)。除外事由があっても、裁判所は逃亡・罪証隠滅のおそれの程度や、拘束で被告人が受ける不利益を考慮して、職権で保釈を許すことができる(90条)。
実刑(拘禁刑以上の刑)の判決が宣告されると、保釈は効力を失う(343条)。一方、全部の執行猶予や罰金などの判決が告知されたときは、勾留状が効力を失う(345条)。在留資格を失っている方は、釈放後に入管の手続に移ることがある点にも注意が必要である(入管法63条)。
公判は、どのような順序で進むのか
公判は、冒頭手続、証拠調べ、被告人質問、検察官・弁護人・被告人の意見陳述、判決の順に進む。
冒頭手続では、検察官が起訴状を朗読し(刑訴291条)、被告人は黙秘権の告知を受けたうえで、起訴状への認否を述べる機会を与えられる。被告人は終始沈黙し、個々の質問に対して供述を拒むこともできる(311条)。証拠調べの後、検察官は事実と法律の適用について意見を述べ、被告人と弁護人も意見を述べることができる(293条)。
事実を争わない事件では、被告人が有罪である旨を陳述すると簡易公判手続によることがあり(291条の2)、軽微な事件では即決裁判手続が選ばれる場合もある(350条の16)。事実を争う事件は、証人尋問などで期日が重なる。
一定の重大事件は、裁判員の参加する合議体で審理される(裁判員法2条1項)。
| 段階 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 起訴状の朗読・認否 | 検察官が起訴状を朗読し、被告人が認否を述べる | 刑訴291条 |
| 証拠調べ | 検察官・弁護人が証拠調べを請求し、裁判所が取り調べる | 296条・298条 |
| 被告人質問 | 被告人は供述を拒むこともできる | 311条 |
| 意見陳述 | 検察官の意見の後、被告人・弁護人が意見を述べる | 293条 |
| 判決の宣告 | 公判廷で言い渡される | 342条 |
公判での通訳は、どのように行われるのか
日本語に通じない被告人に陳述させるときは、裁判所は通訳人に通訳させなければならない(刑訴175条)。
通訳人は、被告人質問や証人尋問などの法廷でのやり取りを通訳する。起訴状や判決の内容は日本語で示されるため、弁護人が事前に母語で説明し、被告人が内容を理解したうえで認否を決めることが大切である。
通訳の内容に疑問があるときは、その場で弁護人に伝える。細かな言い回しの違いが事実の認定や情状に影響する可能性があるため、通訳されたとおりに理解できているかを確認しながら進める。弁護人との打合せは、弁護人側の通訳を介して行う。
判決には、どのような種類があるのか
判決には、無罪、有罪(刑の言渡し)、免訴、公訴棄却などがあり、有罪でも実刑か執行猶予付きかで結果が大きく異なる。
犯罪の証明がないときは無罪(刑訴336条)、証明があったときは刑の言渡しをし、刑の全部の執行猶予は同時に言い渡される(333条)。全部の執行猶予は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の言渡しを受けた場合に、情状により1年以上5年以下の期間付けることができる(刑法25条)。判決は公判廷で宣告され(刑訴342条)、不服があるときは14日以内に控訴できる(373条)。
| 判決 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 無罪 | 犯罪の証明がない、または罪とならない | 刑訴336条 |
| 実刑 | 拘禁刑などの刑を実際に受ける | 保釈は効力を失う(343条) |
| 全部の執行猶予 | 刑の執行を一定期間猶予する | 1年以上5年以下(刑法25条) |
| 罰金 | 金銭を納める刑 | 刑法15条 |
| 免訴・公訴棄却 | 有罪・無罪の判断に入らず手続を終える | 刑訴337条・338条 |
外国籍の方は、起訴された後の在留資格にどう影響するのか
起訴されただけでは、直ちに在留資格が取り消されるわけではないが、判決の内容によって、退去強制の可否や更新・永住の審査に大きく影響する。
在留資格の取消事由は入管法22条の4第1項に列挙されており、起訴自体は含まれない。もっとも、有罪判決の内容によっては、退去強制事由に当たる。1年を超える拘禁刑でも全部の執行猶予が付けば24条4号リの対象外だが、薬物関係の法令違反による有罪判決は、罰金や執行猶予でも24条4号チに当たる。刑の種類ごとの整理は、関連記事「執行猶予判決でも強制送還されることがあるのか」で扱っている。
在留資格がない場合や退去強制事由に当たる場合は、刑事手続中でも退去強制の手続が並行して行われることがある(63条1項)。また、死刑・無期または長期3年以上の拘禁刑に当たる罪で訴追されている者は、関係機関の通知があれば出国確認が留保されることがある(25条の2)。
弁護士に相談すべきタイミングはいつか
起訴状を受け取った時点で、遅くとも第1回公判の前に弁護士に相談するのが望ましい。
公判では、認否、情状、在留への影響まで見据えた主張立証を整える必要があり、準備には時間がかかる。弁護士を選ぶときは、第1に外国人の刑事事件と入管の双方を扱っているか、第2に母語で相談でき通訳が確保されているか、第3に判決ごとの在留への影響を説明してくれるか、を確認するとよい。
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の弁護士松村大介(第一東京弁護士会所属・登録番号59077)は、外国人の刑事事件と入管(在留特別許可・退去強制)を取り扱い、中国語での相談に対応している(専属通訳が常駐し、中国律師が在籍)。微信IDはmatsumura1119である。
よくある質問
公判には必ず出頭しなければならないのか。
原則として、被告人が公判期日に出頭しないときは開廷できない(刑訴286条)。50万円以下の罰金または科料に当たる事件など、代理人の出頭が認められる例外もある(284条。刑法等以外の罪は当分の間5万円以下)。
公判で通訳に不満があるときはどうするのか。
その場で弁護人に伝える。通訳人は裁判所が付けるため、弁護人を通じて裁判所に対応を求めることになる。
起訴されたら、在留資格は取り消されるのか。
起訴自体は、入管法22条の4第1項の取消事由に含まれない。ただし、有罪判決の内容によっては退去強制事由(24条)に当たり得る。
執行猶予とは何か。
刑の言渡しは受けるが、一定期間その執行を猶予される制度である。3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の場合に、1年以上5年以下の期間付けることができる(刑法25条)。
根拠条文・出典
- 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第36条・第60条・第88条から第90条・第175条・第256条・第271条・第272条・第284条・第286条・第289条・第291条・第291条の2・第293条・第311条・第333条・第336条から第338条・第342条・第343条・第345条・第350条の16・第373条(e-Gov法令検索)
- 刑法(明治40年法律第45号)第15条・第25条(e-Gov法令検索)
- 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年法律第63号)第2条(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)第22条の4・第24条・第25条の2・第63条(e-Gov法令検索)
ご相談について
ご家族が逮捕された、警察から呼び出しを受けた、という場合は、早い段階でご連絡ください。中国語でのご相談に対応しています(専属通訳が常駐)。微信(WeChat)ID:matsumura1119。中国人の刑事事件|刑事事件と在留資格|お問い合わせ
最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077) 舟渡国際法律事務所(東京都豊島区) 微信ID:matsumura1119
本記事は一般的な法律情報であり、個別の事案の結論は具体的な事情によって異なる。
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