ナイフ・刃物を携帯して逮捕されたらどうなるか
2026/10/07
正当な理由なく刃体の長さが6センチメートルを超える刃物を携帯すると、銃砲刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」という。)22条違反として2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金(同法31条の18第2項2号)、刃物を隠して携帯すれば軽犯罪法1条2号違反として拘留又は科料の対象になる。
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この記事の要点
- 銃刀法22条は、業務その他正当な理由がある場合を除き、刃体6センチメートル超の刃物の携帯を禁じる。刃体8センチメートル以下の折りたたみ式ナイフ等は条文上の例外とされている。
- 軽犯罪法1条2号は、正当な理由なく刃物等を隠して携帯する行為を、拘留又は科料の対象とする。
- 職務質問の場で見つかり、現行犯として逮捕される場合もあれば、逮捕されず在宅で捜査が進む場合もある。
- 罰金や不起訴で終わる場合は、入管法上の退去強制事由(1年を超える拘禁刑の実刑など)に直ちには当たらない。
どのような刃物の携帯が犯罪になるのか。
中心は銃刀法22条と軽犯罪法1条2号であり、刃物の長さ、携帯の態様、携帯の理由が判断のポイントになる。
銃刀法22条は、業務その他正当な理由による場合を除き、内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが6センチメートルを超える刃物の携帯を禁止している。ただし、刃体の長さが8センチメートル以下のはさみや折りたたみ式のナイフ、及び政令で定める種類・形状の刃物は、この規制の対象外とされる。
軽犯罪法1条2号は、刃物のほか、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を、正当な理由なく隠して携帯する行為を処罰する。銃刀法22条の例外に当たる小型のナイフでも、この規定が問題になる場合がある。
なお、刃渡り15センチメートル以上の刀、やり、なぎなたや、刃渡り5.5センチメートル以上の剣、あいくちなどは「刀剣類」とされ(銃刀法2条2項)、その所持は同法3条1項で原則として禁止される。携帯とは別の罰則が定められている。
| 規定 | 対象 | 刑罰 |
|---|---|---|
| 銃刀法22条 | 刃体6センチメートル超の刃物の携帯(正当な理由を除く) | 2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 |
| 軽犯罪法1条2号 | 刃物等を正当な理由なく隠して携帯 | 拘留(1日以上30日未満)又は科料(1000円以上1万円未満) |
| 銃刀法3条1項 | 刀剣類の所持(許可等の例外を除く) | 別の罰則が定められている |
「正当な理由」があるとされるのは、どのような場合か。
業務で使う場合など、携帯の目的が社会通念上相当と認められるときに限られ、個別の事情で判断される。
調理人が職場へ包丁を運ぶ、業務で使うカッターを持つ、釣りやキャンプの道具として必要な場所へ運ぶ、といった場合には、業務その他の正当な理由があると主張する余地がある。もっとも、目的、場所、時間帯、持ち方(取り出しやすい状態か、梱包されているか)、刃物の種類などが総合的に見られる。
「護身のため」「いつも持っているから」という説明は、それだけで正当な理由と認められるとは限らない。外国で日常的に携帯していた習慣があっても、日本では日本の法律が適用される。
職務質問から逮捕まで、どのように進むのか。
警察官は犯罪を疑うに足りる相当な理由のある者に質問できるが、意に反する連行はできず、刃物が見つかれば現行犯逮捕に至る場合がある。
警察官は、犯罪を犯し、又は犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者を停止させて質問できる(警察官職務執行法2条1項)。質問の相手方は、刑事訴訟法の規定によらない限り、身柄を拘束され、又は意に反して警察署に連行され、答弁を強要されることはない(同条3項)。
刃物の携帯が判明し、現に罪を行っているとされた場合は、現行犯人として、何人でも逮捕状なしに逮捕できる(刑事訴訟法212条・213条)。ただし、軽犯罪法違反のみのように拘留又は科料に当たる罪の現行犯は、住居若しくは氏名が明らかでない場合又は逃亡のおそれがある場合に限り逮捕できる(同法217条)。
逮捕された場合、身体拘束はどのくらい続くのか。
逮捕後は最長で23日間の身体拘束があり得るが、事案によっては、早期に釈放される場合もある。
逮捕から48時間以内に検察官へ送致され、24時間以内に勾留が請求される(刑事訴訟法203条・205条)。勾留が認められると10日間、やむを得ない事由があれば最大10日延長され、逮捕から合計最大23日となる(同法208条)。拘留又は科料に当たる罪のみの場合は、定まった住居を有しないときに限り勾留できる(同法60条3項)。
押収された刃物は、留置の必要がなくなれば還付される場合がある(同法123条)が、犯罪行為を組成した物や用に供した物として没収されることもある(刑法19条)。
処分はどのように決まり、見通しはどうなるか。
不起訴、略式命令による罰金、公判請求のいずれかとなり、携帯の目的や態様、前科の有無などで判断が分かれる。
検察官は、犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる(刑事訴訟法248条)。起訴する場合でも、簡易裁判所が略式命令で100万円以下の罰金又は科料を科す手続が用いられることがある(同法461条)。
他人を害する目的があったか、実際に刃物を取り出して脅したかなどの事情があれば、別の罪(暴行、脅迫、傷害など)が問題となり、手続も重くなり得る。携帯の経緯、持っていた理由、反省の状況は、処分を判断する際の重要な事情になる。
外国籍の方は在留資格にどう影響するか。
罰金・不起訴で終わる場合は、退去強制事由に直ちには当たらないが、更新や変更の審査で考慮される可能性がある。
入管法24条4号リは、1年を超える拘禁刑に処せられた者(刑の全部の執行猶予を受けた者を除く)を退去強制の対象とする。銃刀法22条違反の法定刑の上限は2年の拘禁刑であり、同号の対象となるのは、1年を超える拘禁刑の実刑が言い渡された場合に限られる。銃刀法違反や軽犯罪法違反は、同条4号の2に列挙された罪には含まれていない。
在留期間の更新や在留資格の変更は、法務大臣が相当の理由があると認めるときに限り許可される(入管法21条3項・20条3項)。また、外国人は旅券又は在留カードを常に携帯する義務があり(同法23条)、職務質問の際に身元の確認を求められることがある。
| 結果 | 入管法24条4号リ | 留意点 |
|---|---|---|
| 不起訴 | 該当しない | 更新・変更の審査で事件の内容が考慮され得る |
| 罰金・科料 | 該当しない | 同上 |
| 拘禁刑(全部執行猶予) | 除外される | 他の罪が併せて問われていないか確認する |
| 1年を超える拘禁刑の実刑 | 退去強制の対象 | 在留特別許可には人道上の特別の事情が必要(50条1項ただし書) |
弁護士に相談すべきタイミングはいつか。
職務質問を受けて警察署で事情を聴かれた時点、または家族が逮捕された直後に、取調べへの対応を相談することが望ましい。
逮捕・勾留中の被疑者は、弁護人と立会人なくして接見できる(刑事訴訟法39条1項)。勾留状が発せられた場合は、資力が乏しければ国選弁護人を請求できる(同法37条の2)。
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)では、弁護士の松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)が、外国人の刑事事件と入管手続(在留特別許可・退去強制)を扱っている。中国語での相談に対応し、専属の通訳が常駐しているほか、中国律師が在籍している。微信ID matsumura1119 でも連絡できる。
よくある質問
折りたたみ式の小型ナイフを持っていても、逮捕されるのか。
刃体8センチメートル以下の折りたたみ式ナイフは、銃刀法22条のただし書で例外とされている。ただし、隠して携帯していれば軽犯罪法1条2号が問題になる場合があり、携帯の経緯や場所によって判断される。
仕事で使う包丁を運んでいた場合はどうなるのか。
業務その他の正当な理由がある場合は、銃刀法22条の対象から除かれる。運ぶ目的、梱包の状態、移動の経路などを説明できるかが重要になる。
警察署への同行を求められたら、応じなければならないのか。
警察官職務執行法2条2項は同行を求めることを認めるが、同条3項により、刑事訴訟法の規定によらない限り、意に反して連行されることはない。応じるかどうかは、事前に弁護士へ相談して決めることが望ましい。
罰金を払って終わった場合、在留に影響はないのか。
罰金は入管法24条4号リの対象となる拘禁刑とは区別される。ただし、更新や変更の審査で事件の内容が考慮される可能性は残る。
根拠条文・出典
- 銃砲刀剣類所持等取締法2条2項・3条1項・22条・31条の18第2項(e-Gov法令検索)
- 軽犯罪法1条2号(e-Gov法令検索)
- 警察官職務執行法2条(e-Gov法令検索)
- 刑事訴訟法37条の2・39条1項・60条3項・123条・203条・205条・208条・212条・213条・217条・248条・461条(e-Gov法令検索)
- 刑法19条(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法20条3項・21条3項・23条・24条4号リ・24条4号の2・50条1項(e-Gov法令検索)
ご相談について
ご家族が逮捕された、警察から呼び出しを受けた、という場合は、早い段階でご連絡ください。中国語でのご相談に対応しています(専属通訳が常駐)。微信(WeChat)ID:matsumura1119。中国人の刑事事件|刑事事件と在留資格|お問い合わせ
最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077) 舟渡国際法律事務所(東京都豊島区) 微信ID:matsumura1119
本記事は一般的な法律情報であり、個別の事案の結論は具体的な事情によって異なる。
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