無免許運転で逮捕されたらどうなるか(免許失効・うっかり失効と故意の問題)
2026/10/07
無免許運転とは、公安委員会の運転免許を受けないで(免許の効力が停止されている場合を含む)自動車又は原動機付自転車を運転する行為であり(道路交通法第64条第1項)、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が定められている(同法第117条の2の2第1項第1号)。更新を忘れて免許が失効した後の運転も問題となり得るが、失効に気付いていなかった場合は、故意(刑法第38条第1項)の有無が争点となる。
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この記事の要点
- 免許は更新を受けなかったときに効力を失い(道路交通法第105条)、失効後の運転は無免許運転として立件される場合がある。
- 無免許運転は故意犯であり、免許が失効している事実を認識していたかどうかが中心的な争点となる。
- 逮捕後は48時間以内の送致、24時間以内の勾留請求と進み、勾留は延長を含め最大20日である。事案により在宅で捜査が進むこともある。
- 罰金や全部執行猶予にとどまる場合は直ちに退去強制となる類型ではないが、在留期間の更新等の審査で考慮されることがある。
無免許運転にはどのような罰則があるのか
無免許運転の法定刑は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金であり、車を貸した人や同乗した人にも別の罰則がある。
道路交通法第64条第1項は、免許を受けないで自動車等を運転することを禁止している。無免許運転をするおそれのある人に車両を提供した人(同条第2項)や、無免許と知りながら運転を依頼して同乗した人(同条第3項)も処罰の対象となる。
| 行為 | 根拠条文 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 免許を受けないで運転した | 第64条第1項、第117条の2の2第1項第1号 | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
| 車両を提供した(実際に無免許運転された場合) | 第64条第2項、第117条の2の2第1項第2号 | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
| 無免許と知りながら同乗した | 第64条第3項、第117条の3の2第1項第1号 | 2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 |
免許が失効していた場合も無免許運転になるのか
免許は更新を受けなかったときに効力を失うため(道路交通法第105条)、失効後の運転は免許を受けないで運転した場合として扱われ得る。
免許証を手元に持っていても、有効期間が過ぎて更新されていなければ、有効な免許はない。失効後に免許を取り直す際には試験の一部が免除される制度があるが(同法第97条の2第1項第3号、第4号)、失効していた期間の運転が適法になるわけではない。
うっかり失効で運転した場合、故意は問われないのか
無免許運転は故意犯であり、失効の事実を認識していなかった場合は故意が否定される余地があるが、認定は個別の事情による。
刑法第38条第1項は、罪を犯す意思がない行為は罰しないと定める。ここで問われるのは、運転の時点で免許が失効している事実を認識していたか(未必的な認識を含む)である。「更新しないと失効する法律を知らなかった」という主張は法律の不知にとどまり、故意を否定しない(同条第3項)。
事実の認識の有無は、更新の案内の受領状況、住所変更の届出の有無、失効に気付く機会があったか、取調べでの説明の一貫性などから総合的に判断される。「確認すれば分かったはずだ」という方向の質問に流されて、「知っていた」旨の調書が作られることがあるため、取調べへの対応は慎重にする必要がある。
逮捕されると、その後の手続はどう進むのか
逮捕後は時間制限のある手続が連続し、勾留まで進むと逮捕から最大23日間、身体拘束が続き得る。
警察は逮捕から48時間以内に送致の手続をとり(刑事訴訟法第203条)、検察官は受け取ってから24時間以内(逮捕から72時間以内)に勾留を請求する(同法第205条)。勾留は10日で、延長は最大10日である(同法第208条)。無免許運転は罰金刑も定められているため、事案によっては逮捕されず在宅で捜査が進む。
被疑者には黙秘権があり(憲法第38条第1項、刑事訴訟法第198条第2項)、勾留状が発せられた場合は国選弁護人を請求できる(同法第37条の2)。
| 段階 | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 送致 | 逮捕から48時間以内 | 刑事訴訟法第203条 |
| 勾留請求 | 受取りから24時間以内、逮捕から72時間以内 | 同法第205条 |
| 勾留 | 10日、延長は最大10日 | 同法第208条 |
最終的にはどのような処分になるのか
処分は不起訴、略式命令による罰金、公判請求のいずれかとなり、事情によって結論が異なる。
検察官は、犯人の性格、犯罪の軽重、犯罪後の情況により訴追を必要としないときは起訴しないことができる(刑事訴訟法第248条)。起訴されても、簡易裁判所が書面審理で100万円以下の罰金を科す略式命令で終わる場合がある(同法第461条)。3年以下の拘禁刑が言い渡される場合は、情状により刑の全部の執行猶予が付く可能性がある(刑法第25条第1項)。
将来の免許取得では、運転に関する道路交通法違反を理由に、免許を与えず、又は6月を超えない範囲で保留される場合がある(同法第90条第1項第4号)。
外国の免許で運転していた場合はどうなるのか
外国の免許で運転できるのは、一定の条件を満たす場合の上陸から1年間に限られ、条件を外れた運転は無免許運転となり得る。
道路交通法第107条の2は、国際運転免許証又は一定の国・地域の外国運転免許証(日本語の翻訳文の添付が必要)を持つ人は、上陸した日から1年間は運転できると定める。後者の対象は、同法施行令第39条の4により、スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、モナコ、台湾とされ、中国本土は含まれていない。上陸から1年を超えて滞在している場合の運転は、無免許運転に当たる(同法第117条の2の2第1項第1号)。
外国籍の方は在留資格にどう影響するのか
罰金や全部執行猶予にとどまる場合は直ちに退去強制事由とはならないが、更新・変更や永住の審査で考慮されることがある。
拘禁刑を理由とする退去強制事由は、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者であり、刑の全部の執行猶予を受けた者は除かれる(入管法第24条第4号リ)。罰金刑や全部執行猶予付きの判決は、この類型には当たらない。
ただし、在留期間の更新は適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可され(同法第21条第3項)、永住許可では素行が善良であることが要件となる(同法第22条第2項第1号)。刑事処分を受けた事実は、これらの判断で考慮され得る。事故を伴い、自動車運転処罰法第2条又は第6条第1項の罪で拘禁刑に処せられた場合は、別表第一の在留資格の人は退去強制事由となり得る(入管法第24条第4号の2)。勾留中も在留期間の満了日は進行するため、更新の申請期限の管理が必要である。
弁護士に相談すべきタイミングはいつか
逮捕された時、又は警察から呼出しを受けた時点で、取調べの前に相談するのが望ましい。
弁護人は、身体を拘束された被疑者と立会人なしで接見できる(刑事訴訟法第39条第1項)。勾留状が出る前の段階では国選弁護人は付かないため、早期の接見には私選での選任が必要となる。弁護士を選ぶ際は、第1に通訳を介して十分に意思疎通できるか、第2に刑事手続と在留資格の問題を併せて説明してくれるか、第3に結果を断定せず見込みと不確実な点を分けて説明してくれるかを確認するとよい。
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)では、弁護士の松村大介(第一東京弁護士会)が外国人の刑事事件と入管手続を扱い、中国語での相談に対応している(専属通訳が常駐し、中国律師も在籍している)。
よくある質問
免許の失効に気付かず運転した場合、必ず処罰されるのか。
必ず処罰されるとは限らない。無免許運転は故意犯であり、失効の事実を認識していたかどうかが問題となる。認識の有無は個別の事情から判断される。
無免許運転で逮捕されると、必ず勾留されるのか。
必ずではない。勾留の請求とその可否は事案ごとに判断される。勾留に不服がある場合は準抗告を申し立てることができる(刑事訴訟法第429条)。
罰金を支払えば、在留資格には影響しないのか。
罰金のみで直ちに退去強制となる類型ではないが、更新・変更や永住許可の審査で考慮される場合がある。個別の事情による。
中国の運転免許証があれば、日本で運転できるのか。
外国運転免許証による運転の対象国・地域に中国本土は含まれていない(道路交通法施行令第39条の4)。運転する前に条件の確認が必要である。
根拠条文・出典
- 道路交通法第64条、第90条、第97条の2、第105条、第107条の2、第117条の2の2、第117条の3の2(e-Gov法令検索)
- 道路交通法施行令第39条の4(e-Gov法令検索)
- 刑法第25条、第38条(e-Gov法令検索)
- 刑事訴訟法第37条の2、第39条、第198条、第203条、第205条、第208条、第248条、第429条、第461条(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法第21条、第22条、第24条(e-Gov法令検索)
- 日本国憲法第38条第1項(e-Gov法令検索)
ご相談について
ご家族が逮捕された、警察から呼び出しを受けた、という場合は、早い段階でご連絡ください。中国語でのご相談に対応しています(専属通訳が常駐)。微信(WeChat)ID:matsumura1119。中国人の刑事事件|刑事事件と在留資格|お問い合わせ
最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077) 舟渡国際法律事務所(東京都豊島区) 微信ID:matsumura1119
本記事は一般的な法律情報であり、個別の事案の結論は具体的な事情によって異なる。
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