受け子・出し子で逮捕されたらどうなる?外国籍の方の注意点
2026/10/07
受け子・出し子とは、特殊詐欺で被害者から現金やキャッシュカードを受け取る役、またはATM等で現金を引き出す役の通称であり、詐欺罪(刑法第246条)や窃盗罪(同法第235条)に問われ、組織的に行われたと評価される場合は、組織的犯罪処罰法第3条第1項第13号により1年以上の有期拘禁刑の対象となる。
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この記事の要点
- 受け子は詐欺罪、出し子は窃盗罪や電子計算機使用詐欺罪が問題になり、単独で動いたつもりでも共犯として扱われる場合がある。
- 逮捕後は最大で23日間、身体拘束が続く可能性があり、余罪があるとさらに長引く場合がある。
- 「だまされていた」「違法と知らなかった」という主張は、客観的事情から故意が認められるかどうかで判断され、通るとは限らない。
- 外国籍の方は、拘禁刑に処せられると、在留資格によっては入管法第24条第4号の2・第4号リにより退去強制事由に当たる。
受け子・出し子とはどのような役割で、どの罪に問われるか?
受け子・出し子は役割によって罪名が異なり、いずれも他の者と共同して行った場合は、共同正犯として扱われる場合がある(刑法第60条)。
受け子は、被害者を欺いて現金やカードを受け取る役であり、詐欺罪(同法第246条第1項)が問題となる。出し子は、他人名義のカードでATMから現金を引き出す役であり、窃盗罪(同法第235条)や電子計算機使用詐欺罪(同法第246条の2)が問題となる。
見張りや運搬などで犯行を手助けした場合は、従犯(同法第62条)として処罰される場合があり、その刑は正犯の刑を減軽したものとなる(同法第63条)。
これらの行為が、団体の活動として、組織により行われたと評価されるときは、組織的犯罪処罰法第3条第1項第13号により、詐欺罪は「1年以上の有期拘禁刑」となる。
| 役割 | 問題となる主な罪 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 受け子 | 詐欺罪 | 刑法第246条第1項 |
| 出し子 | 窃盗罪、電子計算機使用詐欺罪 | 刑法第235条、第246条の2 |
| 見張り・運搬など | 共同正犯または従犯 | 刑法第60条、第62条、第63条 |
| 組織的に行われた場合 | 組織的詐欺として加重 | 組織的犯罪処罰法第3条第1項第13号 |
逮捕されると、身体拘束はどのくらい続くか?
逮捕から起訴前までの身体拘束は最大で23日間になる場合があり、特殊詐欺事件では余罪の捜査で拘束が長引くこともある。
逮捕後、警察は48時間以内に事件を検察官に送致する(刑事訴訟法第203条第1項)。検察官は、受け取ってから24時間以内に勾留を請求しなければならない(同法第205条第1項)。
勾留の期間は10日で、やむを得ない事由があるときは通算で10日を超えない範囲で延長できる(同法第208条)。合計で最大23日間となる。
別の被害の事実で改めて逮捕される場合もある。勾留中は、弁護人以外との面会が禁じられる接見等禁止が付く場合がある(同法第81条、第207条第1項)。
勾留状が発せられた場合、資力が足りないなどの理由で弁護人を選任できないときは、被疑者国選弁護人の選任を請求できる(同法第37条の2第1項)。
「だまされていた」「違法と知らなかった」という説明は通用するか?
罪を犯す意思(故意)がない行為は罰せられないが(刑法第38条第1項)、故意の有無は、報酬の額、指示の内容、受取りの状況などの客観的事情から判断される。
「荷物を受け取るだけと言われた」という説明があっても、高額な報酬や偽名の使用、受取り時の指示などから、違法性を認識していたと評価される場合がある。
一方、具体的な事情次第では、故意が認められない余地もあり、事案ごとに結論が異なる。取調べで曖昧な供述をすると不利に扱われるおそれがあるため、供述の前に弁護人と方針を確認することが重要である。
また、犯行に関与してしまったが、まだ捜査機関に発覚していない場合に自首をすれば、刑が減軽される場合がある(同法第42条)。ただし、自首は「発覚する前」であることが必要であり、事前に弁護人へ相談する必要がある。
取調べと供述調書で気をつけることは何か?
被疑者には黙秘権があり、供述調書への署名・押印を拒むこともできる。
取調べでは、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を、あらかじめ告げられる(刑事訴訟法第198条第2項、憲法第38条第1項)。
供述調書は、読み聞かせを受けて誤りがないか確認する機会があり、誤りがなければ署名押印を求められるが、これを拒絶することもできる(同法第198条第4項・第5項)。
日本語に自信がない場合は、内容を理解できないまま署名しない。最初の接見で、取調べへの対応方針を弁護人と決めることが重要である。
被害弁償や示談は処分に影響するか?
被害弁償や示談は、起訴や量刑の判断で考慮される場合があるが、特殊詐欺では不起訴や執行猶予になるとは限らない。
検察官は、犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、犯罪後の情況などにより、訴追を必要としないときは起訴しないことができる(刑事訴訟法第248条)。被害弁償の有無は、犯罪後の情況として考慮される。
全部執行猶予は、3年以下の拘禁刑の言渡しを受けた場合などに、情状により付される(刑法第25条第1項)。ただし、特殊詐欺では、被害の大きさや関与の度合いによって実刑となる場合もある。
外国籍の方は在留資格にどう影響するか?
拘禁刑に処せられた場合、在留資格が別表第一(就労・留学など)の者は入管法第24条第4号の2に、1年を超える実刑の場合は第4号リに当たり、退去強制事由になる。
入管法第24条第4号の2は、別表第一の在留資格で在留する者が、刑法第36章(窃盗・強盗)や第37章(詐欺・恐喝)などの罪により拘禁刑に処せられた場合を対象とする。同号には、執行猶予を除外する規定がない。
同条第4号リは、無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象とするが、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者は除かれる。別表第二の在留資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)の者には第4号の2は適用されないが、第4号リは適用される。
退去強制事由に当たる場合でも、在留特別許可の可能性がある(同法第50条第1項)。ただし、1年を超える実刑(全部執行猶予を除く)の場合は、人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情があるときに限られる。出国命令の制度(同法第24条の3)も、同種の罪で拘禁刑に処せられた者は利用できない(同条第3号)。
1年以上の拘禁刑に処せられたことがある者は、上陸拒否の対象となる(同法第5条第1項第4号)。また、刑事手続中でも退去強制の手続が進められる場合がある(同法第63条第1項)。
| 結果 | 第4号の2(別表第一の者) | 第4号リ |
|---|---|---|
| 不起訴(起訴猶予など) | 当たらない | 当たらない |
| 全部執行猶予付き拘禁刑 | 条文上、除外規定がない | 除外される |
| 拘禁刑の実刑(1年以下) | 当たる | 当たらない |
| 拘禁刑の実刑(1年超) | 当たる | 当たる |
弁護士に相談すべきタイミングはいつか?
逮捕後の最初の接見と、取調べに応じる前が最も重要であり、できるだけ早い段階で弁護人を選任するのが望ましい。
弁護人は、立会人なしで被疑者と接見できる(刑事訴訟法第39条第1項)。被疑者の家族も、独立して弁護人を選任できる(同法第30条第2項)。家族が中国にいて来日できない場合でも、弁護人を通じて状況を確認できる。
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)では、弁護士の松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)が外国人の刑事事件と入管手続(在留特別許可・退去強制)を扱っている。中国語での相談に対応しており(専属通訳が常駐)、中国律師も在籍している。微信ID matsumura1119からも連絡できる。
よくある質問
受け子として逮捕された場合、起訴されるのか?
起訴されるとは限らず、検察官が事案に応じて判断する(刑事訴訟法第248条)。ただし、特殊詐欺は悪質と評価されやすく、個別事情による。
執行猶予が付けば、在留資格は守られるのか?
全部執行猶予が付けば第4号リには当たらないが、別表第一の者には、第4号の2に条文上の除外規定がない。在留資格によって結論が異なる。
「闇バイト」に応募しただけで、まだ実行していない場合はどうなるか?
詐欺罪の未遂は処罰され(刑法第250条)、実行前でも共謀が認められれば責任を問われる場合がある。早期に弁護士へ相談することが望ましい。
家族が中国にいて来日できない場合、どう連絡すればよいか?
本事務所は中国語(専属通訳が常駐)で対応しており、微信ID matsumura1119からも相談できる。
根拠条文・出典
- 刑法第38条・第42条・第60条・第62条・第63条・第235条・第246条・第246条の2・第250条(e-Gov法令検索)
- 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第3条第1項第13号(e-Gov法令検索)
- 刑事訴訟法第30条・第37条の2・第39条・第81条・第198条・第203条・第205条・第207条・第208条・第248条(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法第5条第1項第4号・第24条第4号リ・第4号の2・第24条の3・第50条第1項・第63条(e-Gov法令検索)
- 刑法第25条(e-Gov法令検索)
ご相談について
ご家族が逮捕された、警察から呼び出しを受けた、という場合は、早い段階でご連絡ください。中国語でのご相談に対応しています(専属通訳が常駐)。微信(WeChat)ID:matsumura1119。中国人の刑事事件|刑事事件と在留資格|お問い合わせ
最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077) 舟渡国際法律事務所(東京都豊島区) 微信ID:matsumura1119
本記事は一般的な法律情報であり、個別の事案の結論は具体的な事情によって異なる。
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