日本で暮らすご家族が、ある日突然、警察に逮捕される。中国本土のご家族のもとに警察署から連絡が入るとは限りません。何が起きているのか、いつ帰ってこられるのか、日本に住み続けられるのか。中国語で相談できる相手を探して、このページにたどり着いた方も多いと思います。
外国人の刑事事件には、日本人の事件と決定的に異なる点があります。刑事手続の先に入管手続が控えていることです。判決が確定した瞬間に在留資格を失う類型がある一方、起訴される前の活動で結論が変わることもあります。本ページでは、逮捕から在留資格の帰趨までを入管法の条文に即して整理します。
本ページの要点
- 逮捕から起訴・不起訴の判断までは最長で23日間であり、この間に弁護人が動けるかどうかが結果を左右します。
- 刑事事件の結果が在留資格に及ぶかは、入管法24条の「どの号」に該当するかで決まり、号ごとに要件が異なります。
- 薬物事件は有罪判決を受けたこと自体で退去強制事由(24条4号チ)に該当し、罰金でも執行猶予でも、永住者でも対象になります。
- 執行猶予判決でも在留を失う類型があるため、当事務所は起訴前の不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えています。
- 弁護士本人が接見の初動から在留手続まで一貫して担当し、外国人事件専属の中国語通訳が同席します。微信で中国本国のご家族とも直接やり取りできます。
中国人の方が日本で逮捕されると、何が起きますか
逮捕された時点から、検察官が起訴するか不起訴にするかを判断するまで、最長で23日間です。この間ご本人は警察署の留置施設に置かれ、起訴されるまでご家族は原則として自由に会えません。立会人なしで面会できるのは弁護人だけです(刑事訴訟法39条1項)。
| 段階 | 法律上の期限 | この段階で起きること |
|---|---|---|
| 逮捕 | 警察は48時間以内に検察官へ送致 | 捜査機関がご家族へ連絡する義務はない |
| 検察官への送致 | 受け取ってから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に勾留を請求 | 釈放するか、裁判官に勾留を求めるかが判断される |
| 勾留 | 原則10日間 | 連日の取調べ。共犯者がいる事件では接見等禁止決定が付き、ご家族の面会・手紙が止まる |
| 勾留の延長 | さらに最大10日間 | やむを得ない事由があると認められたとき |
| 終局処分 | 逮捕から通算して最長23日目まで | 起訴(公判請求・略式命令請求)か不起訴かが決まる |
この枠は日本人にも外国人にも共通ですが、外国人の事件では通訳を介した取調べという負荷が加わります。加えて来日外国人の共犯事件率は41.1%で、日本人の12.5%の約3.3倍です(警察庁「令和6年における組織犯罪の情勢」)。共犯者がいれば接見等禁止決定が付きやすく、ご家族と会えないまま23日が過ぎることもあります。
来日外国人の被疑事件の起訴率は44.28%、起訴猶予率は48.35%です(法務省「令和7年版犯罪白書」、令和6年)。日本人を含む総数の起訴率40.38%を上回る一方、およそ半数は不起訴で終わってもいます。この23日間の使い方が分かれ目です。
ご家族はまず何をすればよいですか
最初にすべきことは、弁護人を選任し、できるだけ早く接見してもらうことです。ご家族が警察署の窓口に行っても、起訴前は原則として面会できません。状況を確認し、取調べへの対応を助言できるのは弁護人だけだとお考えください。
- どの警察署に留置されているか、罪名は何かを確認します。
- 弁護人を選任します。資力に応じて国選弁護人の制度もありますが、勾留が決まるまでの初動や、通訳を弁護人側で手配する必要のある事件では、私選弁護人の意味が大きくなります。
- ご本人の在留カードとパスポート、在留期限を確認します。身柄拘束が長引く間に在留期限が過ぎると、刑事事件とは別に不法残留(入管法24条4号ロ)の問題が生じます。見落とされやすい落とし穴です。
- 勤務先・学校への対応を検討します。在留資格の基礎である雇用契約や学籍が失われると、刑事処分の結果とは別に在留期間の更新が難しくなります。
- 被害者のいる事件では、示談・被害弁償の準備を早く始めます。中国本土からの送金は外貨管理の規制により時間を要します。
中国本土にお住まいのご家族は、日本の弁護士に連絡すること自体が容易ではありません。当事務所では微信(WeChat ID:matsumura1119)でご家族と直接やり取りし、時差を挟んでも状況を共有できる体制をとっています。中国語での説明をご希望の方は中文页面を、ご相談の流れは中国人の刑事事件・在留のご相談のページをご覧ください。
なお逮捕された外国人には、自国の領事による接見や通信を求める権利があります(領事関係に関するウィーン条約36条1項(b))。捜査機関は遅滞なく告知する義務を負います。
刑事事件の結果は、在留資格にどう影響しますか
影響するかどうかは、入管法24条のどの号に該当するかで決まります。「刑事事件を起こしたら強制送還」という一律の仕組みではありません。とりわけ、有罪判決さえあれば足りる号と、実刑でなければ該当しない号との差は決定的です。
| 入管法24条 | 対象となる者 | 刑の重さに関する要件 | 執行猶予付き判決でも該当するか |
|---|---|---|---|
| 3号の4 | 他の外国人に不法就労活動をさせる等の行為をした者(不法就労助長) | 刑事処罰を要しない。行為があれば該当 | 刑罰の有無を問わない |
| 4号イ | 資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる者 | 刑罰を要しない | 同上 |
| 4号ロ | 在留期間を経過して残留する者(不法残留) | 刑罰を要しない | 同上 |
| 4号ヘ | 入管法73条の罪、外国人登録に関する法令の違反 | 拘禁刑以上(執行猶予付きは除かれる) | 該当しない |
| 4号チ | 麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚醒剤取締法、麻薬特例法、刑法第2編第14章の各違反 | 有罪の判決を受けたことで足りる | 該当する。罰金・刑の免除でも該当し、在留資格の種類も問わない |
| 4号リ | ニからチまでに掲げる者のほか、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者 | 1年を超える実刑 | 該当しない。全部執行猶予は但書で除外。一部猶予も実刑部分が1年以下なら除外 |
| 4号の2 | 別表第一の在留資格者が、刑法の一定の章の罪(住居侵入、偽造、殺人、傷害、窃盗・強盗、詐欺・恐喝等)又は危険運転致死傷(自動車運転死傷処罰法2条・6条1項)等により処罰されたとき | 拘禁刑 | 該当する。別表第二は対象外 |
決定的に効くのが、在留資格が別表第一と別表第二のどちらかという区別です。別表第一は活動を根拠とする資格(技術・人文知識・国際業務、経営・管理、技能実習、特定技能、留学、家族滞在など)、別表第二は身分や地位を根拠とする資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)です。4号の2は別表第一の方だけを対象としており、この一点が執行猶予判決の帰趨を分けます。令和7年12月末現在、中国籍の在留者930,428人(国籍別第1位、22.6%)のうち別表第二と特別永住者は438,601人、およそ47.1%です(出入国在留管理庁「在留外国人統計」)。残る約52.9%の方は4号の2のリスクを負います。
刑事処分ごとの帰結は次のとおりです。不起訴なら有罪判決が存在しないため、4号チ・4号リ・4号の2のいずれにも該当しません。罰金なら4号リ・4号の2には該当しませんが、薬物事件だけは罰金でも4号チに該当します。執行猶予付きの拘禁刑なら4号リには該当しませんが、別表第一の方が列挙罪で有罪となれば4号の2に該当します。実刑でも1年以下なら4号リに当たらず、1年を超える実刑で初めて該当し、別表第二の方や永住者にも等しく適用されます。
この構造は統計にも表れます。令和7年の退去強制令書発付は単独事由の集計で7,722人ですが、不法残留(4号ロ)が5,778人と大半を占め、薬物(4号チ)86人、1年超の実刑(4号リ)41人、特定犯罪(4号の2)49人です(出入国在留管理庁「出入国管理統計」第57表)。刑事事件がただちに強制送還に直結するわけではありません。もっとも中国籍の発付686人のうち4号リは単独11人と不法残留との並立36人で計47人、6.9%を占め、ベトナムの2.3%の約3倍です。
退去強制事由に該当しても、在留特別許可という救済の道はあります。令和7年の許可人員は審査段階824人、口頭審理29人、異議申出177人の計1,030人でした(同統計第42表)。令和5年改正入管法により申請手続が法定化され(入管法50条2項)、考慮すべき事情が明文化され(同条5項)、不許可には理由を付した書面が交付されます(同条10項)。ただし退去強制令書の発付後は申請できません(同条3項)。許否は個別の事情によるもので、同じような事情があれば許可されるというものではありません。手続の流れは退去強制・在留特別許可・監理措置のページで説明しています。
なお簡易な出国手続である出国命令(入管法24条の3)は、4号ハから4号ヨまでのいずれにも該当しないことが要件のため、薬物事件で4号チに該当する方は利用できません。条文はe-Gov法令検索で確認できます。
なぜ執行猶予ではなく不起訴を目指すのですか
執行猶予判決も、有罪判決だからです。薬物事件(4号チ)と、別表第一の方が列挙罪で処罰された場合(4号の2)は、執行猶予が付いても退去強制事由に該当します。刑事法廷では良い結果に見えても、入管手続では出発点が変わらないということが現実に起こります。
令和6年の被告人通訳事件の全部執行猶予率は、全罪名で85.3%、入管法違反を除くと74.8%でした(法務省「令和7年版犯罪白書」)。執行猶予自体は珍しい結果ではありません。他方、起訴猶予率は48.35%で、起訴前に終わる事件が約半数あります。主戦場は法廷ではなく、23日間の起訴前弁護です。
在留を失う経路は退去強制だけではありません。退去強制事由に該当しない場合でも、更新や変更の審査で素行が善良でないと評価されて不許可となり、在留期限の到来により在留を失う第二の経路があります。永住者は更新を要しないためこの経路では失いませんが、別表第一の有期資格の方には現実的なリスクで、罰金や4号の2非該当罪の執行猶予判決でも残ります。両者のつながりは外国人の刑事事件と在留のページで整理しています。
あわせて、当事務所は退去強制事由の判断そのものについても争う立場をとっています。刑事事件では故意や過失の有無の検討が当然の出発点であるのに、入管実務では該当性を客観的事実だけで判断する運用が長く踏襲されてきました。制裁的な性格を持つ行政処分に責任主義が及ぶべきではないか、という論点であり、現在も係争中です。刑事段階から故意・過失を争っておくことが、後の入管手続の主張の基礎にもなります。
罪名によって在留への影響はどう違いますか
罪名によって大きく異なります。同じ執行猶予付き判決でも、薬物事件なら退去強制事由に直結し、不同意わいせつ等ならただちには該当しません。事件の類型によって目指すべき着地点も変わります。
| 罪名の類型 | 主に問題となる号 | 執行猶予付き判決の場合 | 別表第二・永住者の場合 |
|---|---|---|---|
| 薬物(覚醒剤・大麻・麻薬等) | 4号チ | 該当する。罰金・刑の免除でも該当 | 同じく該当。永住者・定住者も対象 |
| 詐欺・特殊詐欺(受け子・出し子) | 4号の2/1年超の実刑なら4号リ | 別表第一は該当する | 4号の2は適用外。1年超の実刑で4号リ |
| 窃盗・万引き | 4号の2/4号リ | 別表第一は該当する | 同左 |
| 傷害・暴行 | 4号の2(傷害の罪)/4号リ | 別表第一は該当する | 同左 |
| 不同意わいせつ・盗撮 | 4号の2の列挙に含まれない/1年超の実刑なら4号リ | ただちには該当しない。ただし更新・変更の素行要件では強く不利に働く | 同左 |
| 入管法違反(不法残留・資格外活動・不法就労助長・偽造在留カード) | 3号の4・4号イ・4号ロ・4号ヘ | 刑罰の有無とは別に、行為そのもので該当する類型がある | 同左 |
薬物について補足します。令和6年12月12日以降、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬として扱われ、使用罪(同法66条の2、7年以下の拘禁刑)が新設されました。単純所持も7年以下の拘禁刑です。従来の大麻取締法は「大麻草の栽培の規制に関する法律」に改められました。
実際の分布も参考になります。警察庁「令和6年における組織犯罪の情勢」によれば、令和6年の中国の刑法犯検挙件数1,779件のうち窃盗犯835件(46.9%)が最多で、知能犯321件(18.0%、うち詐欺217件)、粗暴犯284件(16.0%)と続きます。特別法犯1,087件では入管法違反が737件(67.8%)を占めます。
取調べの通訳は信用してよいのですか
取調べに立ち会う通訳人は捜査機関が手配した者であり、ご本人の立場に立つ人ではありません。供述調書は通訳を介して日本語で作成され、署名すればその日本語の文章が証拠になります。ここが構造的な問題の出発点です。
ご本人が中国語で述べた内容は通訳人が日本語に訳し、取調官が要旨をまとめる形で調書になります。それを日本語から中国語へ訳し戻して読み聞かせるため、二度の翻訳を経てニュアンスは必ず削られます。とりわけ共犯事件では、「知っていた」のか「そうかもしれないと思った」のかという語感の差が共謀の認定を左右します。方言差や、法律用語に対応する中国語が一義的でないことも、ずれの原因です。
実務上お伝えしているのは三点です。供述を拒む権利があること(憲法38条1項)。調書の内容に納得できなければ訂正を求められ、署名押印そのものを拒めること(刑事訴訟法198条)。弁護人との接見には立会人が付かず、通訳も弁護人側で手配できること(同法39条1項)。捜査機関の通訳を通さずに自分の言葉で事情を説明できる場は、接見だけです。
令和6年の被告人通訳事件の通常第一審終局人員は4,649人、通訳言語は41言語に及び、中国語は726人(15.6%)でした(法務省「令和7年版犯罪白書」)。当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、接見・打合せ・公判を通じてご利用いただけます。
日本の刑事手続は中国とどう違いますか
最も誤解が多いのは、日本には起訴前の保釈がないという点です。中国の取保候审にあたる制度は日本の捜査段階には存在しません。保証金を積めばすぐ出られるはずだという期待と現実との落差が、初動の遅れを招きます。
| 場面 | 中国の当事者がイメージしやすい制度 | 日本の制度 |
|---|---|---|
| 身柄の解放 | 取保候审 | 保釈は起訴後にしか請求できない(刑事訴訟法88条以下)。起訴前は準抗告や勾留取消しの請求で争う |
| 弁護人との面会 | 律师会见 | 接見。弁護人は立会人なしで面会でき、回数や時間の制限も原則としてない(同法39条1項) |
| 取調べへの立会い | 弁護人の立会いを認める運用 | 弁護人の取調べ立会いは原則として認められていない。接見を重ねて助言を届ける |
| 自白と量刑 | 认罪认罚从宽 | 同名の制度はない。自白は証拠の一つとして扱われ、反省や被害弁償とともに量刑で考慮される。協議・合意制度(同法350条の2以下)は他人の刑事事件に関するもので対象犯罪も限られる |
| 起訴するかどうか | ー | 検察官が諸事情を考慮して起訴・不起訴を決める(起訴便宜主義。同法248条) |
| 被害者との示談 | ー | 示談・被害弁償が不起訴の判断と量刑に強く影響する |
実務上の障害になりやすいのが書類と送金です。示談金の送金も、婚姻・親子関係を示す戸籍・公証書類の取寄せも日数を要します。これらは在留特別許可の主張を支える資料にもなるため、刑事手続の段階から並行して準備しておくことが有益です。
執行猶予や不起訴のあと、中国から日本へ戻れますか
不起訴で終われば、刑事処分を理由に上陸を拒否されることは原則としてありません。他方、退去強制を受けて出国した場合には一定期間の上陸拒否がかかります。薬物事件はさらに厳しい扱いを受けます。
入管法5条1項は上陸を拒否すべき者を列挙しています。退去強制を受けて出国した方は原則として出国の日から5年間、過去に退去強制を受けたことがある方は10年間、上陸が拒否されます。期間が経過すれば、この事由による拒否はなくなります。問題は次の例外です。
これに対し、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する日本又は外国の法令に違反して刑に処せられた方は、入管法5条1項5号により上陸を拒否されますが、この号には期間の定めがありません。罰金でも該当し、外国の法令違反でも足ります。したがって薬物事件で有罪判決を受けた方が再び日本に入国するには、法務大臣の上陸特別許可(同法12条1項)を得るほかありません。薬物事件で不起訴を目指す意味は、退去強制の回避にとどまらず、将来の再入国の可能性を残す点にもあります。
当事務所はどのように対応しますか
刑事事件と在留手続を切り離さず、一つの見通しの中で扱います。起訴前の不起訴処分の獲得を最優先の目標とし、刑事処分を受けた場合に備えて退去強制手続での主張の基礎も刑事段階から積み上げます。
- 不起訴処分を最優先目標とする弁護方針。執行猶予判決でも在留を失う類型があることを前提に、23日間の起訴前弁護に力を注ぎます。示談・被害弁償・環境調整を早期に組み立て、検察官へ意見書を提出します。
- 刑事弁護と入管手続のワンストップ対応。受任時に入管法24条のどの号が問題になるかを特定し、在留特別許可の申請や退去強制手続まで同じ弁護士が担当します。刑事の弁護人と入管の代理人が別々になる情報の断絶を避けます。
- 退去強制事由についても故意・過失を争う。制裁的な行政処分に責任主義の射程が及ぶべきであるとの主張を展開しています。不法就労助長罪が認定された事件で在留特別許可を得た実績がありますが、結果は個別の事情によります。
- 弁護士本人が全工程を直接担当。初回接見から取調べへの対応、検察官との交渉、公判、入管手続まで、松村大介弁護士が一貫して担当します。
- 外国人事件専属の中国語通訳が在籍。捜査機関が手配する通訳とは別に、ご本人のために動く立場の通訳が同席します。
- 微信で中国本国のご家族と直接連絡。日本に来られないご家族とも状況を共有します。
取り扱った事件の類型は外国人事件の解決事例にまとめています。ご相談はお問い合わせへ。ご本人が身柄拘束中の場合は、留置されている警察署名と罪名をお知らせいただければ接見の手配を検討します。
よくある質問
逮捕されたことは、会社や学校に知られますか
捜査機関が勤務先や学校に通知する義務はありません。もっとも身柄拘束が長引けば無断欠勤・欠席が続くため、事実上知られることは避けにくくなります。在留資格の基礎が雇用契約や学籍にある方は、この点が更新にも響きます。
不起訴になれば、在留資格はそのまま残りますか
不起訴であれば有罪判決が存在しないため、入管法24条4号チ・4号リ・4号の2のいずれにも該当しません。ただし更新や変更の審査では、事件の内容が素行の評価として考慮されることがあります。在留資格取消し(同法22条の4)は刑罰とは別の制度であり、活動の実態が失われていれば別途問題となり得ます。
罰金で済めば、在留に影響はありませんか
罰金は拘禁刑ではないため、4号リ・4号の2には該当しません。しかし薬物事件だけは例外で、罰金でも4号チに該当します。また罰金前科が更新の審査で不利に働くことはあり、反復や重い事案では更新が認められないこともあります。
永住者でも強制送還されることがありますか
あります。1年を超える実刑(4号リ)と薬物事件の有罪判決(4号チ)は、別表第二の在留資格者にも永住者にも等しく適用されます。他方、別表第一の方だけを対象とする4号の2は適用されません。窃盗・詐欺・傷害等で執行猶予付き判決を受けてもただちには該当しない一方、薬物事件は資格の種類を問わず危険だという整理になります。
執行猶予判決を受けたら、必ず帰国しなければなりませんか
必ずというわけではありません。執行猶予付き判決は4号リの但書により除外されます。問題になるのは、別表第一の在留資格で列挙罪により処罰された場合(4号の2)と薬物事件(4号チ)です。この場合も在留特別許可を求めることはできますが、許否は個別の事情によるため結果を保証することはできません。
中国本土にいる家族でも、日本の弁護士に依頼できますか
できます。ご本人が身柄拘束中の場合、ご家族が弁護人選任の手配を進め、最終的にご本人が委任の意思を示す形をとります。微信で状況を共有しながら進めており、来日が難しいご家族からのご依頼も受けています。
弁護人が来るまで、取調べで何を話せばよいですか
供述を拒む権利があります(憲法38条1項)。事実関係が整理できていない段階や、通訳を通した表現に不安がある段階では、無理に説明せず、弁護人と相談してから話す旨を伝えるのが安全です。署名した調書を後から覆すことは容易ではありません。
収容されたら、仕事や家族との生活はどうなりますか
令和5年改正入管法により、収容によらずに手続を進める監理措置の制度が設けられました。出入国在留管理庁によれば、令和6年6月10日の施行から同年末までの監理措置決定は1,123件で、監理人の9割以上は親族・知人でした。収容が長期化しそうなときは、監理措置の申立ても含めて検討します。
本ページは一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。見通しは罪名、在留資格、在留歴、家族関係その他の事情によって大きく変わります。具体的なご事情は弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年9月時点の情報です。
執筆:松村大介(弁護士・第一東京弁護士会所属/登録番号59077)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)代表。外国人の刑事事件と在留(退去強制・在留特別許可)を主たる注力分野とし、中国語圏の依頼者の事件を数多く取り扱う。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応する。
舟渡国際法律事務所
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