暴行・傷害で逮捕されたらどうなる?示談と在留への影響
2026/10/07
暴行・傷害で逮捕された場合、暴行罪(刑法第208条)は2年以下の拘禁刑・30万円以下の罰金等、傷害罪(同法第204条)は15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とされ、示談の成否や処分の結果が、外国籍の方の在留資格に影響する場合がある。
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この記事の要点
- 暴行罪は怪我に至らない場合、傷害罪は怪我をさせた場合であり、診断書の内容によって罪名が変わる場合がある。
- 逮捕後は、最大で23日間の身体拘束となる場合があり、被疑者国選弁護人の請求もできる。
- 示談は、検察官が起訴するかどうかを決める際に考慮される場合があるが、成立しても不起訴になるとは限らない。
- 外国籍の方は、傷害罪などで拘禁刑に処せられると、入管法第24条第4号の2に当たる場合がある。罰金なら通常は当たらない。
- 被害者への直接の連絡は、かえって不利になる場合があり、弁護人を通じて行うのが通常である。
暴行罪と傷害罪はどう違うのか?
暴行罪は相手に怪我をさせなかった場合、傷害罪は相手に怪我をさせた場合に成立し、診断書の内容によって罪名が変わる場合がある。
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、暴行罪となり、2年以下の拘禁刑、30万円以下の罰金、拘留または科料に処せられる(刑法第208条)。人の身体を傷害した者は、傷害罪となり、15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処せられる(同法第204条)。
被害者が怪我をして診断書が提出されると、暴行罪で捜査されていた事件が、傷害罪に切り替わる場合がある。また、傷害の結果、被害者が死亡した場合は、傷害致死罪(同法第205条)となり、3年以上の有期拘禁刑に処せられる。
これらは、被害者の告訴がなくても起訴できる。他方、物を壊した器物損壊罪(同法第261条)は、告訴がなければ公訴を提起できない(同法第264条)。
| 罪名 | 法定刑 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 暴行罪 | 2年以下の拘禁刑、30万円以下の罰金、拘留または科料 | 刑法第208条 |
| 傷害罪 | 15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 刑法第204条 |
| 傷害致死罪 | 3年以上の有期拘禁刑 | 刑法第205条 |
| 器物損壊罪(親告罪) | 3年以下の拘禁刑、30万円以下の罰金または科料 | 刑法第261条、第264条 |
逮捕された後は、どのように手続が進むのか?
逮捕後は、48時間以内の送致、24時間以内の勾留請求を経て、勾留されると最大で23日間の身体拘束となる場合がある。
警察は、逮捕後48時間以内に事件を検察官へ送致し(刑事訴訟法第203条第1項)、検察官は24時間以内に勾留を請求する(同法第205条第1項)。勾留は10日、延長は通算10日までである(同法第208条)。
勾留は、定まった住居がない場合や、罪証隠滅・逃亡のおそれがある場合に認められる(同法第60条第1項、第207条第1項)。
勾留状が発せられた場合は、資力が足りないときなどに、被疑者国選弁護人の選任を請求できる(同法第37条の2第1項)。勾留決定に不服があるときは、準抗告ができる(同法第429条第1項第2号)。
被疑者には黙秘権があり、供述調書への署名・押印を拒むこともできる(同法第198条第2項・第5項、憲法第38条第1項)。
示談はどのような意味を持つのか?
示談は、検察官が起訴するかどうかや、量刑を判断する際に考慮される場合があるが、成立しても不起訴になるとは限らない。
検察官は、犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、犯罪後の情況などにより、訴追を必要としないときは起訴しないことができる(刑事訴訟法第248条)。示談や被害弁償は、犯罪後の情況として考慮される場合がある。
傷害罪・暴行罪は、器物損壊罪と異なり親告罪ではないため、告訴の取下げだけで事件が終了するわけではない。怪我の程度、動機、反復性、前科などもあわせて判断される。
勾留中の被疑者や、自分で被害者に連絡しようとすることは、被害者を威迫したり、証拠隠滅を図ったと疑われるおそれがある。示談の申入れは、弁護人を通じて行うのが通常である。
正当防衛や喧嘩の場合は、どう考えるのか?
急迫不正の侵害に対して、やむを得ずにした行為は罰せられないが(刑法第36条第1項)、双方が殴り合った喧嘩では、成立が否定される場合もある。
防衛の程度を超えた行為は、情状により、刑を減軽し、または免除できる(同条第2項)。ただし、成立するかどうかは、相手の侵害の内容、反撃の程度、それまでの経緯などから個別に判断される。
喧嘩で双方が怪我をし、互いに被害届を出している場合もある。防犯カメラの映像、目撃者、診断書などの客観的な資料が重要になる。
酒に酔って記憶がない場合は、推測で供述すると、後に不利な事実として扱われるおそれがある。分からないことは、分からないと述べる方針を、弁護人と確認することが重要である。
外国籍の方は在留資格にどう影響するか?
傷害罪などで拘禁刑に処せられた場合、別表第一の在留資格の者は入管法第24条第4号の2に、1年を超える実刑の場合は第4号リに当たる。罰金のみなら、通常は当たらない。
入管法第24条第4号の2は、別表第一の在留資格の者が、刑法第27章(傷害の罪)などの罪により拘禁刑に処せられた場合を対象とする。暴行罪・傷害罪は同章に含まれ、同号には、執行猶予を除外する規定がない。暴力行為等処罰に関する法律第1条等の罪も対象に含まれる。
同条第4号リは、1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象とするが、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者は除かれる。別表第二の在留資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)の者は、第4号の2の対象外であるが、第4号リは適用される。
罰金で終わった場合も、在留期間の更新は「適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」に限られ(同法第21条第3項)、永住許可では素行が善良であることが要件となる(同法第22条第2項第1号)。
退去強制事由に当たる場合でも、在留特別許可の余地がある(同法第50条第1項)。出国命令は、傷害罪などで拘禁刑に処せられた者には使えない(同法第24条の3第3号)。
| 結果 | 第4号の2(別表第一の者) | 第4号リ |
|---|---|---|
| 不起訴 | 当たらない | 当たらない |
| 罰金 | 当たらない | 当たらない |
| 全部執行猶予付き拘禁刑 | 条文上、除外規定がない | 除外される |
| 拘禁刑の実刑(1年以下) | 当たる | 当たらない |
| 拘禁刑の実刑(1年超) | 当たる | 当たる |
外国人の刑事事件で、弁護士を選ぶときに確認すべき点は何か?
外国人の刑事事件では、刑事弁護と入管手続の両方に通じていることと、母国語で相談できることを確認するのが重要である。
確認の目安は、次のとおりである。
- 第1に、刑事弁護と、在留特別許可・退去強制などの入管手続の両方を扱っているか。
- 第2に、通訳を介して、接見や説明を母国語で受けられるか。
- 第3に、処分の見通しを、在留資格への影響とあわせて説明してくれるか。
- 第4に、結果ごとの在留への影響を、条文を示して説明してくれるか。
- 第5に、結果を保証するような説明をしていないか。
弁護士に相談すべきタイミングはいつか?
逮捕後の最初の接見と、供述調書に署名する前が最も重要であり、示談の申入れを検討する場合も、早めの相談が望ましい。
弁護人は、立会人なしで被疑者と接見できる(刑事訴訟法第39条第1項)。被疑者の配偶者や直系親族も、独立して弁護人を選任できる(同法第30条第2項)。
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)では、弁護士の松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)が外国人の刑事事件と入管手続(在留特別許可・退去強制)を扱っている。中国語での相談に対応しており(専属通訳が常駐)、中国律師も在籍している。微信ID matsumura1119からも連絡できる。
よくある質問
示談が成立すれば、不起訴になるか?
示談は考慮要素の一つにとどまり、成立しても不起訴になるとは限らない(刑事訴訟法第248条)。怪我の程度や前科など、個別事情による。
罰金で終われば、在留資格は守られるか?
罰金のみの場合、入管法第24条第4号の2・第4号リには通常当たらないが、更新や永住の審査で考慮される場合がある。
被害者に直接謝罪の連絡をしてよいか?
威迫や証拠隠滅を疑われるおそれがあるため、弁護人を通じて行うのが一般的である。
家族が中国にいて来日できない場合、どう相談すればよいか?
本事務所は中国語(専属通訳が常駐)で対応しており、微信ID matsumura1119からも相談できる。
根拠条文・出典
- 刑法第36条・第204条・第205条・第208条・第261条・第264条(e-Gov法令検索)
- 刑事訴訟法第30条・第37条の2・第39条・第60条・第198条・第203条・第205条・第207条・第208条・第248条・第429条(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法第21条第3項・第22条第2項・第24条第4号リ・第4号の2・第24条の3・第50条第1項(e-Gov法令検索)
- 暴力行為等処罰に関する法律第1条(e-Gov法令検索)
ご相談について
ご家族が逮捕された、警察から呼び出しを受けた、という場合は、早い段階でご連絡ください。中国語でのご相談に対応しています(専属通訳が常駐)。微信(WeChat)ID:matsumura1119。中国人の刑事事件|刑事事件と在留資格|お問い合わせ
最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077) 舟渡国際法律事務所(東京都豊島区) 微信ID:matsumura1119
本記事は一般的な法律情報であり、個別の事案の結論は具体的な事情によって異なる。
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