万引き・窃盗で逮捕された外国籍の方はどうなるか
2026/10/07
万引きは、他人の財物を窃取する行為として窃盗罪(刑法第235条)に当たり、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とされ、外国籍の方は、拘禁刑に処せられた場合に、在留資格によって入管法第24条第4号の2などの退去強制事由に当たる場合がある。
総合ガイド:外国人の刑事事件ガイド(状況別の記事一覧)
この記事の要点
- 万引きは、金額が小さくても窃盗罪が成立し、現行犯逮捕されると、警察署での取調べに進む場合がある。
- 逮捕されない在宅事件や、微罪処分で終わる場合もあり、結果は事案ごとに異なる。
- 被害弁償や示談は、起訴するかどうかの判断(刑事訴訟法第248条)で考慮される場合がある。
- 罰金で終わる場合と、拘禁刑に処せられる場合とでは、在留資格への影響が大きく異なる。
- 「盗む意思がなかった」と主張する場合は、供述の仕方が重要であり、署名前の確認が欠かせない。
万引きは何罪で、どのくらいの刑になるのか?
万引きは窃盗罪(刑法第235条)に当たり、法定刑は10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金である。
窃盗罪には、金額による除外規定がない。商品が少額であっても、成立し得る。実際の処分は、被害額、反復性、前科の有無などによって異なる。
窃盗罪は未遂も罰せられる(同法第243条)。
窃盗を常習として繰り返し、過去10年以内に一定の刑の執行を受けている場合は、盗犯等の防止及び処分に関する法律第3条により、重く処罰される場合がある。
万引きで捕まったら、逮捕・勾留されるのか?
逮捕されるとは限らず、在宅のまま捜査を受ける場合や、微罪処分で終わる場合もあるが、逮捕されると身体拘束が続く場合がある。
現行犯人は、誰でも逮捕状なしに逮捕できる(刑事訴訟法第213条)。店の従業員に取り押さえられ、警察に引き渡される場合が典型である。
警察は、検察官が指定した事件については、検察官に送致しないこともできる(同法第246条ただし書)。いわゆる微罪処分であり、すべての事件に適用されるものではない。
逮捕された場合、警察は48時間以内に検察官へ送致し(同法第203条第1項)、検察官は24時間以内に勾留を請求する(同法第205条第1項)。勾留は10日で、延長は通算10日まで、合計で最大23日間となる(同法第208条)。
勾留は、定まった住居がない場合や、罪証隠滅・逃亡のおそれがある場合に認められる(同法第60条第1項、第207条第1項)。住居や身元が不安定な外国籍の方は、この点が問題になりやすい。
示談や被害弁償で、処分は変わるのか?
示談や被害弁償は、起訴するかどうかや、起訴後の量刑の判断で考慮される場合があるが、結果を保証するものではない。
検察官は、犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、犯罪後の情況などにより、訴追を必要としないときは起訴しないことができる(刑事訴訟法第248条)。被害弁償や示談は、犯罪後の情況として考慮される。
店舗によっては示談に応じない場合もあり、個人が直接交渉すると、かえって事態が悪化するおそれがある。弁護人が窓口となる方法が一般的である。
万引きの処分は、おおむね次のように分かれる。どの処分になるかは、個別事情による。
| 処分 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 不起訴(起訴猶予など) | 起訴されず、裁判にならない | 刑事訴訟法第248条 |
| 略式命令(罰金) | 公判を開かず罰金を科す | 刑事訴訟法第461条、刑法第235条 |
| 公判請求(執行猶予) | 公開の裁判で審理され、刑の全部の執行を猶予 | 刑法第25条第1項 |
| 公判請求(実刑) | 拘禁刑が執行される | 刑法第235条 |
盗む意思がなかった、または認めていない場合はどう対応するか?
罪を犯す意思(故意)がない行為は罰せられないが(刑法第38条第1項)、故意の有無は、防犯カメラの映像や行動など客観的事情から判断される。
「会計を忘れた」「自分の物と思った」という説明は、店内での行動や映像によっては、信用されない場合もある。反対に、状況によっては、故意が認められない余地もあり、結論は事案ごとに異なる。
被疑者には黙秘権があり、供述調書への署名・押印を拒むこともできる(刑事訴訟法第198条第2項・第5項、憲法第38条第1項)。日本語が十分に分からないまま署名すると、後から訂正しにくい。
事実を認めて早期解決を図るのか、争うのかによって、取るべき対応が変わる。最初の接見で、弁護人と方針を決めることが重要である。
外国籍の方は在留資格にどう影響するか?
罰金で終わる場合は、入管法第24条第4号の2・第4号リ(いずれも拘禁刑が要件)には当たらないが、拘禁刑に処せられた場合は、在留資格によって退去強制事由に当たる。
入管法第24条第4号の2は、別表第一の在留資格(就労・留学など)の者が、刑法第36章(窃盗及び強盗の罪)などの罪により拘禁刑に処せられた場合を対象とする。同号には、執行猶予を除外する規定がない。
同条第4号リは、1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象とするが、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者は除かれる。別表第二の在留資格(永住者、日本人の配偶者等など)の者は、第4号の2の対象外である。
罰金のみで終わった場合でも、在留期間の更新は「適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」に限り許可され(同法第21条第3項)、永住許可では素行が善良であることが要件となる(同法第22条第2項第1号)。不起訴でも、手続中の態度や事情が考慮される可能性はある。
退去強制事由に当たる場合でも、在留特別許可を求める余地がある(同法第50条第1項)。出国命令は、窃盗罪などで拘禁刑に処せられた者には使えない(同法第24条の3第3号)。
| 結果 | 第4号の2(別表第一の者) | 第4号リ |
|---|---|---|
| 不起訴 | 当たらない | 当たらない |
| 罰金 | 当たらない | 当たらない |
| 全部執行猶予付き拘禁刑 | 条文上、除外規定がない | 除外される |
| 拘禁刑の実刑(1年以下) | 当たる | 当たらない |
| 拘禁刑の実刑(1年超) | 当たる | 当たる |
外国人の刑事事件で、弁護士を選ぶときに確認すべき点は何か?
外国人の刑事事件では、刑事弁護と入管手続の両方に通じていることと、母国語で相談できることを確認するのが重要である。
確認の目安は、次のとおりである。
- 第1に、刑事弁護と、在留特別許可・退去強制などの入管手続の両方を扱っているか。
- 第2に、通訳を介して、接見や説明を母国語で受けられるか。
- 第3に、処分の見通しを、在留資格への影響とあわせて説明してくれるか。
- 第4に、結果ごとの在留への影響を、条文を示して説明してくれるか。
- 第5に、結果を保証するような説明をしていないか。
弁護士に相談すべきタイミングはいつか?
逮捕後の最初の接見前、または取調べで供述調書に署名する前が最も重要であり、在宅事件でも早めに相談するのが望ましい。
被疑者の配偶者や直系親族は、独立して弁護人を選任できる(刑事訴訟法第30条第2項)。家族が中国にいて来日できない場合も、連絡を取ることができる。
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)では、弁護士の松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)が外国人の刑事事件と入管手続(在留特別許可・退去強制)を扱っている。中国語での相談に対応しており(専属通訳が常駐)、中国律師も在籍している。微信ID matsumura1119からも連絡できる。
よくある質問
初めての万引きでも逮捕されるのか?
初めてでも逮捕される場合はあるが、在宅事件や微罪処分で終わる場合もある。事案の内容、身元、住居の状況によって異なる。
万引きで罰金になった場合、ビザの更新はできるか?
罰金のみの場合、入管法第24条第4号の2・第4号リには通常当たらないが、更新の審査では素行などが考慮される場合がある(同法第21条第3項)。個別事情による。
不起訴になれば、在留に影響はないのか?
不起訴であれば、有罪の判決がないため、第24条第4号の2・第4号リには当たらない。ただし、手続中の事情が更新の審査で考慮される可能性はある。
店に謝罪や弁償を直接してよいか?
直接の交渉は、威迫や証拠隠滅を疑われるおそれがあるため、弁護人を通じて行うのが一般的である。
家族が中国にいて来日できない場合、どう相談すればよいか?
本事務所は中国語(専属通訳が常駐)で対応しており、微信ID matsumura1119からも相談できる。
根拠条文・出典
- 刑法第235条・第243条・第25条・第38条(e-Gov法令検索)
- 盗犯等の防止及び処分に関する法律第3条(e-Gov法令検索)
- 刑事訴訟法第30条・第60条・第198条・第203条・第205条・第207条・第208条・第213条・第246条・第248条・第461条(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法第21条第3項・第22条第2項・第24条第4号リ・第4号の2・第24条の3・第50条第1項(e-Gov法令検索)
ご相談について
ご家族が逮捕された、警察から呼び出しを受けた、という場合は、早い段階でご連絡ください。中国語でのご相談に対応しています(専属通訳が常駐)。微信(WeChat)ID:matsumura1119。中国人の刑事事件|刑事事件と在留資格|お問い合わせ
最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077) 舟渡国際法律事務所(東京都豊島区) 微信ID:matsumura1119
本記事は一般的な法律情報であり、個別の事案の結論は具体的な事情によって異なる。
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