控訴・上告とは?第一審判決に不服があるときの手続と期限
2026/10/07
控訴とは、地方裁判所または簡易裁判所がした第一審の判決に不服がある場合に、高等裁判所に審理のやり直しを求める手続であり、期間は14日である(刑事訴訟法372条・373条)。
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この記事の要点
- 控訴の期間は14日で、判決が告知された日から進行する(刑訴373条・358条)
- 控訴の申立書は、第一審裁判所に差し出す(374条)
- 控訴の理由は法定されており、事実誤認や量刑不当などに限られる(377条から383条・384条)
- 上告は、憲法違反や判例違反などを理由とする(405条)
- 外国籍の方は、控訴するかどうかを、在留への影響まで踏まえて判断する必要がある
控訴とは何か、どの裁判所に申し立てるのか
控訴は、地方裁判所または簡易裁判所がした第一審の判決に対する不服申立てであり(刑訴372条)、審理は高等裁判所が行う(裁判所法16条1号)。
検察官と被告人のどちらも、上訴をすることができる(刑訴351条)。被告人が控訴をしなければ、検察官が控訴をしない限り、第一審の判決は受け入れた形になる。裁判は確定した後に執行される(471条)。
略式命令は、控訴ではなく正式裁判の請求で争う。その期間は、告知を受けた日から14日である(465条)。
控訴の期限と手続は、どうなっているのか
控訴の提起期間は14日であり(刑訴373条)、控訴申立書を第一審裁判所に差し出して行う(374条)。
期間は、裁判が告知された日から進行する(358条)。期間の計算では、日で計算するものは初日を算入せず、末日が日曜日・土曜日・祝日などに当たるときはその日を算入しない(55条)。もっとも、判決の言渡しの日から数えて余裕をもって申立書を出すべきである。
控訴をした後、控訴申立人は、裁判所の規則で定める期間内に控訴趣意書を控訴裁判所に差し出さなければならない(376条1項)。実際の最終期限は、控訴裁判所から通知される。控訴趣意書を期限内に出さないと、決定で控訴が棄却される(386条1項1号)。
| 手続 | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 控訴 | 判決の告知から14日 | 刑訴373条・358条 |
| 控訴趣意書 | 裁判所が指定する最終期限まで | 376条・386条1項1号 |
| 上告 | 控訴と同様に14日 | 414条・373条 |
| 上告審の判決の訂正申立て | 判決の宣告日から10日 | 415条 |
| 略式命令への正式裁判の請求 | 告知から14日 | 465条 |
控訴では、どのような理由が認められるのか
控訴は、法定の理由がある場合に限られ(刑訴384条)、主な理由は、訴訟手続の法令違反、法令適用の誤り、量刑不当、事実誤認である。
具体的には、訴訟手続に法令の違反があり、その違反が判決に影響を及ぼすことが明らかな場合(379条)、法令の適用に誤りがあり、その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかな場合(380条)、刑の量定が不当な場合(381条)、事実の誤認があり、その誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかな場合(382条)がある。
控訴趣意書には、訴訟記録と原審で取り調べた証拠に現れている事実を援用するなど、理由ごとの方式が求められる。理由が明らかに法定の事由に当たらないときは、決定で控訴が棄却される(386条1項3号)。単に判決に納得できないという理由だけでは足りない。
控訴審では、どのような判断が示されるのか
控訴審は、法定の事由がなければ判決で控訴を棄却し(刑訴396条)、事由があれば原判決を破棄する(397条)。
原判決を破棄する場合は、事件を原裁判所に差し戻すか、他の裁判所に移送するのが原則だが、訴訟記録や証拠から直ちに判決ができると認めるときは、控訴裁判所が自ら判決をすることもできる(400条)。
被告人が控訴をした事件、または被告人のために控訴をした事件では、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない(402条)。ただし、検察官も控訴できるため、検察官が控訴した場合はこの限りでない。控訴審では、原則として被告人は公判期日に出頭する必要がない(390条)。
上告とは何か、控訴とどう違うのか
上告は、高等裁判所がした判決に対する不服申立てで、最高裁判所が審理する(裁判所法7条1号)。理由は、憲法違反・憲法の解釈の誤りや、判例違反に限られる(刑訴405条)。
上告の提起期間も、控訴の規定が準用され14日である(414条・373条)。事実誤認や量刑不当は、405条の上告理由ではない。もっとも、上告裁判所は、405条の事由がなくても、判決に影響を及ぼすべき法令の違反、刑の量定が甚しく不当であること、重大な事実の誤認などがあり、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄できる(411条)。
また、最高裁判所は、法令の解釈に関する重要な事項を含むと認める事件を、自ら上告審として受理することができる(406条)。
控訴・上告の間、身柄はどうなるのか
拘禁刑以上の刑に処する判決が宣告されると、保釈は効力を失い(刑訴343条)、その後の保釈は、宣告前より厳しい要件が課される(344条)。
拘禁刑以上の判決の宣告後は、権利保釈の規定(89条)は適用されず、裁量による保釈(90条)も、保釈されない場合の不利益の程度が著しく高い場合などに限られる(344条)。上訴の提起期間内で、まだ上訴の提起がない事件の保釈等は、原裁判所が決定する(97条1項)。
全部の執行猶予や罰金などの判決では、勾留状は効力を失う(345条)。控訴中の身柄の見通しは、判決の内容により異なる。
外国籍の方は、控訴・上告で在留資格にどう影響するのか
控訴するかどうかは、判決で言い渡された刑の種類と長さが、退去強制や在留の審査にどう関わるかを踏まえて判断する必要がある。
たとえば、1年を超える拘禁刑でも全部の執行猶予が付けば、入管法24条4号リの対象外となる。薬物関係の有罪判決は、罰金や執行猶予でも同号チに当たり得る。刑の種類や長さ、罪名の認定が在留に直結するため、量刑不当や事実誤認を理由とする控訴は、在留の観点からも検討する価値がある。
一方、退去強制対象者に当たる外国人については、刑事手続が行われている間も、収容しない形で退去強制の手続が進められる場合がある(63条1項)。控訴するかどうかを、刑事の見通しと在留の見通しの両面から検討することが重要である。
弁護士に相談すべきタイミングはいつか
判決の宣告を受けたら、期限が14日と短いため、直ちに弁護士に相談するのが望ましい。
控訴するかどうかは、控訴期間内に決める必要があり、控訴趣意書の作成にも時間がかかる。弁護士を選ぶときは、第1に外国人の刑事事件と入管の双方を扱っているか、第2に母語で相談できるか、第3に判決の内容に応じた控訴の見通しと在留への影響を説明してくれるか、を確認するとよい。
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の弁護士松村大介(第一東京弁護士会所属・登録番号59077)は、外国人の刑事事件と入管(在留特別許可・退去強制)を取り扱い、中国語での相談に対応している(専属通訳が常駐し、中国律師が在籍)。微信IDはmatsumura1119である。
よくある質問
控訴の期限に遅れたらどうなるのか。
控訴権の消滅後にされた控訴の申立ては、明らかなときは決定で棄却される(刑訴385条1項)。期限は判決の告知の日から14日であるため、早めに動く必要がある。
控訴すると、刑が重くなることはあるのか。
被告人だけが控訴した場合、原判決の刑より重い刑は言い渡せない(402条)。検察官も控訴した場合は、この限りでない。
事実を争わず、量刑だけを争って控訴できるのか。
できる。刑の量定が不当であることは、控訴の理由になる(381条)。ただし、訴訟記録や証拠に現れている事実を援用して主張する必要がある。
上告では、量刑が重すぎることを理由にできるのか。
量刑不当は、上告理由(405条)ではない。ただし、刑の量定が甚しく不当で、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するときは、上告裁判所が破棄できる場合がある(411条2号)。
根拠条文・出典
- 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第55条・第97条・第343条・第344条・第345条・第351条・第358条・第372条から第386条・第390条・第396条・第397条・第400条・第402条・第405条・第406条・第411条・第414条・第415条・第465条・第471条(e-Gov法令検索)
- 裁判所法(昭和22年法律第59号)第7条・第16条(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)第24条・第63条(e-Gov法令検索)
- 刑事訴訟規則(最高裁判所規則)の控訴趣意書の差出し期間に関する定め(裁判所ウェブサイト)
ご相談について
ご家族が逮捕された、警察から呼び出しを受けた、という場合は、早い段階でご連絡ください。中国語でのご相談に対応しています(専属通訳が常駐)。微信(WeChat)ID:matsumura1119。中国人の刑事事件|刑事事件と在留資格|お問い合わせ
最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077) 舟渡国際法律事務所(東京都豊島区) 微信ID:matsumura1119
本記事は一般的な法律情報であり、個別の事案の結論は具体的な事情によって異なる。
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