外国籍の少年が逮捕されたらどうなるか(少年事件・特定少年)
2026/10/07
少年法は、国籍を問わず20歳に満たない者を「少年」とし(2条1項)、少年の事件は原則として家庭裁判所に送られて保護処分などが検討されるが、18歳・19歳の「特定少年」には、原則逆送の対象事件の拡大など特例がある(62条以下)。
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この記事の要点
- 少年事件は、成人の刑事事件と異なり、検察官が捜査を遂げた後、原則として全件が家庭裁判所に送致される(少年法42条1項)。
- 逮捕後の勾留は「やむを得ない場合」に限られ(同法43条3項・48条1項)、勾留に代わる観護措置(少年鑑別所への収容)がとられる場合もある。
- 18歳・19歳の特定少年は、死刑、無期又は短期1年以上の拘禁刑に当たる罪の事件で、原則として検察官に送致される(同法62条2項2号)。
- 保護処分は刑罰ではないが、外国籍の方は、在留の更新・変更の審査や、刑事処分となった場合の入管法24条4号ト・リに注意が必要である。
少年事件とは何か。
20歳に満たない者の事件であり、外国籍でも日本で罪を犯せば、日本の少年法の手続の対象になる。
少年法は、「少年」を20歳に満たない者と定める(2条1項)。国籍による区別はなく、外国籍の少年にも同法が適用される。少年の刑事事件は、少年法に特別の定めがあるものを除き、一般の例による(同法40条)。
家庭裁判所は、罪を犯した少年などを審判に付し(同法3条1項1号)、調査の結果、審判を開始するのが相当と認めるときは審判開始の決定をする(同法21条)。審判を開始しないこともある(同法19条1項)。
特定少年とは何か。
特定少年は18歳・19歳の少年であり、少年法の適用を受けるが、17歳以下の少年とは一部の取扱いが異なる。
特定少年とは、18歳以上の少年をいう(少年法62条1項)。民法上の成年年齢とは別に、少年法では引き続き少年として扱われるが、次の点で特例が置かれている。
| 項目 | 17歳以下の少年 | 特定少年(18歳・19歳) |
|---|---|---|
| 原則逆送 | 故意の犯罪行為で被害者を死亡させた罪(16歳以上)(20条2項) | 左に加え、死刑又は無期若しくは短期1年以上の拘禁刑に当たる罪(62条2項2号) |
| 保護処分 | 保護観察、児童自立支援施設等への送致、少年院送致(24条1項) | 6月又は2年の保護観察、少年院送致(収容期間は3年以下で定める)(64条) |
| 虞犯 | 審判に付される場合がある(3条1項3号) | 適用されない(65条1項) |
| 推知報道 | 禁止される(61条) | 起訴(略式手続を除く)後は禁止が及ばない(68条) |
逮捕された少年の手続は、成人とどう違うのか。
勾留は「やむを得ない場合」に限られ、捜査の後は原則として全件が家庭裁判所に送られる。
逮捕後の流れは、48時間以内の送致、24時間以内の勾留請求など、成人と共通する部分が多い(刑事訴訟法203条・205条)。ただし、検察官は、少年の被疑事件では、やむを得ない場合でなければ勾留を請求できず(少年法43条3項)、裁判官も、やむを得ない場合でなければ勾留状を発することができない(同法48条1項)。勾留に代えて、少年鑑別所に収容する観護措置を請求することもできる(同法43条1項)。
家庭裁判所は、観護措置として少年を少年鑑別所に収容できる。収容期間は2週間を超えることができず、特に継続の必要があるときは更新でき、原則として更新は1回まで、通算8週間が上限である(同法17条3項・4項・9項)。
- 第1に、逮捕後、検察官が捜査を遂げ、少年事件は家庭裁判所に送致される(同法42条1項)。
- 第2に、家庭裁判所が観護措置をとるかを判断する(同法17条)。
- 第3に、調査を経て、審判を開始するか決める(同法19条・21条)。
- 第4に、審判で、保護処分、検察官送致などの決定がなされる(同法23条・24条)。
家庭裁判所では、どのような処分がされるのか。
保護処分を受けるか、刑事処分が相当として検察官に送致(逆送)されるかが、大きな分かれ目になる。
家庭裁判所は、17歳以下の少年に対し、保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設への送致、少年院送致のいずれかの保護処分をする(同法24条1項)。特定少年には、6月の保護観察、2年の保護観察、少年院送致があり、少年院の場合は3年以下の収容期間が定められる(同法64条)。
拘禁刑以上の刑に当たる罪の事件で、罪質及び情状に照らして刑事処分が相当と認められるときは、検察官に送致される(同法20条1項)。特定少年については、62条が同旨を定め、一定の事件は原則として逆送される(同条2項)。逆送された場合は、成人と同じ刑事手続で起訴・裁判が行われる場合がある。
付添人は、どの段階から何をするのか。
家庭裁判所に送致されると、被疑者段階の弁護人の選任は効力を失うため、改めて付添人を選任する必要がある。
検察官が事件を家庭裁判所に送致すると、刑事訴訟法に基づく被疑者の弁護人選任は効力を失う(少年法42条2項)。少年や保護者らは、家庭裁判所の許可を受けて付添人を選任でき、弁護士を付添人に選任する場合は許可が要らない(同法10条1項)。
観護措置がとられている一定の事件などでは、弁護士である付添人がいない場合に、家庭裁判所が国選の付添人を付す場合がある(同法22条の3)。付添人は、少年や保護者との面談、家庭裁判所の調査への対応、審判での主張などを担う。
外国籍の少年・家族は在留資格にどう影響するか。
保護処分は刑罰ではないが、更新・変更の審査で考慮され得る。刑事処分になった場合は、入管法24条4号ト・リの対象となり得る。
入管法24条4号トは、少年法に規定する少年で、長期3年を超える拘禁刑に処せられたものを、同号リは、1年を超える拘禁刑に処せられた者(全部執行猶予を除く)を、それぞれ退去強制の対象とする。保護処分は刑罰ではなく、条文上は「拘禁刑に処せられた」場合に当たらないが、在留期間の更新や変更は、相当の理由があるときに限り許可されるため(同法21条3項・20条3項)、非行事実が考慮される可能性がある。
少年院の在院者の処遇に関する手続が行われている場合も、退去強制の手続は準じて進められ得るが、令書の執行は、その手続が終了した後が原則である(同法63条1項・2項)。
| 家庭裁判所・刑事手続の結果 | 入管法24条4号ト・リの関係 | 留意点 |
|---|---|---|
| 審判不開始・不処分 | 刑に処せられていない | 更新・変更の審査で事件が考慮され得る |
| 保護処分(保護観察・少年院送致など) | 刑ではないため直接は該当しない | 更新・変更の審査で考慮され得る |
| 逆送後の罰金 | 拘禁刑ではないため該当しない | 更新・変更の審査で考慮され得る |
| 逆送後の拘禁刑の実刑 | 長期3年超はト、1年超はリの対象 | 在留特別許可には特別の事情が必要(50条1項ただし書) |
弁護士に相談すべきタイミングはいつか。
少年が逮捕された直後、または警察から連絡を受けた時点で、できるだけ早く相談することが望ましい。
少年と保護者は、逮捕後すぐに弁護人を選任でき、弁護人は立会人なしで接見できる(刑事訴訟法39条1項)。保護者が中国などの国外にいて来日できない場合も、微信や電話で状況を伝えることができる。
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)では、弁護士の松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)が、外国人の刑事事件と入管手続(在留特別許可・退去強制)を扱っている。中国語での相談に対応し、専属の通訳が常駐しているほか、中国律師が在籍している。微信ID matsumura1119 でも連絡できる。
よくある質問
18歳・19歳の特定少年は、成人として扱われるのか。
少年法上は引き続き少年として扱われ、原則として家庭裁判所に送致される。ただし、原則逆送の対象事件が広がるなど、17歳以下の少年とは異なる特例がある(62条以下)。
家庭裁判所に事件が送られると、弁護人はどうなるのか。
被疑者段階の弁護人の選任は効力を失う(少年法42条2項)。改めて付添人を選任する必要がある。
少年院に入った場合、すぐに退去強制になるのか。
保護処分は刑罰ではなく、条文上は「拘禁刑に処せられた」場合に当たらない。ただし、個別の事情により、在留の更新や変更の審査で考慮され得る。
親が中国にいる場合、手続にどう関わるのか。
保護者とは、法律上監護教育の義務ある者や少年を現に監護する者をいう(少年法2条2項)。国外にいる場合の関与の方法は、付添人が家庭裁判所と調整して決める。
根拠条文・出典
- 少年法2条・3条・10条・17条・19条・20条・21条・22条の3・23条・24条・40条・42条・43条・48条・61条(e-Gov法令検索)
- 少年法62条・64条・65条・68条(特定少年に関する特例、e-Gov法令検索)
- 刑事訴訟法39条1項・203条・205条(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法20条3項・21条3項・24条4号ト・24条4号リ・50条1項・63条(e-Gov法令検索)
ご相談について
ご家族が逮捕された、警察から呼び出しを受けた、という場合は、早い段階でご連絡ください。中国語でのご相談に対応しています(専属通訳が常駐)。微信(WeChat)ID:matsumura1119。中国人の刑事事件|刑事事件と在留資格|お問い合わせ
最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077) 舟渡国際法律事務所(東京都豊島区) 微信ID:matsumura1119
本記事は一般的な法律情報であり、個別の事案の結論は具体的な事情によって異なる。
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