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取調べに通訳人はつくのか 通訳の質と調書の署名

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取調べに通訳人はつくのか 通訳の質と調書の署名

取調べに通訳人はつくのか 通訳の質と調書の署名

2026/10/07

日本語に通じない外国人の取調べは、現行犯逮捕など直ちに通訳人を付けることが困難な場合を除き、原則として通訳人を介して行われ、調書にはその旨と通訳人を介して読み聞かせた旨が記載される(犯罪捜査規範233条1項・182条1項)。

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この記事の要点

  • 警察の規則である犯罪捜査規範は、日本語に通じない外国人の取調べについて、原則として通訳人を介して行うと定める(233条1項)。
  • 取調べにあたる警察官自身がその外国人の理解する言語に通じている場合は、この規定の対象外である。
  • 調書は、閲覧または読み聞かせで確認し、増減変更を申し立てられ、署名押印は拒絶できる(刑訴198条4項・5項)。
  • 通訳に疑問があるときは、その場で確認し、署名を急がずに弁護人へ伝えることが大切である。

取調べには、通訳人がつくのか

日本語に通じない外国人の取調べは、原則として通訳人を介して行われるが、例外もある。

犯罪捜査規範は、日本語に通じない外国人に対し、その外国人の理解する言語に通じた警察官以外の警察官が取調べを行う場合には、通訳人を介して行うものと定める。ただし、現行犯逮捕、緊急逮捕その他の直ちに通訳人を付することが困難なときは、この限りでない(233条1項)。

刑事訴訟法も、国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならないと定める(刑訴175条)。捜査段階の取調べでの具体的な運用は、犯罪捜査規範によって定められている。

通訳の質は、なぜ問題になるのか

取調べの内容は調書に残り、後の手続の前提になるため、通訳の誤りが供述の内容そのものを変えてしまうおそれがある。

同じ中国語でも、方言や地域ごとの言い回しがあり、専門用語や法律用語は正確に訳しにくいことがある。通訳された内容を本人が理解できていない場合、実際の供述と調書の記載がずれる可能性がある。

犯罪捜査規範は、通訳人を介して取調べを行おうとする場合の注意点として、通訳人が被疑者や関係者と親族その他特別の関係にないかを申し立てさせること、発問の方法や内容を工夫して通訳の円滑と適正を図ること、通訳人に秘密を守らせることを定める(233条2項)。

通訳の質を確保するために、本人と家族は何ができるのか

分からないことをその場で確認する、通訳人の氏名や取調べの状況を記録に残す、疑問を弁護人に伝えるといった対応が考えられる。

本人は、通訳された内容が理解できないとき、または母語の意味と違うと感じるときに、その場で確認できる。家族は、弁護人を通じて通訳に関する疑問を伝えることができる。

  • 自分の言語(方言を含む)を取調べ官と通訳人に伝える
  • 聞き取れない、分からない部分は、その場で聞き直す
  • 通訳人の氏名や、取調べの日時と時間をできるだけ記憶し、弁護人に伝える
  • 通訳内容に疑問があるときは、供述や署名を急がず弁護人に相談する

調書の署名は、どのように扱えばよいのか

調書は読み聞かせなどで内容を確認し、誤りがあれば訂正を申し立てられ、署名押印は拒絶できる。

調書は、被疑者に閲覧させるか読み聞かせて、誤りがないかを問うことになっている。増減変更の申立てがあれば、その供述を調書に記載しなければならない。署名押印を求められるが、拒絶した場合は求めることができなくなる(刑訴198条4項・5項)。

日本語に通じない外国人の取調べでは、日本語の供述調書が作成されるのが原則である(犯罪捜査規範235条1項)。通訳人を介して取調べを行ったときは、調書にその旨と、通訳人を介して読み聞かせた旨を記載しなければならない(同規範182条1項)。署名の前に、日本語の調書の内容が母語で正確に読み聞かされたかを確認する。

調書の署名前に確認すること
確認事項内容根拠
読み聞かせ通訳人を介して全文を母語で聞いたか刑訴198条4項、犯罪捜査規範182条1項
訂正の申立て誤りや不足を訂正してもらったか刑訴198条4項
署名の拒絶納得できないときは署名を拒めることを知っているか刑訴198条5項
拒絶の記載署名拒否はその旨が記載される犯罪捜査規範181条3項

通訳に問題があった場合、後から争えるのか

供述が任意にされたものかどうかなどが争われる場合があり、争えるかは事案による。

強制や脅迫による自白、その他任意にされたものでない疑いのある自白は、証拠とすることができない(刑訴319条1項)。署名押印のある調書でも、不利益事実の承認が任意にされたものでない疑いがあるときは、証拠とすることができない(刑訴322条1項ただし書)。

一定の事件では、逮捕・勾留中の被疑者の取調べが録音・録画の対象となる(刑訴301条の2第4項)。通訳の内容を後から検証できるかは、事件の種類による。

外国籍の方は、通訳や調書の内容によって在留資格にどう影響するのか

調書の内容は刑事処分の前提となり、その結果が在留資格に関わる場合がある。

刑事手続が行われている外国人についても、退去強制対象者に当たる場合には、入管当局は退去強制の手続を進めることができる(入管法63条1項)。供述の内容は、刑事処分の結果を通じて、在留資格にも影響し得る。

たとえば、1年を超える拘禁刑に処せられた場合は24条4号リに当たり得るが、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた場合は除かれる。薬物関係の罪は、有罪判決のみで24条4号チに当たり得る。誤訳によって事実と異なる調書ができることは避けなければならない。

弁護士に相談すべきタイミングはいつか

最初の取調べの前後に弁護人と接見し、通訳の状況を共有することが望ましい。

調書は取調べのたびに作成されるため、通訳に疑問を感じた段階で、できるだけ早く弁護人に伝えることが重要である。家族が中国にいる場合も、電話や微信で相談を始められる。

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の弁護士 松村大介は、中国語での相談に対応しており、専属通訳が常駐し、中国律師も在籍している。外国人の刑事事件と入管手続を扱っている。

よくある質問

通訳人は、本人が選べますか。

取調べで本人が通訳人を指名できる旨の規定は、本稿で確認した条文には見当たらない。通訳人に特別な関係がないかを申し立てさせることは定められている(犯罪捜査規範233条2項)ため、疑問があれば弁護人を通じて申し入れる。

取調べ官が中国語を話す場合も、通訳人はつきますか。

取調べにあたる警察官自身がその外国人の理解する言語に通じている場合は、通訳人を介する規定の対象外である(犯罪捜査規範233条1項)。その場合でも、調書の内容は日本語で作成されるため、署名前の確認が重要である。

調書が日本語のみで、内容が分からないときは署名してよいですか。

内容を理解できないまま署名する必要はない。署名押印は求められても拒絶できる(刑訴198条5項)。通訳人を介して全文を母語で読み聞かせてもらい、誤りの訂正を申し立てたうえで判断する。

通訳の質に問題があった場合、弁護人に何を伝えればよいですか。

分からなかった点、通訳人の氏名、取調べの日時と時間、通訳の内容に疑問を感じた場面を、できるだけ具体的に伝える。後の手続で供述の任意性などを検討する際の手がかりになる。

根拠条文・出典

  • 刑事訴訟法 第175条・第198条・第319条・第322条・第301条の2(e-Gov法令検索)
  • 犯罪捜査規範(昭和32年国家公安委員会規則第2号)第181条・第182条(e-Gov法令検索)
  • 犯罪捜査規範 第233条・第235条・第236条(e-Gov法令検索)
  • 出入国管理及び難民認定法 第24条・第63条(e-Gov法令検索)

ご相談について

ご家族が逮捕された、警察から呼び出しを受けた、という場合は、早い段階でご連絡ください。中国語でのご相談に対応しています(専属通訳が常駐)。微信(WeChat)ID:matsumura1119。中国人の刑事事件|刑事事件と在留資格|お問い合わせ

最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077) 舟渡国際法律事務所(東京都豊島区) 微信ID:matsumura1119

本記事は一般的な法律情報であり、個別の事案の結論は具体的な事情によって異なる。

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