飲酒運転・ひき逃げ・人身事故で逮捕されたらどうなる?
2026/10/07
飲酒運転・ひき逃げ・人身事故で逮捕された場合は、酒酔い運転(道路交通法第117条の2第1項第1号)、酒気帯び運転(同法第117条の2の2第1項第3号)、救護義務違反(同法第117条)、過失運転致死傷(自動車運転死傷行為処罰法第5条)などに問われ、事故の結果や運転の状態によっては危険運転致死傷(同法第2条)に当たる場合もある。
総合ガイド:外国人の刑事事件ガイド(状況別の記事一覧)
この記事の要点
- 飲酒運転は、酒気帯びと酒酔いで罪名が異なり、人身事故を伴うと、自動車運転死傷行為処罰法の罪が問題になる。
- ひき逃げは、負傷者の救護と危険防止の義務に違反する罪であり、人身事故を伴う場合は5年以下または10年以下の拘禁刑となる。
- 酒に酔った状態の事故では、アルコールの影響の程度により、危険運転致死傷罪に当たる場合がある。
- 外国籍の方は、危険運転致死傷罪などで拘禁刑に処せられると、入管法第24条第4号の2に当たる場合がある。
飲酒運転・人身事故では、どのような罪に問われるか?
罪名は、飲酒の程度、事故の有無、被害の結果、運転の状態によって異なり、酒気帯び運転で罰金のみの場合から、危険運転致死傷罪まで幅がある。
酒気帯び運転は、呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上(血液では1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上)のアルコールを保有した状態での運転が対象である(道路交通法第117条の2の2第1項第3号、同法施行令第44条の3)。
人身事故を起こした場合は、自動車運転死傷行為処罰法の罪が加わる。主な罪名と刑は、次のとおりである。
| 罪名 | 刑 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 酒気帯び運転 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 道路交通法第117条の2の2第1項第3号 |
| 酒酔い運転 | 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 道路交通法第117条の2第1項第1号 |
| 過失運転致死傷 | 7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 自動車運転死傷行為処罰法第5条 |
| 危険運転致死傷(アルコール影響) | 負傷15年以下、死亡は1年以上の有期拘禁刑 | 同法第2条第1号 |
| 準危険運転致死傷 | 負傷12年以下、死亡15年以下の拘禁刑 | 同法第3条第1項 |
| アルコール等影響発覚免脱 | 12年以下の拘禁刑 | 同法第4条 |
| 救護義務違反(ひき逃げ) | 5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(運転に起因する場合は10年以下または100万円以下) | 道路交通法第117条第1項・第2項 |
ひき逃げ(救護義務違反)とは何か?
ひき逃げは、交通事故を起こした運転者が、直ちに運転を停止して負傷者を救護し、危険を防止する義務に違反した場合に成立する。
交通事故があったときは、運転者は、直ちに車両を停止し、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等の措置を講じなければならず、警察へ事故の内容を報告する義務もある(道路交通法第72条第1項)。
人の死傷があった場合に救護義務に違反すると、5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金となり、死傷が運転者の運転に起因するときは、10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となる(同法第117条)。事故の報告をしなかった場合は、3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金である(同法第119条第1項第17号)。
人身事故で逮捕されたら、手続はどう進むのか?
逮捕後は、48時間以内の送致、24時間以内の勾留請求を経て、勾留されると最大で23日間の身体拘束となる場合がある。
警察は、逮捕後48時間以内に検察官へ送致し(刑事訴訟法第203条第1項)、検察官は24時間以内に勾留を請求する(同法第205条第1項)。勾留は10日、延長は通算10日までである(同法第208条)。
示談や被害弁償は、検察官が起訴するかどうかを決める際に考慮される場合がある(同法第248条)。
過失運転致傷罪では、傷害が軽いときに、情状により刑を免除できる場合がある(自動車運転死傷行為処罰法第5条ただし書)。日本では起訴前に保釈の制度はなく(刑事訴訟法第207条第1項ただし書)、中国の「取保候审」とは別の制度である。
運転免許や行政処分はどうなるのか?
刑事処分とは別に、公安委員会による免許の取消し・停止などの行政処分があり、国際運転免許証等で運転している場合は、運転禁止の処分を受ける場合がある。
免許を受けた者が、法令の定める事由に該当すると、住所地を管轄する公安委員会は、政令の基準に従い、免許の取消しまたは停止ができる(道路交通法第103条第1項)。
国際運転免許証等を所持する者が、運転に関し、同法に違反したときなどは、公安委員会が、5年を超えない範囲で期間を定めて、運転を禁止できる(同法第107条の5)。
国際運転免許証等で運転する場合も、本邦に上陸した日から滞在期間が1年を超えると、免許を受けない運転として扱われる場合がある(同法第117条の2の2第1項第1号)。
外国籍の方は在留資格にどう影響するか?
罪名によって、入管法第24条第4号の2の対象になるかが異なり、危険運転致死傷罪などは対象だが、過失運転致死傷罪や酒気帯び運転は、条文上列挙されていない。
入管法第24条第4号の2は、別表第一の在留資格の者が、自動車運転死傷行為処罰法第2条(危険運転致死傷)または第6条第1項(無免許運転による加重)の罪により拘禁刑に処せられた場合を対象とする。同号には、執行猶予を除外する規定がない。
過失運転致死傷罪(同法第5条)や道路交通法違反の罪は、第4号の2に列挙されていない。ただし、在留に影響がないという意味ではなく、1年を超える拘禁刑に処せられた場合は第4号リの対象となり(全部執行猶予を除く)、更新・永住の審査でも考慮される場合がある(入管法第21条第3項、第22条第2項第1号)。
退去強制事由に当たる場合でも、在留特別許可の余地がある(同法第50条第1项)。出国命令は、第4号の2の罪により拘禁刑に処せられた者には使えない(同法第24条の3第3号)。
| 罪名 | 第4号の2 | 拘禁刑の場合の別の条項 |
|---|---|---|
| 危険運転致死傷(第2条) | 対象 | 第4号リ(1年超) |
| 無免許運転による加重(第6条第1項) | 対象 | 第4号リ(1年超) |
| 準危険運転致死傷(第3条) | 条文上列挙なし | 第4号リ(1年超) |
| 過失運転致死傷(第5条) | 条文上列挙なし | 第4号リ(1年超) |
| 酒気帯び・酒酔い運転、救護義務違反 | 条文上列挙なし | 第4号リ(1年超) |
外国人の刑事事件で、弁護士を選ぶときに確認すべき点は何か?
外国人の刑事事件では、刑事弁護と入管手続の両方に通じていることと、母国語で相談できることを確認するのが重要である。
確認の目安は、次のとおりである。
- 第1に、刑事弁護と、在留特別許可・退去強制などの入管手続の両方を扱っているか。
- 第2に、通訳を介して、接見や説明を母国語で受けられるか。
- 第3に、処分の見通しを、在留資格への影響とあわせて説明してくれるか。
- 第4に、結果ごとの在留への影響を、条文を示して説明してくれるか。
- 第5に、結果を保証するような説明をしていないか。
弁護士に相談すべきタイミングはいつか?
逮捕後の最初の接見前と、供述調書に署名する前が最も重要であり、被害者への対応や在留資格の見通しも、早めの相談が望ましい。
弁護人は、立会人なしで被疑者と接見できる(刑事訴訟法第39条第1項)。配偶者や直系親族も、独立して弁護人を選任できる(同法第30条第2項)。
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)では、弁護士の松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)が外国人の刑事事件と入管手続(在留特別許可・退去強制)を扱っている。中国語での相談に対応しており(専属通訳が常駐)、中国律師も在籍している。微信ID matsumura1119からも連絡できる。
よくある質問
酒気帯び運転で罰金になった場合、ビザは更新できるか?
罰金のみの場合、入管法第24条第4号の2・第4号リには通常当たらないが、更新や永住の審査で考慮される場合がある。個別事情による。
ひき逃げで逮捕されると、長く勾留されるのか?
勾留は、住居不定、罪証隠滅、逃亡のおそれがある場合に認められ(刑事訴訟法第60条第1項)、結果は個別事情による。
飲酒運転の同乗者も逮捕されるか?
運転者が酒に酔った状態にあることを知りながら同乗し、運転者が実際にその状態で運転した場合は、罰則の対象になる場合がある(道路交通法第65条第4項、第117条の2の2第1項第6号)。
家族が中国にいて来日できない場合、どう相談すればよいか?
本事務所は中国語(専属通訳が常駐)で対応しており、微信ID matsumura1119からも相談できる。
根拠条文・出典
- 道路交通法第65条・第72条・第103条・第107条の5・第117条・第117条の2・第117条の2の2・第119条(e-Gov法令検索)
- 道路交通法施行令第44条の3(e-Gov法令検索)
- 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条・第3条・第4条・第5条・第6条(e-Gov法令検索)
- 刑事訴訟法第30条・第39条・第60条・第203条・第205条・第207条・第208条・第248条(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法第21条第3項・第22条第2項・第24条第4号リ・第4号の2・第24条の3・第50条第1项(e-Gov法令検索)
ご相談について
ご家族が逮捕された、警察から呼び出しを受けた、という場合は、早い段階でご連絡ください。中国語でのご相談に対応しています(専属通訳が常駐)。微信(WeChat)ID:matsumura1119。中国人の刑事事件|刑事事件と在留資格|お問い合わせ
最終更新:2026年10月7日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077) 舟渡国際法律事務所(東京都豊島区) 微信ID:matsumura1119
本記事は一般的な法律情報であり、個別の事案の結論は具体的な事情によって異なる。
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