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退去強制令書の取消訴訟とは|出訴期間・執行停止・争える論点を弁護士が解説

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退去強制令書の取消訴訟とは|出訴期間・執行停止・争える論点を弁護士が解説

退去強制令書の取消訴訟とは|出訴期間・執行停止・争える論点を弁護士が解説

2026/10/07

退去強制令書の取消訴訟とは、入管法に基づいて発付された退去強制令書の発付処分、および在留特別許可を認めない旨の法務大臣の裁決について、その違法を主張して取消しを求める、行政事件訴訟法上の取消訴訟をいう(行政事件訴訟法第3条第2項・第3項)。

この記事の要点

  • 出訴期間は、処分または裁決があったことを知った日から6か月、処分または裁決の日から1年である(行政事件訴訟法第14条第1項・第2項)。期間を過ぎると原則として争えない。
  • 訴えを起こしただけでは、退去強制令書の効力や執行(送還)は止まらない(同法第25条第1項)。送還を止めるには、執行停止の申立てを併せて行う必要がある。
  • 争点は大きく、退去強制事由に当たるか、在留特別許可を認めなかった判断に裁量権の逸脱・濫用があるか、手続に違法がないか、の3つに分けて考える。
  • 刑事事件で有罪となった外国人も、この手続の対象になる。刑事手続と入管手続は別であり、並行して対応する必要がある。

退去強制令書の取消訴訟とは、何を争う訴訟ですか

結論として、退去強制令書の取消訴訟は、日本から強制的に出国させる国の判断そのものが違法であるとして、裁判所に取り消してもらう訴訟である。退去強制令書は、入管の手続(違反調査、違反審査、口頭審理、法務大臣への異議の申出)を経て、法務大臣が異議の申出に理由がないと裁決したときに、主任審査官が発付する。この一連の判断のどこかに違法があれば、取消しを求めることができる。

退去強制の手続のどの段階で、何を争えますか

結論として、実際に取消訴訟で争う対象になるのは、最終段階の「裁決」と「退去強制令書の発付処分」である。手続の流れと、各段階で本人ができることを表に整理する。

段階 内容
違反審査(入管法第45条以下) 入国審査官が退去強制事由に該当するかを認定する。認定に服さないときは口頭審理を請求できる。
口頭審理(同法第48条) 特別審理官が認定の誤りの有無を判定する。不服があれば異議を申し出る。
異議の申出(同法第49条第1項) 通知を受けた日から3日以内に、書面で法務大臣に異議を申し出る。
法務大臣の裁決(同法第49条第3項) 異議に理由があるかを裁決する。理由がないとの裁決があると、退去強制令書が発付される。
退去強制令書の執行(同法第52条) 入国警備官が令書を示して送還する。直ちに送還できないときは、監理措置に付すか収容するかが決められる(同条第8項)。
取消訴訟・執行停止 裁決と令書発付処分の取消しを求めて提訴し、あわせて執行停止を申し立てる。

実務上は、異議の申出に理由がないとした裁決と、退去強制令書の発付処分の双方について、併せて取消しを求める構成をとることが多い。

退去強制令書の取消訴訟は、いつまでに起こす必要がありますか

結論として、処分または裁決があったことを知った日から6か月以内である。さらに、処分または裁決の日から1年を経過すると、原則として提起できない(行政事件訴訟法第14条第1項・第2項。いずれも、正当な理由があるときは例外)。

収容されている場合、手続の説明を十分に受けられないまま日が過ぎてしまうことがある。令書が発付されたら、その日付と受け取った日を必ず記録し、速やかに弁護士に相談してほしい。

訴えを起こせば、送還は止まりますか

結論として、訴えを起こしただけでは止まらない。行政事件訴訟法第25条第1項は、処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行または手続の続行を妨げないと定めている。

送還を止めるには、同条第2項に基づき、裁判所に執行停止を申し立てる。申立てが認められるには、処分の執行により生じる重大な損害を避けるため緊急の必要があること、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと、本案について理由がないとみえないことが必要である(同条第2項・第4項)。詳しくは、執行停止とはで解説している。

どのような主張が考えられますか

結論として、主張は次の3つに整理できる。

  • 退去強制事由の該当性:入管法第24条各号の要件に当たる事実があったか。認定の前提となる事実や、条文の解釈に誤りがないかを検討する。
  • 在留特別許可を認めなかった判断の違法:法務大臣には広い裁量があるが、事実の基礎を欠く、考慮すべき事情を考慮していない、他の事案との均衡を欠くなど、裁量権の逸脱・濫用があれば違法となる。家族関係、日本での生活歴、入国時の年齢、本人の事情を具体的に主張する。
  • 手続の違法:口頭審理や、判断の理由の告知など、手続に瑕疵がなかったかを確認する。

在留特別許可の判断については、入管庁が公表する許可事例・不許可事例と、本人の事情を比較し、均衡を欠いていないかを検討する方法がある。具体的な見通しは、事案ごとに異なる。

訴訟の間、本人の在留や身柄はどうなりますか

結論として、執行停止が認められない限り、送還は可能な状態が続く。身柄については、令書の発付後に直ちに送還できないとき、主任審査官が監理措置に付すか収容するかを決める(入管法第52条第8項)。収容されている場合は、仮放免や監理措置の請求も並行して検討する。

送還されると、日本国内での生活の基盤や家族との生活が失われ、後からの回復が難しくなる。この点が、執行停止で重大な損害を主張する中心になる。

刑事事件で有罪になった場合も、同じ手続ですか

結論として、同じ入管手続の対象になる。薬物事犯などでは、有罪判決を受けたことが退去強制事由になる場合がある(入管法第24条第4号)。そのため、刑事事件の段階で不起訴や執行猶予を目指す弁護活動と、入管手続での主張を、最初から一体で設計する必要がある。退去強制の全体像は退去強制とはを参照してほしい。

よくある質問

退去強制令書が出たあとでも、争えますか。

争える。令書の発付処分と、異議の申出に理由がないとした裁決について、取消訴訟を起こすことができる。ただし、処分または裁決を知った日から6か月という出訴期間があるため、早い相談が必要である。

取消訴訟を起こすと、すぐ送還が止まりますか。

止まらない。訴えの提起だけでは、処分の効力や執行は妨げられない。送還を止めるには、執行停止の申立てが必要である。

収容されたままでも、訴訟を起こせますか。

起こせる。弁護人が接見して委任を受け、訴状と執行停止の申立書を提出する。収容中の家族からの連絡が難しい場合は、ご家族が依頼することも可能である。

在留特別許可が不許可になった場合も、取消訴訟の対象ですか。

対象になりうる。不許可の判断が裁量権の逸脱・濫用に当たるかを争う。具体的な見通しは、事案によって異なる。

中国語で相談できますか。

できる。中国語での相談に対応している。電話は050-7587-4639、微信(WeChat)IDはmatsumura1119である。

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最終更新 2026年10月7日 / 執筆 舟渡国際法律事務所 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)

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