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金の密輸で逮捕・告発されたら|関税法・消費税法の刑罰と在留資格(強制送還)・再入国への影響

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金の密輸で逮捕・告発されたら|関税法・消費税法の刑罰と在留資格(強制送還)・再入国への影響

金の密輸で逮捕・告発されたら|関税法・消費税法の刑罰と在留資格(強制送還)・再入国への影響

2026/09/10

金の延べ棒などを税関に申告せずに持ち込むと、関税法違反(無許可輸入)と、輸入の際に課される消費税・地方消費税のほ脱に問われます。ただし、これらの罪はどれも入管法24条4号の2に列挙されていないため、有罪判決を受けても、1年を超える実刑でなければ退去強制事由には当たりません。

見落とされやすいのは、判決後の出入国です。1年以上の拘禁刑に処せられると、執行猶予が付いても上陸拒否事由となるため、短期滞在で来日した運び役の方は、帰国後に日本へ入国できなくなるおそれがあります。SNSで勧誘されて運び役を引き受けた方やそのご家族に向けて、刑罰、税関の通告処分、在留への影響を順に整理します。

本記事の要点

  • 無許可輸入は5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金又は併科(関税法111条)、輸入消費税のほ脱は10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金又は併科(消費税法64条)です。
  • 税関長の通告処分を履行すれば、同じ事件で公訴は提起されません(関税法146条5項)。
  • これらの罪は4号の2の列挙外で、罰金や全部執行猶予では在留資格を問わず退去強制事由になりません。
  • 1年以上の拘禁刑は執行猶予付きでも上陸拒否事由となり、再入国が難しくなります。

金地金の密輸では、どの罪に問われ、刑罰はどのくらいですか

貨物を輸入するには税関長に申告して許可を受けなければならず(関税法67条)、申告せずに持ち込めば無許可輸入の罪となります。法定刑は5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金又は併科で、貨物の価格の5倍が1000万円を超えるときは、罰金の上限は価格の5倍まで引き上げられます(111条1項)。未遂も同じく処罰されます(同条3項)。

金の密輸が繰り返される背景には、輸入の際にかかる消費税・地方消費税(あわせて10%)を免れ、国内で消費税込みの価格で売却して差額を得る構図があります。そのため、輸入消費税のほ脱も併せて問われることがあります。

条文法定刑
無許可輸入(未遂を含む)関税法111条1項1号・3項5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金又は併科(価格の5倍が1000万円を超えるときは罰金は価格の5倍以下)
輸入消費税のほ脱消費税法64条1項1号10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金又は併科(税額の10倍まで引上げ可、同条4項)
地方消費税(貨物割)のほ脱地方税法72条の10910年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金又は併科(税額の10倍まで引上げ可)
密輸された金と知って運搬・保管・取得する関税法112条3項3年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又は併科

SNSで「運ぶだけ」と頼まれた運び役でも、罪になりますか

運び役であっても、申告が必要な物を隠して持ち込むと分かっていれば、実行犯として処罰の対象になります。渡航費や報酬を示され、「荷物を届けるだけ」「身に着けて通るだけ」と誘われる例が見られます。

一方で、どちらの罪も故意犯ですから、中身が金であることや申告が必要であることを知らなかったのであれば、犯罪は成立しません。もっとも、報酬が不自然に高い、衣服や身体に隠すよう指示された、といった事情があると、認識があったと推認されやすくなります。勧誘や指示のメッセージは、故意の有無を判断する材料にも、指示役との関係を示す材料にもなるため、消去せずに保存しておくことが大切です。

税関に見つかった後は、どのような手続になりますか。通告処分とは何ですか

空港などで発覚すると、まず税関職員による犯則調査(関税法第11章)が行われ、質問や所持品の検査を受けます。関税法の犯則事件は、税関長などの告発を待って公訴が提起される仕組みです(148条1項)。

税関長は、犯則の心証を得たとき、罰金に相当する金額などを納付するよう書面で通告します(146条1項)。これが通告処分で、通告の旨を履行すれば同じ事件について公訴を提起されません(同条5項)。ただし、情状が拘禁刑に処すべきものであるときや、納付する資力がないときは、直ちに検察官へ告発されます(同条2項)。輸入の際の消費税の犯則事件も、税関職員が国税通則法の規定により調査し(輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律26条)、同様の通告処分の仕組みがあります(国税通則法157条)。

告発を受けて警察や検察が捜査に入ると、逮捕から最長23日の身柄拘束を経て起訴・不起訴が決まります(刑事訴訟法203条・205条・208条)。起訴前の保釈はなく、組織的な事件では接見等禁止が付くこともあります。

金の密輸で有罪になると、退去強制の対象になりますか

関税法・消費税法・地方税法の罪は4号の2の列挙罪ではないため、1年を超える実刑でない限り、在留資格の種類にかかわらず退去強制事由には当たりません。刑ごとの帰結は次のとおりです。

処分・刑別表第一(短期滞在、技術・人文知識・国際業務、経営・管理、留学など)別表第二(日本人の配偶者等、定住者など)永住者
通告処分を履行、又は不起訴刑罰がないため退去強制事由なし退去強制事由なし退去強制事由なし
罰金退去強制事由なし。更新・変更で不利に考慮されうる退去強制事由なし。更新で不利に考慮されうる退去強制事由なし
拘禁刑(全部執行猶予)4号の2に当たらない。刑期1年以上なら上陸拒否事由退去強制事由なし。刑期1年以上なら上陸拒否事由退去強制事由なし。新9号の取消事由の対象外
拘禁刑1年を超える実刑4号リに該当4号リに該当4号リに該当

在留資格ごとの違いが出るのは、刑そのものよりも、その後の更新や出入国の場面です。なお、短期滞在の方は、身柄拘束の間に在留期間が過ぎると、刑の内容とは別に在留期間の経過(4号ロ)の問題が生じます。退去強制手続に進んだ場合の流れは退去強制・在留特別許可をご覧ください。

在留期間の更新や永住者の地位には、どう影響しますか

在留期間の更新(入管法21条)や在留資格の変更(20条)では素行が考慮され、罰金や執行猶予付き判決は不利な事情になりえます。刑罰を受けなかった通告処分のケースでも、税関での犯則事実が審査で考慮される可能性は否定できません。

永住者の方については、2027年4月施行予定の取消制度のうち、新22条の4第1項9号は関税法・消費税法の罪を対象としていません。ただし、同項8号の「故意に公租公課の支払をしないこと」との関係で、輸入消費税のほ脱がどう扱われるかは法文上明らかでなく、施行後の運用を確認する必要があります。

判決後に帰国したら、また日本に入国できますか

1年以上の拘禁刑に処せられたことのある方は、執行猶予付きであっても上陸拒否事由に当たり、しかも期間の定めがありません(入管法5条1項4号)。在留資格を持つ方には再入国許可などによる特例(5条の2)の余地があります。短期滞在の方でも、相当の期間が経過したなど特別の理由があるとして、法務大臣との協議を経た査証が発給された場合などには特例がありえますが(入管法施行規則4条の2第1項2号)、再び入国するハードルは高くなります。

また、前述のとおり身柄拘束中に在留期間が過ぎた短期滞在の方は、判決後、入管の手続を経て出国することになり、退去強制によるか出国命令によるかで、その後の上陸拒否期間が異なります(5条1項9号)。刑期の長さが再入国の可否に直結しますので、量刑についての弁護活動はとくに重要です。

通告処分や不起訴を目指すには、どのような弁護活動が必要ですか

犯則調査の段階で弁護人が関与し、事実関係を整理したうえで、通告処分で終えるべき事案であることを税関に示せれば、公訴提起を避けられる余地があります。告発後は、指示役との関係、報酬の有無と額、関与の回数、密輸の認識の程度を具体的に明らかにし、嫌疑不十分や起訴猶予を求めます。

起訴された場合でも、刑期が1年以上になるか否かで出入国の帰結が変わるため、従属的な役割にとどまったこと、得た利益が小さいこと、反省と帰国後の生活の見通しなどを丁寧に立証します。不起訴の種類は不起訴処分とはで解説しています。

当事務所に相談すると、どのような支援を受けられますか

当事務所は、税関の犯則調査から刑事手続、そして入管手続までを一続きの事件として扱い、公訴提起を避けること、すなわち通告処分や不起訴で終えることを最初の目標にします。量刑が再入国の可否を左右するこの種の事件では、刑事と入管を別々に考えることはできません。

接見の初動から在留手続まで、松村大介弁護士本人が担当します。外国人事件専属の中国語通訳が接見に同行し、ご本人の言い分を正確に伝えます。中国本土のご家族とは微信(WeChat ID:matsumura1119)で直接連絡を取り、手続の見通しをご説明しています。

よくある質問

「荷物を運ぶだけ」と頼まれ、中身が金だとは知りませんでした。それでも罪になりますか。

関税法違反も消費税法違反も故意犯なので、申告すべき物を運んでいるという認識がなければ罪は成立しません。ただ、高額の報酬や身体に隠す指示など、不自然な事情があれば認識があったと推認されやすくなります。勧誘時のメッセージや指示の内容は重要な証拠になりますので、消さずに弁護人に見せてください。

税関から通告処分を受けました。納付すれば前科はつきますか。

通告の旨を履行すれば、同じ事件について公訴を提起されません(関税法146条5項)。刑事裁判を経ないので、有罪判決や前科にはなりません。ただし、20日以内に履行しないと告発されます(147条)。また、刑罰ではないとはいえ、在留期間の更新などで事実として考慮される可能性は否定できません。

短期滞在で来日して金の密輸で有罪になりました。今後、日本に来られますか。

1年以上の拘禁刑に処せられた場合は、執行猶予付きでも上陸拒否事由(入管法5条1項4号)に当たり、期間の限定もありません。刑が1年未満や罰金であっても、判決までに在留期間が過ぎて退去強制により出国すれば、5条1項9号による上陸拒否期間が生じます。どの形で出国するかを含め、判決前から弁護人と相談しておくことが大切です。

永住者が金の密輸で罰金になった場合、永住資格は取り消されますか。

関税法・消費税法の罪は、2027年4月施行予定の永住者の取消事由(新22条の4第1項9号)の対象罪に含まれていません。ただ、同項8号は「故意に公租公課の支払をしないこと」を取消事由としており、輸入消費税のほ脱がこれに当たると扱われるかは、施行後の運用を確認する必要があります。

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本記事は一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。見通しは罪名、在留資格、在留歴、家族関係などの事情によって変わります。具体的なご事情はお問い合わせからご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

中国人の刑事事件と在留資格の全体像は、中国人の刑事事件|逮捕から不起訴・退去強制までにまとめています。あわせてご覧ください。

執筆:松村大介(弁護士・第一東京弁護士会所属/登録番号59077)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)代表。外国人の刑事事件と在留(退去強制・在留特別許可)を主たる注力分野とし、中国語圏の依頼者の事件を数多く取り扱う。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応する。

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