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不起訴処分とは|嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予の3類型と外国人の在留への影響

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不起訴処分とは|嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予の3類型と外国人の在留への影響

不起訴処分とは|嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予の3類型と外国人の在留への影響

2026/09/10

不起訴処分とは、検察官が、捜査を遂げた事件について公訴を提起しないと決める終局処分をいう。(刑事訴訟法248条ほか)

  • 主な類型は嫌疑なし、嫌疑不十分、起訴猶予の3つである
  • 裁判は開かれず、有罪判決がないため前科もつかない
  • 薬物事件では有罪判決自体が退去強制事由となる
  • 不法就労助長は不起訴でも退去強制事由に当たりうる

不起訴処分にはどのような種類があるのか

実務で問題になるのは、嫌疑なし、嫌疑不十分、起訴猶予の3類型である。検察官の終局処分は事件事務規程に基づく裁定主文で区分され、ほかに罪とならず、公訴時効の完成といった類型もある。どの主文で処分されたかによって、その後の意味合いは変わる。

類型意味嫌疑の存否在留手続での受け止められ方
嫌疑なし犯罪の成立を認める証拠がない嫌疑は否定される不利な事情として扱われにくい
嫌疑不十分証拠が有罪の立証に足りない確定的な認定はされない不利益な評価の基礎になりにくい
起訴猶予嫌疑はあるが訴追を見送る嫌疑は前提とされる素行の判断で考慮されることがある

嫌疑なしと嫌疑不十分は何が違うのか

犯罪の成立を認めるべき証拠がまったくない場合が嫌疑なし、証拠はあるが有罪の立証には足りない場合が嫌疑不十分である。事実を争う事件では、この2つのいずれかを目指す。取調べにおける供述の在り方や客観証拠との整合が結論を左右し、捜査の初期に不用意な調書が作られると、後から回復することは容易でない。

起訴猶予はどのような場合に選ばれるのか

犯罪の嫌疑は認められるものの、犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、犯行後の情況を考慮して訴追を必要としないと判断される場合である(刑事訴訟法248条)。被害弁償や示談の成立、再犯防止の環境、家族や就労先の監督が、判断の材料になる。

令和6年版犯罪白書によれば、起訴猶予率は大麻35.5%、覚醒剤8.5%、麻薬15.9%、麻薬特例法52.5%であり、来日外国人被疑事件全体では48.35%である。罪名による差は大きい。

不起訴になったことはどうすれば分かるのか

被疑者から請求があれば、検察官は速やかに不起訴の旨を告げなければならない(刑事訴訟法259条)。実務では不起訴処分告知書が交付され、在留資格の手続や勤務先への説明に用いられる。告訴などのあった事件では告訴人らへ処分が通知され(同法260条)、請求があれば理由も告げられる(同法261条)。被疑者本人に理由を告げる制度は置かれていない。

不起訴処分で前科はつくのか

つかない。前科は確定した有罪判決により刑に処せられた記録であり、不起訴処分には判決が存在せず、犯罪人名簿にも記載されない。ただし、捜査の対象となった事実は前歴として記録が残り、将来別の事件の処分に影響することがある。

外国人にとって不起訴処分が在留資格の維持に決定的なのはなぜか

退去強制事由や上陸拒否事由の多くが有罪判決や刑に処せられたことを要件とするため、不起訴であればその入口に立たないからである。

薬物関係の退去強制事由(入管法24条4号チ)は、有罪判決があれば足り、罰金でも刑の全部の執行猶予でも該当する。在留資格が別表第一か別表第二かも問わない。1年を超える拘禁刑の実刑を要件とし、刑の全部の執行猶予を受けた者をただし書で除く同号リとは、要件の重さが違う。また、薬物法令に違反して刑に処せられた者は年限の定めのない上陸拒否事由(入管法5条1項5号)に当たる。薬物事件では、不起訴を得られるかどうかが在留の分かれ目になる。

他方で、不起訴なら入管手続を免れると考えるのは誤りである。不法就労助長は入管法24条3号の4により、刑事処罰の有無にかかわらず行為があれば退去強制事由に当たる。在留期間の更新では素行が考慮され、起訴猶予は嫌疑を前提とする処分であるから、不利に働くこともある。

不起訴を得るために弁護人は何をするのか

検察官が終局処分を決めるまでの限られた期間に、事実関係の主張と有利な資料を届けきることに尽きる。取調べへの対応方針の確認、通訳の確保、示談や被害弁償、身元引受の疎明を、勾留期間の中で並行して進める。外国人の事件では、後の在留手続で使う資料を刑事段階から整えることが重要になる。

よくある質問

不起訴処分になれば入管に情報は伝わらないのですか。

伝わることがあります。退去強制事由の調査は刑事手続とは別に行われ、身柄を伴う事件では捜査機関から入管へ連絡がされる例もあります。不起訴になっても、不法残留や資格外活動など刑事処分を要しない事由があれば、入管の手続は別途進みますので、刑事と入管の両面を同時に見ておく必要があります。

起訴猶予は嫌疑不十分より不利になりますか。

在留手続の場面では、そうなることがあります。起訴猶予は犯罪の嫌疑を認めたうえで訴追を見送る処分であるため、素行の評価において考慮される余地が残ります。もっとも、被害弁償や更生環境の整備も併せて示されるのが通常であり、起訴猶予のみで結論が決まるものではありません。

不起訴処分告知書はどうすれば入手できますか。

事件を担当した検察庁に対し、被疑者本人または弁護人から交付を請求します。請求があれば検察官は速やかに不起訴の旨を告げることとされており、実務上は書面が交付されます。在留資格の申請や勤務先への説明で必要になることが多いため、早めに請求しておくことをお勧めします。

不起訴になった後で起訴されることはありますか。

あります。不起訴処分は確定判決と異なり一事不再理の効力を持たないため、新たな証拠が現れた場合や、検察審査会の議決を経た場合には、改めて起訴されることがあります。公訴時効が完成するまでは、法律上その可能性が残ると理解しておくのが正確です。

不起訴になれば在留期間の更新は必ず認められますか。

必ず認められるとは言えません。更新の可否は、活動の継続、素行、独立生計の見込みなどを総合して判断されます。不起訴によって刑罰を前提とする不利益事由は避けられますが、事件の内容や職を失ったかどうかも審査されます。在留手続にも資料を揃えて臨むことが大切です。

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最終更新日:2026年9月10日/執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)

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