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借金の取立てで恐喝罪に問われたら|罪名・刑罰と在留資格(強制送還)への影響

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借金の取立てで恐喝罪に問われたら|罪名・刑罰と在留資格(強制送還)への影響

借金の取立てで恐喝罪に問われたら|罪名・刑罰と在留資格(強制送還)への影響

2026/09/10

貸したお金を取り返すためであっても、相手を脅して支払わせれば恐喝罪(刑法249条)が成立しえます。恐喝罪は罰金刑のない罪で、刑法第37章に属するため、別表第一の在留資格(技術・人文知識・国際業務、経営・管理、留学、家族滞在など)の方は、執行猶予付きの拘禁刑でも入管法24条4号の2の退去強制事由に当たります。

一方、永住者や日本人の配偶者等などの別表第二の方は、現行法では4号の2の対象外です。ただし2027年4月1日以降、永住者については恐喝や逮捕監禁による拘禁刑が在留資格取消しの事由に加わります。在留資格の種類によって帰結が大きく分かれるのが、この罪の特徴です。

本記事の要点

  • 「返してもらうだけ」でも、社会通念上許される方法を超えて脅せば恐喝罪が成立しうると判例は判断しています。
  • 恐喝罪の法定刑は10年以下の拘禁刑のみで、罰金で終わる道がありません。
  • 別表第一の方は、恐喝・逮捕監禁で拘禁刑(執行猶予付きを含む)に処せられると4号の2に当たります。脅迫罪だけなら列挙外です。
  • 永住者は2027年4月1日から、恐喝・逮捕監禁による拘禁刑が在留資格取消し(新22条の4第1項9号)の対象になります。
  • 刑罰を要件とする退去強制事由を避けるうえで、起訴前の不起訴処分が最も大きな意味を持ちます。

借金の取立てで、どこから恐喝罪になるのですか

相手に恐怖心を抱かせるような脅しを用いてお金を払わせた時点で、恐喝罪が問題になります。貸金の返済を求めること自体は正当な権利行使ですが、その方法が行き過ぎれば、請求権があっても犯罪となりえます。

最高裁は、他人に対して権利を有する者がその権利を実行する場合でも、その方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を逸脱したときは恐喝罪が成立しうる、と判断しています(最判昭和30年10月14日刑集9巻11号2173頁)。つまり「本当に貸していた」という事実は、犯罪の成否を分ける決め手にはなりません。

問題になりやすいのは、次のような取立てです。

  • 「払わないと家族や勤務先に行く」「中国の実家に知らせる」と告げる
  • 複数人で押しかけ、夜間に長時間居座る
  • 「微信のグループや小紅書で晒す」と言って支払わせる
  • 車に乗せて帰さない、部屋から出さない

最後の例は逮捕監禁罪(刑法220条)、無断で相手の自宅に上がり込めば住居侵入罪(刑法130条)の問題も生じます。

恐喝・脅迫・逮捕監禁の法定刑はどうなっていますか

恐喝罪は10年以下の拘禁刑で、罰金刑が定められていません(刑法249条)。未遂も処罰されます(刑法250条)。

脅しただけでお金の交付に至らなかった場合などは、脅迫罪(刑法222条、2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)にとどまることもあります。これに対し、逮捕監禁罪(刑法220条)は3月以上7年以下の拘禁刑で、こちらも罰金がありません。

罰金のない罪で起訴されると、略式命令による罰金で手続が終わる道はなく、正式な裁判になります。在留への影響を考えるうえで、この点は非常に重要です。複数人で脅した場合には暴力行為等処罰法1条の適用も考えられますが、後で述べるとおり在留上の扱いは罪名によって違います。

逮捕されたら、どのような流れで起訴・不起訴が決まりますか

逮捕から最長23日の間に、検察官が起訴するか不起訴にするかを決めます。この期間中に保釈の制度はありません。

逮捕後48時間以内に検察官へ送致され(刑事訴訟法203条)、その後24時間以内かつ逮捕から72時間以内に勾留が請求されます(同法205条)。勾留は原則10日、延長されるとさらに最長10日です(同法208条)。共犯者がいる取立て事件では、接見等禁止(同法81条)が付されることもあります。

弁護人は立会人なしで接見できます(同法39条1項)。黙秘権も保障されています(憲法38条1項、刑事訴訟法198条2項)。中国籍の方は、領事関係に関するウィーン条約36条1項(b)により、領事機関への通報を求めることもできます。

恐喝で有罪になると、在留資格ごとに退去強制事由に当たりますか

結論は在留資格によって大きく異なります。別表第一の方は、恐喝罪・逮捕監禁罪で拘禁刑に処せられれば、執行猶予が付いても入管法24条4号の2に該当します。別表第二の方と永住者は、1年を超える実刑でない限り、現行法では退去強制事由になりません。

処分・判決別表第一(技人国・経営管理・留学・家族滞在など)別表第二(日本人の配偶者等・定住者など)永住者
不起訴刑罰を要件とする退去強制事由には当たらない同左同左
恐喝・逮捕監禁で拘禁刑(全部執行猶予)4号の2に該当退去強制事由なし(更新で不利に考慮されうる)現行は退去強制事由なし。2027年4月以降は取消事由(新9号)
恐喝・逮捕監禁で1年以下の実刑4号の2に該当退去強制事由なし(更新で不利)現行は退去強制事由なし。2027年4月以降は取消事由(新9号)
1年を超える実刑4号の2・4号リに該当4号リに該当4号リに該当
脅迫罪のみで罰金・拘禁刑列挙外のため4号の2に当たらない(1年超の実刑なら4号リ)同左(4号リのみ問題)同左。新9号の対象外

4号の2は、刑法第2編第31章(逮捕及び監禁)と第37章(詐欺及び恐喝)を列挙していますが、第32章(脅迫)は含んでいません。また、暴力行為等処罰法1条・1条ノ2・1条ノ3の罪も列挙されていますが、かっこ書きで「刑法222条(脅迫)又は261条(器物損壊)に係る部分」が除かれています。このかっこ書きは1条ノ3の直後に置かれているため、1条(多人数の威力や凶器を示しての暴行・脅迫等)の脅迫にも及ぶのかについては、条文の読み方に議論の余地があります。多人数で脅した、凶器を見せて脅したという類型で同法違反に問われた場合は、4号の2に当たるかどうかを慎重に検討する必要があります。どの罪名で処罰されるかが、在留の結論を左右します。

いずれの号に当たる場合でも、退去強制手続の中で在留特別許可(入管法50条)を求める余地があります。詳しくは外国人の刑事事件と在留をご覧ください。

在留期間の更新や永住申請にはどう影響しますか

退去強制事由に当たらない場合でも、在留期間の更新(入管法21条)や在留資格の変更(同法20条)では素行の善良さが考慮されます。恐喝のように被害者から金銭を奪う罪は、執行猶予付きであっても不利に働きやすいといえます。

更新が許可されなければ、在留期間の満了によって日本にいられなくなります。永住許可(同法22条)の申請を考えている方にとっても、前科は大きな障害になりえます。

永住者は2027年から何が変わるのですか

令和6年法律第60号により、2027年4月1日から、永住者が恐喝・逮捕監禁・住居侵入などの列挙罪で拘禁刑に処せられたことが、在留資格取消しの事由になります(新22条の4第1項9号)。条文上、執行猶予付きの拘禁刑も含む書き方で、罰金は含まれません。

取り消す場合でも、引き続き在留することが適当でないと認められるときを除き、職権で永住者以外の在留資格への変更が許可されます(新22条の6)。出入国在留管理庁は、多くの場合「定住者」を想定していると説明しています。施行前に確定した判決がどう扱われるかは法文上明らかでなく、今後の運用を確認する必要があります。

帰国や一時出国をすると、再入国できなくなりますか

1年以上の拘禁刑の判決を受けた方は、執行猶予が付いていても上陸拒否事由(入管法5条1項4号)に当たります。恐喝罪は罰金がない罪ですから、言い渡される刑期によってはこの基準に当たり、出国には慎重さが求められます。

再入国許可がある場合など、同法5条の2により上陸を拒否しない扱いがされる余地はありますが、みなし再入国許可で気軽に出国すると、戻れなくなるおそれがあります。裁判中や判決後に中国へ一時帰国を考えている方は、出国前に弁護士へご相談ください。上陸拒否の仕組みは上陸拒否期間とはで解説しています。

不起訴を目指すために、どのような弁護活動をしますか

恐喝事件では被害者がいるため、示談と宥恕(許すという意思表示)の獲得が中心になります。起訴猶予(刑事訴訟法248条)となれば有罪判決はなく、刑罰を要件とする退去強制事由には当たりません。

受け取ったお金の返還に加えて、残りの貸金の請求を放棄するかどうかが、示談交渉の実質的な論点になることがあります。また、実際の言動が恐喝ではなく脅迫の程度にとどまる、あるいは正当な請求の範囲内だったという場合は、供述や微信のやり取りといった客観的な記録をもとに、罪名や犯罪の成否そのものを争います。

身元引受書、今後は法的手段(支払督促・少額訴訟など)で回収するという誓約、就労先・在学先の資料をまとめ、検察官に意見書を提出します。不起訴の種類や効果は不起訴処分とはをご参照ください。

舟渡国際法律事務所では、どのように対応していますか

当事務所は、別表第一の方の恐喝事件のように「執行猶予では在留を守れない」類型を強く意識し、起訴前の不起訴処分の獲得を最優先の目標としています。刑事弁護と入管手続を分けず、一つの事件として見通しを立てます。

松村大介弁護士が、逮捕直後の接見から在留資格の手続まで自ら担当します。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、接見に同行します。捜査機関の通訳とは異なり、ご本人のために動く通訳です。中国本土のご家族とは微信(WeChat ID:matsumura1119)で直接やり取りし、示談金の準備や身元引受けの段取りを進めることができます。

よくある質問

相手が借金を返さないのが悪いのに、なぜ私が逮捕されるのですか

貸金の請求自体は正当ですが、社会通念上許される程度を超えた脅しで支払わせると、請求権があっても恐喝罪が成立しうると判例は判断しています(最判昭和30年10月14日刑集9巻11号2173頁)。回収は支払督促や訴訟などの法的手段で行う必要があります。

恐喝罪で罰金になれば、在留は大丈夫ですか

恐喝罪には罰金刑がないため、罰金で終わることはありません。起訴されれば拘禁刑が前提となり、別表第一の方は執行猶予付きでも4号の2に当たります。在留を守るには起訴前の不起訴処分が最も重要です。

脅迫罪で処罰された場合も、4号の2に当たりますか

脅迫罪は刑法第32章の罪で、4号の2には列挙されていません。そのため、脅迫罪だけであれば別表第一の方でも4号の2には当たりません。ただし1年を超える実刑なら4号リの対象となり、更新でも不利に考慮されえます。

永住者ですが、今回の事件で永住が取り消されますか

現行法では、恐喝罪で拘禁刑に処せられても永住者の在留資格取消しの事由にはなりません。2027年4月1日以降は新22条の4第1項9号の取消事由になり、施行前の判決の扱いは今後の運用を確認する必要があります。

示談が成立すれば、不起訴になるのでしょうか

示談と宥恕は不起訴に向けた重要な事情ですが、それだけで結果が決まるわけではありません。取立ての経緯、脅しの内容、前科の有無などが総合的に考慮されます。事実関係の整理と意見書の提出を併せて行います。

関連コラム

本記事は一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。見通しは罪名、在留資格、在留歴、家族関係などの事情によって変わります。具体的なご事情はお問い合わせからご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

中国人の刑事事件と在留資格の全体像は、中国人の刑事事件|逮捕から不起訴・退去強制までにまとめています。あわせてご覧ください。

執筆:松村大介(弁護士・第一東京弁護士会所属/登録番号59077)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)代表。外国人の刑事事件と在留(退去強制・在留特別許可)を主たる注力分野とし、中国語圏の依頼者の事件を数多く取り扱う。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応する。

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