舟渡国際法律事務所

微信・小紅書・SNSでの暴露で名誉毀損に問われたら|罪名・刑罰と在留資格への影響

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微信・小紅書・SNSでの暴露で名誉毀損に問われたら|罪名・刑罰と在留資格への影響

微信・小紅書・SNSでの暴露で名誉毀損に問われたら|罪名・刑罰と在留資格への影響

2026/09/10

微信のグループや小紅書、SNSで相手の実名や私生活を暴露して名誉毀損罪(刑法230条)に問われても、この罪は入管法24条4号の2に列挙されていないため、在留資格が別表第一であっても、それだけで退去強制事由に当たることはありません。永住者や日本人の配偶者等も同様です。

そのうえで最も重要なのは、名誉毀損罪と侮辱罪が親告罪だという点です。被害者が告訴を取り消せば起訴はできなくなるため、示談の成否が事件の行方を大きく左右します。中国語で投稿した場合や、中国のアプリを使った場合の扱いも含めて整理します。

本記事の要点

  • 名誉毀損罪は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金、侮辱罪は1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料です。
  • どちらも刑法第34章の罪で、4号の2・永住者の新しい取消事由(2027年施行)のいずれにも当たりません。
  • 親告罪のため、公訴提起前に告訴が取り消されれば起訴されません(刑法232条、刑事訴訟法237条)。
  • 日本国内から投稿すれば、中国語・中国のアプリであっても日本の刑法が適用されます。
  • 刑事とは別に、損害賠償や発信者情報開示の請求を受けることもあります。

SNSでの暴露は、どのような場合に名誉毀損罪になりますか

公然と具体的な事実を示して、人の社会的評価を下げれば名誉毀損罪が成立しえます。示した事実が本当かどうかは、原則として関係ありません(刑法230条1項)。

「公然」とは、不特定又は多数の人が知りうる状態をいいます。少人数に伝えた場合でも、そこから不特定多数へ広がる可能性があれば公然性が認められうるとした判例があり(最判昭和34年5月7日刑集13巻5号641頁)、数十人規模の微信グループへの投稿や、友人限定の投稿であっても、それだけで安全とはいえません。

具体的な事実を示さずに「詐欺師」「最低な人間」などと罵るだけなら、侮辱罪(刑法231条)の問題になります。店や会社について虚偽の悪評を流して信用を傷つければ、信用毀損罪(刑法233条、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)が問われることもあります。

「本当のことを書いただけ」なら罪になりませんか

真実であっても、それだけでは処罰を免れません。公共の利害に関する事実について、専ら公益を図る目的で書き、真実であることが証明された場合に限って罰しないとされています(刑法230条の2第1項)。

借金を返さない、浮気をしたといった個人間のトラブルを晒す投稿は、公共の利害や公益目的が認められにくいと考えられます。また最高裁は、インターネット上の個人の投稿であっても、真実と信じたことに相当の理由があるかどうかの判断基準を緩めることはしない、としています(最決平成22年3月15日刑集64巻2号1頁)。「ネットだから」「みんな書いているから」という事情は、有利には働きません。

中国語で、中国のアプリに投稿しても日本の法律が適用されますか

日本国内から投稿した場合は、使った言語やアプリの運営国にかかわらず、日本国内で罪を犯したものとして日本の刑法が適用されます(刑法1条1項)。被害者が日本に住んでいれば、日本の警察に告訴されることが十分考えられます。

一方、中国にいる間に投稿した場合はより複雑です。刑法は名誉毀損罪について、日本国民が国外で犯した場合の処罰規定(刑法3条13号)は置いていますが、日本国民以外の者が国外で日本国民に対して犯した罪を定める刑法3条の2には、名誉毀損罪が含まれていません。投稿の閲覧や結果の発生を理由に国内犯と評価できるかどうかについては議論があり、一概には言えません。

告訴されてから起訴・不起訴が決まるまでの流れを教えてください

名誉毀損罪は、被害者などの告訴がなければ起訴できない親告罪です(刑法232条1項)。告訴は犯人を知った日から6か月以内にする必要があり(刑事訴訟法235条)、公訴が提起されるまでは取り消すことができます(同法237条1項)。

在宅のまま捜査が進むこともありますが、投稿の削除や口裏合わせのおそれがあると判断されれば逮捕されることもあります。その場合は、送致まで48時間(同法203条)、勾留請求まで逮捕から最長72時間(同法205条)、勾留は延長を含め最長20日(同法208条)で、逮捕から最長23日の間に起訴・不起訴が決まります。起訴前の保釈はありません。取調べでは黙秘権が保障され(憲法38条1項)、弁護人とは立会人なしで接見できます(刑事訴訟法39条1項)。

名誉毀損で処罰されると、退去強制事由に当たりますか

名誉毀損罪・侮辱罪は刑法第2編第34章の罪で、入管法24条4号の2には列挙されていません。そのため、どの在留資格でも、1年を超える実刑(4号リ)でない限り退去強制事由には当たりません。

処分・判決別表第一(技人国・留学・経営管理・家族滞在など)別表第二(日本人の配偶者等・定住者など)永住者
告訴取消し・不起訴退去強制事由なし退去強制事由なし退去強制事由なし
罰金退去強制事由なし(更新で考慮されうる)同左同左
拘禁刑(全部執行猶予)4号の2に当たらない退去強制事由なし退去強制事由なし。2027年4月以降も新9号の対象外
1年以下の実刑4号の2に当たらない退去強制事由なし退去強制事由なし
1年を超える実刑4号リに該当4号リに該当4号リに該当

ただし、暴露をちらつかせてお金を払わせれば恐喝罪(刑法第37章)、「晒す」と告げて脅せば脅迫罪の問題になります。恐喝罪は4号の2の列挙罪ですので、別表第一の方は執行猶予付きでも退去強制事由に当たります。投稿の経緯によって罪名が変わる点に注意が必要です。在留への影響の全体像は外国人の刑事事件と在留にまとめています。

在留期間の更新や永住申請への影響はありますか

退去強制事由に当たらなくても、罰金以上の前科は、在留期間の更新(入管法21条)や在留資格の変更(同法20条)で素行の問題として考慮されえます。永住許可(同法22条)の申請でも、素行善良の要件との関係で不利に働きえます。

もっとも、名誉毀損罪は親告罪ですから、早い段階で示談が成立し告訴が取り消されれば、前科そのものを避けられます。在留を考えるうえでも、刑事処分が確定する前の対応が重要です。

出国や再入国に影響することはありますか

罰金で終われば、上陸拒否事由との関係で問題になることは通常ありません。1年以上の拘禁刑の判決を受けた場合は、執行猶予付きでも上陸拒否事由(入管法5条1項4号)に当たります。

捜査中に中国へ帰国した場合、日本に戻った時点で改めて捜査が進む可能性もあります。出国してしまえば事件が終わるわけではないため、帰国を考えている方は事前に弁護士へご相談ください。

告訴を取り消してもらうために、どのような弁護活動をしますか

親告罪である以上、弁護活動の中心は被害者との示談と告訴の取消しです。公訴提起前に告訴が取り消されれば、検察官は起訴できません。

示談では、投稿の削除と今後投稿しない旨の約束、謝罪、解決金の支払いを組み合わせるのが一般的です。スクリーンショットが別のグループへ転送されている場合には、どこまで削除や訂正の努力をするかが交渉の実質的な論点になります。ご本人が当事者を直接説得しようとすると、新たなトラブルや「脅された」という主張を招きかねないため、弁護人を通じて連絡を取ります。

一方、そもそも投稿者ではない、示した事実が公益に関わるものだった、といった事情があれば、投稿履歴や端末の記録をもとに犯罪の成否を争います。不起訴の効果については不起訴処分とはをご覧ください。

なお、刑事手続とは別に、被害者から損害賠償(民法709条・710条)や名誉回復の処分(同法723条)を求められることがあります。投稿者が匿名のときは、被害者側が発信者情報の開示請求(情報流通プラットフォーム対処法5条)を利用して投稿者を特定しようとすることもあります。海外の事業者が運営するサービスでは手続が複雑になりますが、刑事と民事を一度に解決する示談を目指すことが、結果として負担を小さくします。

舟渡国際法律事務所では、どのように対応していますか

名誉毀損事件は、告訴が取り消されるかどうかで結論が大きく変わる事件です。当事務所は、起訴前の告訴取消し・不起訴処分を最優先の目標とし、刑事・民事・在留の見通しを一体として立てて、ご本人に説明します。

松村大介弁護士が、最初の相談や接見から在留の手続まで自ら一貫して担当します。外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、微信や小紅書に書かれた中国語の投稿内容やニュアンスを正確に確認したうえで弁護方針を組み立てます。中国本土のご家族からは微信(WeChat ID:matsumura1119)でご相談いただけます。

よくある質問

鍵付きアカウントや少人数のグループへの投稿でも名誉毀損になりますか

公然性は不特定又は多数の人が知りうる状態をいい、少人数でも不特定多数へ広がる可能性があれば認められうるとした判例があります。閲覧者が限られていることだけで、罪にならないとはいえません。

名誉毀損で罰金になったら、強制送還されますか

名誉毀損罪は入管法24条4号の2に列挙されていないため、罰金で退去強制事由に当たることはありません。別表第一の方でも同じです。ただし在留期間の更新では素行として考慮される可能性があります。

告訴を取り下げてもらえば、事件は終わりますか

名誉毀損罪は親告罪で、公訴提起前に告訴が取り消されれば起訴できません(刑事訴訟法237条)。取り消した告訴は再びすることができないため、示談成立後の取消しには大きな意味があります。

中国にいる間に微信に書き込んだ場合も日本で処罰されますか

刑法3条の2(日本国民以外の者の国外犯)には名誉毀損罪が含まれていません。国内犯と評価できるかについては議論があり、一概には言えません。日本国内から投稿した場合は日本の刑法が適用されます。

暴露をちらつかせて返金を迫った場合は、どうなりますか

暴露をほのめかして金銭を要求すると、恐喝罪や脅迫罪に問われる可能性があります。恐喝罪は4号の2の列挙罪で、別表第一の方は執行猶予付きでも退去強制事由に当たるため、早めに弁護士へご相談ください。

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本記事は一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。見通しは罪名、在留資格、在留歴、家族関係などの事情によって変わります。具体的なご事情はお問い合わせからご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

中国人の刑事事件と在留資格の全体像は、中国人の刑事事件|逮捕から不起訴・退去強制までにまとめています。あわせてご覧ください。

執筆:松村大介(弁護士・第一東京弁護士会所属/登録番号59077)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)代表。外国人の刑事事件と在留(退去強制・在留特別許可)を主たる注力分野とし、中国語圏の依頼者の事件を数多く取り扱う。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応する。

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