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携帯電話・SIMカードを売って逮捕されたら|罪名・刑罰と在留資格(強制送還)への影響

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携帯電話・SIMカードを売って逮捕されたら|罪名・刑罰と在留資格(強制送還)への影響

携帯電話・SIMカードを売って逮捕されたら|罪名・刑罰と在留資格(強制送還)への影響

2026/09/10

自分名義で契約した携帯電話やSIMカードを他人に売った場合に問われる携帯電話不正利用防止法違反は、入管法24条4号の2に列挙されていない特別法の罪です。そのため、別表第一の方でも、この法律違反だけで退去強制事由に当たることは、1年を超える実刑の場合を除きありません。

ところが、契約の時点で「最初から誰かに渡すつもりだった」と認定されると、話は変わります。詐欺罪(刑法第37章)は4号の2の列挙罪で、罰金刑もありません。帰国前に携帯や銀行口座を売る、それが特殊詐欺に使われる、という流れの中で、どの罪名で処罰されるかが在留の分かれ目になります。

本記事の要点

  • 契約者が携帯・SIMを他人に譲るには、親族等を除き事業者の承諾が必要です(携帯電話不正利用防止法7条1項)。
  • 無承諾の譲渡に刑罰があるのは、業として有償で行った場合です(同法20条、2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又は併科)。
  • この法律の罪は4号の2の対象外ですが、第三者に渡す意図を隠した契約が詐欺罪とされれば、別表第一の方は執行猶予付きでも4号の2に当たります。
  • 銀行口座の売却は犯収法違反(列挙外)、口座開設時の意図によっては詐欺罪(列挙罪)の問題になります。
  • 在留カードを買い手に渡すと、有罪判決がなくても入管法24条3号の5の問題が生じえます。

自分の携帯電話やSIMカードを人にあげたり売ったりしてもよいのですか

契約者が通話可能な携帯電話やSIMカードを他人に譲る場合は、親族や生計を同じくする人に譲るときを除き、あらかじめ携帯電話会社の承諾を得なければなりません(携帯電話不正利用防止法7条1項)。ここでいう「通話可能端末設備等」には、端末だけでなくSIMカード(契約者特定記録媒体)も含まれます(同法5条1項)。

承諾を得ずに譲渡された場合、携帯電話会社はその回線のサービス提供を拒むことができます(同法11条3号)。解約せずに友人へ渡す、フリマアプリや知人経由で売るといった行為は、この承諾の手続を踏んでいないことが多いと考えられます。

携帯電話不正利用防止法では、どのような行為が処罰されますか

刑罰の対象となる主な行為は次のとおりです。自分名義の回線を一度だけ無承諾で譲ったこと自体には、同法上の罰則は定められていません。

行為条文法定刑
自分名義の端末・SIMを、承諾なく業として有償で譲渡20条1項2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又は併科
上記と知りながら業として有償で譲り受け20条2項同上
他人名義の端末・SIMを譲渡、又は情を知って譲り受け21条1項・2項50万円以下の罰金
上記を業として行う21条3項2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又は併科
譲渡・譲受けの相手方になるよう勧誘・広告23条50万円以下の罰金
契約時に本人特定事項を隠す目的で偽る19条50万円以下の罰金

「業として」とは、一般に反復継続して行う意思をもって行うことをいうと解されています。複数の回線を契約しては売る、仲間を集めて回線を買い取るといった場合は、この要件が問題になります。

契約時に渡すつもりだった場合は、詐欺罪になるのですか

携帯電話会社をだまして契約させ、端末などを交付させたと評価されれば、詐欺罪(刑法246条、10年以下の拘禁刑)に問われる可能性があります。詐欺罪には罰金刑がありません。

預金口座については、最高裁が、第三者に譲渡する意図を秘して口座を開設し、預金通帳などの交付を受けた行為を詐欺罪にあたると判断しています(最決平成19年7月17日刑集61巻5号521頁)。携帯電話の契約についても同様の考え方で詐欺罪が問題とされることがありますが、実際に成立するかどうかは、契約の内容や、契約時点で譲渡の意図があったかという立証にかかっており、一律には言えません。

また、特殊詐欺に使われると知りながら携帯や口座を渡した場合は、詐欺罪の共犯(幇助犯を含む)として責任を問われる可能性もあります。特殊詐欺事件の全般については詐欺事件のご相談をご覧ください。

帰国前に携帯や銀行口座を売るのは、なぜ危ないのですか

帰国前の売却は、処罰の対象になりうるうえ、売った回線や口座が犯罪に使われた場合に名義人として捜査の対象となるため、二重の危険があります。

銀行口座の通帳やキャッシュカードを正当な理由なく有償で譲り渡すと、犯罪収益移転防止法26条2項により、3年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又は併科の対象になります。「帰国するから、もう使わない」という事情は、正当な理由とは認められにくいでしょう。

さらに、買い手が「在留カードも一緒に」と求めることがあります。行使の目的で自己名義の在留カードを他人に提供すると、入管法73条の6第1項3号の罪に当たるうえ、同法24条3号の5の退去強制事由となりえます。この号は刑罰を要件としないため、不起訴で終わっても入管が独自に認定しうる点に注意が必要です。

逮捕された場合、手続はどう進みますか

特殊詐欺の捜査の過程で名義人として特定され、逮捕されることがあります。逮捕から最長23日の間に起訴・不起訴が決まり、起訴前の保釈はありません。

送致まで48時間(刑事訴訟法203条)、勾留請求まで逮捕から72時間以内(同法205条)、勾留は延長を含め最長20日です(同法208条)。特殊詐欺との関係が疑われる事件では、接見等禁止(同法81条)が付されることもあります。取調べでは「知っていたか」が中心的な争点になるため、黙秘権(憲法38条1項、刑事訴訟法198条2項)の行使も含め、早い段階で弁護人と方針を相談することが重要です。

在留資格ごとに、退去強制事由に当たるかを教えてください

携帯電話不正利用防止法違反と犯収法違反は特別法の罪で、4号の2に列挙されていません。詐欺罪で処罰されるかどうかが、別表第一の方にとっての分岐点です。

処罰の内容別表第一(技人国・留学・特定技能・家族滞在など)別表第二(日本人の配偶者等・定住者など)永住者
携帯電話不正利用防止法違反・犯収法違反で罰金・拘禁刑(執行猶予)該当しない該当しない該当しない(2027年以降の新9号の対象外)
詐欺罪(幇助を含む)で拘禁刑(執行猶予を含む)4号の2に該当該当しない(更新で不利)現行は該当しない。2027年4月以降は取消事由(新9号)
いずれかの罪で1年を超える実刑4号リに該当4号リに該当4号リに該当
自己名義の在留カードを行使目的で提供3号の5に該当しうる(刑罰不要)同左同左

詐欺罪は刑法第2編第37章の罪であり、4号の2は拘禁刑に処せられたことを要件とします。罰金刑のない詐欺罪で有罪になれば、執行猶予が付いても別表第一の方は退去強制事由に当たります。どの号に当たる場合でも、在留特別許可(入管法50条)を求める余地は残ります。詳しくは外国人の刑事事件と在留をご覧ください。

更新・永住者の取消し・再入国への影響はどうですか

退去強制事由に当たらない罰金などでも、在留期間の更新(入管法21条)や在留資格の変更(同法20条)では素行が審査され、不利に考慮されえます。留学生が関与した場合は、学校の処分によって在籍を失い、本来の活動を3か月以上行っていないとして在留資格取消し(同法22条の4第1項6号)が問題になることもあります。

永住者は、2027年4月1日から、詐欺罪などの列挙罪で拘禁刑に処せられたことが取消事由になります(新22条の4第1項9号)。取り消す場合も、在留が適当でないと認められる場合を除き、職権で他の在留資格への変更が許可されます(新22条の6)。施行前の判決の扱いは今後の運用を確認する必要があります。

1年以上の拘禁刑の判決は、執行猶予付きでも上陸拒否事由(入管法5条1項4号)です。帰国後に日本の捜査機関が名義人を探している場合もありますので、再来日の予定がある方は事前にご相談ください。

不起訴を目指すため、どのような弁護活動を行いますか

この類型では被害者との示談よりも、契約時の意図や「知っていたか」をめぐる事実と証拠の検討が中心になります。詐欺罪での起訴を避け、起訴猶予(刑事訴訟法248条)又は嫌疑不十分による不起訴を目指します。

具体的には、契約した時期と売った時期の間隔、契約時の利用状況(実際に自分で通話・通信していたか)、売却に至った経緯、買い手とのやり取りの記録を確認し、契約時点で譲渡の意図がなかったことを示す材料を集めます。特殊詐欺との関係を疑われている場合は、買い手が何者で、どのような説明を受けていたかを丁寧に聞き取ります。そのうえで、反省、身元引受け、今後の生活の見通しを示す資料とともに、検察官に意見書を提出します。

舟渡国際法律事務所は、どのように対応していますか

当事務所は、特別法違反で終わるか詐欺罪になるかで在留の結論が変わるこの類型について、起訴前の段階で不起訴処分を得ることを最優先の目標としています。刑事弁護と入管手続は、最初から一つの事件として扱います。

松村大介弁護士が、接見の初動から在留の手続まで自ら担当します。外国人事件専属の中国語通訳が接見に同行し、ご本人の説明を正確に記録します。捜査機関の通訳とは別に、ご本人のために動く通訳です。これまでに、特殊詐欺の出し子・受け子とされた方について不起訴処分を得た事例もあります。中国本土のご家族は、微信(WeChat ID:matsumura1119)で直接ご連絡いただけます。

よくある質問

友人に自分のSIMカードを1枚あげただけでも犯罪になりますか

親族等以外への譲渡には事業者の承諾が必要ですが、自分名義の回線を業としてではなく譲っただけの場合、携帯電話不正利用防止法上の罰則は定められていません。ただし契約時から譲る意図があった場合は、詐欺罪が問題になる可能性があります。

携帯電話不正利用防止法違反で有罪になると、強制送還されますか

同法の罪は入管法24条4号の2に列挙されていないため、別表第一の方でも、1年を超える実刑でない限り退去強制事由には当たりません。ただし在留期間の更新では素行として考慮されえます。

詐欺罪とされた場合、執行猶予が付けば在留は守れますか

詐欺罪は4号の2の列挙罪で罰金刑がないため、別表第一の方は執行猶予付きの拘禁刑でも退去強制事由に当たります。在留を守るためには、起訴前の不起訴処分が大きな意味を持ちます。

帰国前に銀行口座を売るとどうなりますか

正当な理由なく有償で通帳やキャッシュカードを譲り渡すと、犯罪収益移転防止法26条2項の罪に当たります。口座開設時から譲る意図があったとされれば、詐欺罪の問題も生じます。

売った携帯が特殊詐欺に使われたら、私も処罰されますか

特殊詐欺に使われると知りながら渡した場合は、詐欺罪の共犯として責任を問われる可能性があります。知らなかった場合は、その事情を裏付ける記録や経緯を整理し、事実に基づいて争うことになります。

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本記事は一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。見通しは罪名、在留資格、在留歴、家族関係などの事情によって変わります。具体的なご事情はお問い合わせからご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

中国人の刑事事件と在留資格の全体像は、中国人の刑事事件|逮捕から不起訴・退去強制までにまとめています。あわせてご覧ください。

執筆:松村大介(弁護士・第一東京弁護士会所属/登録番号59077)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)代表。外国人の刑事事件と在留(退去強制・在留特別許可)を主たる注力分野とし、中国語圏の依頼者の事件を数多く取り扱う。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応する。

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