舟渡国際法律事務所

盗品の買取り・転売で逮捕されたら|盗品等関与罪の刑罰と在留資格(強制送還)への影響

お問い合わせはこちら

盗品の買取り・転売で逮捕されたら|盗品等関与罪の刑罰と在留資格(強制送還)への影響

盗品の買取り・転売で逮捕されたら|盗品等関与罪の刑罰と在留資格(強制送還)への影響

2026/09/10

盗まれた物だと知りながら買い取ったり、転売の仲介をしたりすると、盗品等有償譲受け・有償処分あっせんの罪(刑法256条2項)となり、法定刑は10年以下の拘禁刑及び50万円以下の罰金です。「及び」とあるとおり拘禁刑と罰金が必ず併せて科されるので、別表第一の在留資格の方が有罪になれば、執行猶予が付いても入管法24条4号の2の退去強制事由に当たります。

フリマアプリや越境ECで中古品を扱う方にとって、争点の多くは「盗品と知っていたか」です。本記事では、罪の範囲、知情性の争い方、在留資格ごとの帰結、古物営業の許可との関係を順に取り上げます。

本記事の要点

  • 盗品等の罪は刑法第2編第39章の罪で、4号の2の列挙罪です。
  • 2項の罪は拘禁刑と罰金の必要的併科なので、罰金だけで終わる略式手続はとれません。
  • 別表第一の方は有罪なら執行猶予付きでも退去強制事由に当たり、別表第二と永住者の方は1年を超える実刑(4号リ)が問題になります。
  • 「盗品かもしれない」という程度の認識でも罪が成立しうるため、取引の経緯を示す資料が防御の鍵になります。

盗品の買取りや転売は、どの罪に当たりますか

盗品等を無償で譲り受けた場合は256条1項で3年以下の拘禁刑、運搬・保管・有償での譲受け・有償処分のあっせんをした場合は同条2項で10年以下の拘禁刑及び50万円以下の罰金です。

対象は窃盗品に限られません。条文は「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」としており、詐欺や横領で得られた物も含まれます。たとえば、他人名義のクレジットカードを不正に使って店頭で購入された商品を、事情を知って買い取る行為も問題になりえます。

典型的な場面は次のようなものです。

  • 買取店やフリマアプリで、出どころの分からない新品を安く買い取る(有償譲受け)
  • 買い取った品を中国向けに発送する、預かって保管する(運搬・保管)
  • 売り手と買い手をつなぎ、手数料を得る(有償処分のあっせん)

なお、自分で盗んだ本人がその物を売っても、盗品等の罪は別に成立せず、窃盗罪の問題として扱われます。

「盗品とは知らなかった」という主張は認められますか

本当に知らなかったのであれば、盗品等の罪は成立しません。この罪は、その物が盗品等であると認識していたこと(知情性)が必要だからです。もっとも、確実に知っていた場合に限らず、「盗品かもしれない」と思いながらあえて取引した場合にも成立しうると解されています。

捜査機関は、相場との価格差、売り手の身元確認の有無、同じ新品の大量取引、箱や保証書の欠如、匿名でのやり取りなどから認識を推認しようとします。これに対しては、価格が相場の範囲だったこと、身分証で相手を確認したこと、売り手が継続的な取引先で不審な点がなかったことを、取引画面や通信記録で具体的に示していきます。古物商の方であれば、古物営業法15条の相手方確認や16条の帳簿等への記録が重要な証拠になります。

逮捕されたら、起訴されるまでにどう進みますか

逮捕から最長23日で起訴・不起訴が決まり、その間に保釈はありません。72時間以内に勾留請求の有無が決まり、勾留は10日、延長されるとさらに最長10日です。

この罪の手続で特に注意したいのは、罰金だけの略式命令という終わり方がない点です。略式命令は100万円以下の罰金又は科料を科す手続ですが、2項の罪は拘禁刑を必ず伴うため使えません。起訴されれば公判となるので、在留を守るうえでは起訴前の弁護活動が大きな意味を持ちます。取調べでは黙秘権があり、弁護人とは立会人なしで接見できます(刑訴法39条1項)。

退去強制事由に当たりますか。在留資格によってどう違いますか

別表第一の方は、盗品等の罪で拘禁刑に処せられれば4号の2に当たります。別表第二と永住者の方には4号の2は適用されず、刑罰を理由とする退去強制は原則として1年を超える実刑(4号リ)の場合です。

処分・判決別表第一(技術・人文知識・国際業務、経営・管理、留学、家族滞在など)別表第二(日本人の配偶者等、定住者など)永住者
不起訴刑罰を要件とする号には当たらない同左同左
1項(無償譲受け)で執行猶予付き拘禁刑4号の2に当たる当たらない当たらない(2027年4月以降は取消し事由)
2項で拘禁刑(執行猶予付き)及び罰金4号の2に当たる当たらない当たらない(2027年4月以降は取消し事由)
1年を超える実刑4号の2・4号リに当たる4号リに当たる4号リに当たる

表の「罰金だけ」の行がないのは、盗品等の罪では有罪の場合に必ず拘禁刑が科されるためです。4号の2・4号リに当たる場合でも、退去強制手続の中で在留特別許可(50条)を求めることはできます。

古物営業の許可がないことは、別の問題になりますか

なります。中古品を買い取って売る営業には、原則として公安委員会の許可が必要で(古物営業法3条)、無許可で営むと3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です(同法31条)。古物営業法違反は4号の2の列挙罪ではないため、それだけで別表第一の方の退去強制事由になるわけではありません。

ただ、在留資格の面では別の論点があります。留学や家族滞在の方が転売を事業として営むことは、在留資格で認められた活動の範囲を超え、資格外活動(入管法19条1項)の問題が生じえます。資格外活動の罪で拘禁刑に処せられれば4号ヘに、資格外活動を専ら行っていると明らかに認められれば刑罰がなくても4号イに当たります。

在留期間の更新や永住申請、2027年の制度改正への影響は

更新(21条)や変更(20条)では素行の善良さが考慮されるため、不起訴以外の結論はいずれも不利に働きうると考えておくべきです。永住許可(22条)の素行要件との関係でも、前科は大きな障害になりえます。

永住者の方については、2027年4月1日施行の改正で、第39章の罪により拘禁刑に処せられたことが在留資格取消しの事由に加わります(新22条の4第1項9号)。この場合は、引き続き在留させることが適当でないと認められるときを除き、職権で永住者以外の在留資格への変更が許可されます(新22条の6)。施行前に確定した判決の扱いは法文上明らかでなく、今後の運用を見ていく必要があります。

出国すると、再入国に支障はありますか

1年以上の拘禁刑の判決を受けた場合は、執行猶予付きでも上陸拒否事由(5条1項4号)に当たるため、出国すると再入国時に問題になるおそれがあります。2項の罪は法定刑の上限が10年と重く、判決が1年以上となることも十分に考えられます。再入国許可による例外(5条の2)もありますが、判決後の出国は事前に弁護士へ相談してください。執行猶予の意味については執行猶予とはで説明しています。

不起訴を目指して、どのような弁護活動をしますか

中心となるのは、知情性を争うことと、被害の回復です。知らなかった事件では、取引の経過を時系列で整理し、価格・相手方確認・取引頻度といった事情から「盗品と疑うべき状況ではなかった」ことを意見書で示します。

盗品等の罪には、盗まれた物の元の持ち主という被害者がいます。認識があったことを争わない事件では、品物の返還や代金相当額の弁償を進め、被害者の宥恕を得たうえで起訴猶予を求めます。関与の程度が小さいこと、利益がわずかであること、在留を失うことの不利益の大きさも、検察官に伝えるべき事情です。窃盗事件全般の弁護については窃盗・万引きの刑事弁護もご参照ください。

当事務所の対応

当事務所では、盗品等の罪のように有罪なら必ず拘禁刑となる事件について、起訴前の不起訴処分を最優先の目標とし、刑事弁護と入管の手続を同じ弁護士が見通して進めます。

接見の初動から在留の手続まで松村大介弁護士が自ら担当し、外国人事件専属の中国語通訳が同行して、取引の経緯をご本人の言葉で正確に聴き取ります。越境ECで中国側の取引相手が関わる事件では、微信(WeChat ID:matsumura1119)で中国本土のご家族とも直接連絡を取りながら資料を集めます。

よくある質問

フリマアプリで安く買った物が盗品でした。私も罪になりますか。

盗品等の罪は、盗品であることを認識していたことが必要なので、通常の取引で知らずに買っただけであれば成立しません。ただし、相場より極端に安い、同じ新品を大量に扱っていたといった事情があると、「盗品かもしれない」と分かっていたと評価されやすくなります。取引の画面や相手とのやり取りは消さずに保存してください。

罰金を払って終わりにすることはできますか。

盗品等有償譲受けなど刑法256条2項の罪は、拘禁刑と罰金を必ず併せて科す定めなので、略式命令による罰金だけの処分はありません。起訴されれば公開の法廷で審理されますから、在留を守るには起訴前の段階が重要です。

買い取った物を中国の知人に送っただけです。それでも罪になりますか。

盗品と知りながら発送した場合は、盗品等運搬や有償処分のあっせんとして256条2項に当たりえます。送った経緯、代金を誰が受け取ったか、盗品と知った時期によって評価が変わりますので、弁護人に具体的に説明してください。

永住者です。盗品を買い取った罪で執行猶予付きの判決を受けると、永住資格はなくなりますか。

現行法では、執行猶予付きの判決だけで永住者が退去強制事由に当たることはありません。ただし、2027年4月1日以降は、第39章の罪で拘禁刑に処せられると在留資格取消しの事由となり(新22条の4第1項9号)、原則として職権で他の在留資格に変更される仕組みになります。

買取店を開くには許可が必要ですか。

中古品を買い取って売る営業には、原則として都道府県公安委員会の古物商の許可が必要です(古物営業法3条)。無許可営業は3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(同法31条)で、入管法24条4号の2の列挙罪ではありませんが、更新の審査では不利な事情になります。

関連コラム

本記事は一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。見通しは罪名、在留資格、在留歴、家族関係などの事情によって変わります。具体的なご事情はお問い合わせからご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

中国人の刑事事件と在留資格の全体像は、中国人の刑事事件|逮捕から不起訴・退去強制までにまとめています。あわせてご覧ください。

執筆:松村大介(弁護士・第一東京弁護士会所属/登録番号59077)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)代表。外国人の刑事事件と在留(退去強制・在留特別許可)を主たる注力分野とし、中国語圏の依頼者の事件を数多く取り扱う。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

中文版(简体字)

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。