外国人の刑事事件で弁護士を選ぶときに確認したい7つのこと|在留資格・通訳・接見を弁護士が解説
2026/10/04
外国人の刑事事件で弁護士を選ぶときは、刑事弁護の経験に加えて、在留資格と入管法への理解、通訳の体制、接見に動ける態勢、解決事例の開示、費用の内訳の説明、方針の説明、連絡のとりやすさの7点を、依頼する側が相談の場で自分で確かめるのがよい。
(刑事訴訟法30条、弁護士職務基本規程29条)
- 逮捕から起訴・不起訴の判断までは通常最長23日であり、弁護人を選ぶ時間は限られている
- 外国人の事件では、刑事処分の結果が、退去強制事由への該当と、在留期間の更新・変更の許否の両方に関わる
- 通訳の体制と接見に動ける態勢は、相談の場で具体的に質問して確かめられる
- 費用は、内訳と総額の見込みを、委任契約書の作成前に書面で説明してもらう
- 解決事例は個別の事情に基づくものであり、結果の保証にはならない
外国人の刑事事件で、弁護士選びはどの順序で確認すればよいのか?
時間が限られているため、まず在留資格・通訳・接見の3点を確かめ、そのうえで解決事例・費用・方針・連絡の4点を確かめる順序がよい。
逮捕されると、警察は48時間以内に事件を検察官に送り、検察官は受け取ってから24時間以内(逮捕から通算して72時間以内)に勾留を請求する。勾留は請求の日から10日で、やむを得ない事由があれば通じて10日まで延長される(刑事訴訟法203条・205条・208条)。起訴するかどうかは、この期間内に決まる。
弁護人は、被疑者本人がいつでも選任できる。本人の配偶者、直系の親族、兄弟姉妹も、独立して選任できる(同法30条)。自分で探せないときは、弁護士会に弁護人の選任を申し出ることもできる(同法31条の2)。選ぶ際に確かめたい点を、次の表に整理した。
| 確認する点 | 相談の場で聞くこと |
|---|---|
| 1 在留資格・入管への理解 | 本人の在留資格と罪名から、退去強制事由に当たるか、更新・変更で問題になるかを分けて説明してもらえるか |
| 2 通訳体制 | 接見の通訳を誰が手配するか、通訳人の守秘をどう確保しているか |
| 3 接見の機動性 | 依頼後、どのくらいで接見に行けるか、勾留中の接見の頻度の見込みはどうか |
| 4 解決事例の開示 | 同種の事件への対応を、個人が特定されない形で説明してもらえるか |
| 5 費用の内訳 | 内訳と総額の見込みを、契約の前に書面で説明してもらえるか |
| 6 方針の説明 | 見通し、取調べへの対応、示談や不起訴をめざす方針を、理解できる言語で説明してもらえるか |
| 7 連絡のとりやすさ | 担当の弁護士は誰か、家族からの連絡方法と連絡のつく時間帯はどうか |
在留資格や入管法への理解は、どう確かめればよいのか?
本人の在留資格が別表第一か別表第二か、刑の種類、罪名の3点を聞き取ったうえで、「退去強制事由に当たるか」と「更新・変更が許可されるか」を分けて説明してくれるかを確かめる。
退去強制事由は入管法24条に定められている。別表第一の在留資格(技能実習、留学、技術・人文知識・国際業務など)の人が、窃盗、傷害、詐欺などの同条4号の2に挙がる罪で拘禁刑に処せられると、執行猶予が付いても該当する。薬物関係の法律違反で有罪判決を受けた場合は4号チ、それ以外の罪で無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた場合は4号リに当たる(刑の全部の執行猶予を受けた者は4号リから除かれる)。罰金だけでは、通常これらには当たらない。
これとは別に、在留期間の更新や在留資格の変更は、「相当の理由があるときに限り」許可される(同法21条3項、20条3項)。罰金や執行猶予付きの判決でも、更新で素行が考慮されることがある。退去強制事由に当たる場合でも、在留特別許可を求める手続がある(同法50条)。この二つの局面を分けず、「大丈夫」「だめ」と一括して断定する説明は、慎重に受け止めたほうがよい。詳しくは退去強制とは、在留特別許可とは、刑事事件と入管事件を一貫して依頼する意味で説明している。
通訳の体制は、何を聞けばよいのか?
弁護人との接見の通訳を誰が手配するのか、通訳人にどのように守秘を求めているのかを聞く。
取調べの通訳は捜査機関が手配するが、弁護人との接見の通訳は弁護人の側で用意する必要がある。弁護士は職務上知り得た秘密を保持する義務を負い(弁護士法23条)、自らの職務に関与させた者が秘密を漏らさないよう指導・監督しなければならない(弁護士職務基本規程19条)。通訳人がこの管理の下にあるかどうかが、確認の要点になる。取調べと接見で通訳の位置づけが異なる点は刑事事件の通訳をどう確認するか、中国語の場合は中国語で相談できる刑事弁護士の選び方で扱っている。
接見にどれだけ動けるかは、どう確かめればよいのか?
依頼してから最初の接見に行けるまでの見通しと、その後の接見の頻度を、具体的に聞く。
身体を拘束された被疑者は、弁護人と立会人なくして接見できる(刑事訴訟法39条1項)。捜査機関が接見の日時を指定することがあるが、防御の準備をする権利を不当に制限するものであってはならない(同条3項)。弁護士は、必要な接見の機会の確保に努めるものとされている(弁護士職務基本規程47条)。外国人の場合、言葉や制度の違いから不安が大きく、接見は本人が状況を理解するほとんど唯一の機会になる。接見等禁止が付いたときの家族との関係は接見禁止と家族・弁護士で説明している。
解決事例の開示と費用の説明は、どこまで求めてよいのか?
解決事例は個人が特定されない範囲での説明を、費用は内訳と総額の見込みの書面での説明を、それぞれ求めてよい。
弁護士は、事件を受任するに当たり、事件の見通し、処理の方法、弁護士報酬及び費用について適切な説明をしなければならず(弁護士職務基本規程29条1項)、結果を保証してはならない(同条2項)。弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書も作成する(同規程30条)。したがって、結果を約束するような説明は慎重に受け止め、費用は、何が含まれ、どのような場合に追加が生じるのかを契約の前に確かめておくのがよい。確認の観点は外国人の刑事事件の弁護士費用の確認点にまとめている。
解決事例は、依頼者の秘密に関わるため、詳細を話せないことがある。当事務所の事例は外国人・中国人の刑事事件 解決事例の罪名別一覧で案内している。
方針の説明と連絡のとりやすさは、どう見ればよいのか?
黙秘権を含む取調べへの対応、示談、釈放に向けた活動の方針を、本人が理解できる言語で説明してもらえるか、家族が連絡できる窓口があるかを見る。
弁護士は、被疑者に対し、黙秘権その他の防御権について適切な説明と助言を行うものとされ(弁護士職務基本規程48条)、事件の経過や結果に影響する事項を、必要に応じて報告する(同規程36条)。取調べの前には、自己の意思に反して供述する必要がない旨が告げられる(刑事訴訟法198条2項)が、その意味を理解できているかは別の問題である。連絡については、担当の弁護士が誰か、不在のときの連絡先、電話やメッセージアプリの使い方を、あらかじめ確かめておく。
当事務所では、これらの点をどのように確認できるのか?
相談の場で、上の7点を具体的に質問していただければ、それぞれお答えする。
当事務所は、中国語での相談に対応しており、専属の通訳が常駐している。全国からの相談を受けている。外国人の刑事事件では、取調べへの弁護人の立会いを求める方針をとっており、立会いが認められることは現状ほとんどないが、取調べの前に警察官と協議することがある。最初の接見では、入管法上の在留資格を失うおそれについて、本人に正確に理解してもらうことを重視している。微信ID:matsumura1119。担当弁護士は弁護士紹介に、相談の窓口はお問い合わせに掲載している。
よくある質問
弁護士を選ぶ時間がないとき、まず何をすればよいのか?
家族や知人が、本人に代わって弁護人を選任できる(刑事訴訟法30条2項)。弁護士会に弁護人の選任を申し出ることもできる(同法31条の2)。勾留された後は、資力などの要件を満たせば国選弁護人を請求できる(同法37条の2)。国選と私選の違いは国選弁護人と私選弁護人の違い(外国人の場合の注意)で説明している。
弁護士が結果を約束する説明をした場合、どう受け止めればよいのか?
弁護士は、事件が依頼者に有利な結果になることを保証してはならないとされている(弁護士職務基本規程29条2項)。見通しは説明されても、結果の約束は慎重に受け止め、見通しの根拠を質問するのがよい。
費用は、事前にどこまで説明してもらえるのか?
弁護士は、受任に当たり、弁護士報酬及び費用について適切に説明する必要があり(弁護士職務基本規程29条1項)、報酬に関する事項を含む委任契約書を作成する(同規程30条)。内訳と総額の見込みを、契約の前に書面で説明してもらうよう依頼してよい。
通訳がうまく通じないと感じたとき、弁護人を変えることはできるのか?
私選弁護人は、委任契約を解除して交代できる。国選弁護人は、裁判所または裁判官が解任の判断をする。手続と注意点は今の弁護人に不安があるとき(弁護人の変更・追加)で説明している。
在留資格を失うかどうかは、最初の相談でわかるのか?
在留資格の種類、罪名、見込まれる刑の種類が分かれば、退去強制事由に当たる可能性と、更新・変更で問題になる可能性を、分けて整理して説明を受けられる。ただし、処分が決まる前に結果を断定することはできない。
関連ページ
- 外国人の刑事事件 総合ガイド
- 中国語で相談できる刑事弁護士の選び方
- 国選弁護人と私選弁護人の違い(外国人の場合の注意)
- 外国人の刑事事件の弁護士費用の確認点
- 外国人・中国人の刑事事件 解決事例の罪名別一覧
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。
最終更新 2026年10月4日 / 執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所 https://matsumura-lawoffice.jp/ 微信ID:matsumura1119