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刑の一部執行猶予・併合罪と入管法24条4号リ|「1年を超える拘禁刑」はどう数えるのか

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刑の一部執行猶予・併合罪と入管法24条4号リ|「1年を超える拘禁刑」はどう数えるのか

刑の一部執行猶予・併合罪と入管法24条4号リ|「1年を超える拘禁刑」はどう数えるのか

2026/09/13

「拘禁刑1年6月、うち6月を2年間執行猶予」。判決の主文を聞いても、ご本人にもご家族にも、それが日本に残れる刑なのかどうかは直ちには分かりません。入管法24条4号リは「無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者」を退去強制事由と定めていますが、この「1年」は何を基準に数えるのか、執行猶予が付けばどう変わるのか、一部だけ猶予された場合はどうなるのか、複数の事件が一つの判決にまとめられた場合や、別々の判決を受けた場合はどう扱われるのか。同じ罪でも、刑の言い渡し方ひとつで在留の結論が分かれます。本記事では、この数え方を条文に即して整理し、刑事弁護の段階で何を目指すべきかを説明します。

本記事の要点

  • 入管法24条4号リの「1年を超える拘禁刑」は、法定刑ではなく判決で言い渡された刑(宣告刑)を基準とし、ちょうど1年の拘禁刑は該当しません。
  • 刑の全部の執行猶予が付いた場合は同号から除かれ、刑の一部の執行猶予の場合は、猶予されなかった実刑部分が1年以下であれば同号から除かれます。
  • 併合罪として一つの判決で処断されると刑法47条により一つの刑が言い渡され、各罪だけなら1年以下でも合計で1年を超えれば同号に当たります。
  • 別表第一の在留資格の方には、詐欺・窃盗・傷害などにつき執行猶予でも拘禁刑であれば該当する同条4号の2があり、4号リだけを見て安心することはできません。
  • 刑の長さと言い渡し方が在留を左右する以上、量刑の一月一月を争う前に、起訴そのものを避ける不起訴処分を最優先の目標に据えることが重要です。

「1年を超える拘禁刑」とは、法定刑ですか、判決の刑ですか

判決で言い渡された刑、すなわち宣告刑です。入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に「処せられた者」と定めており、罪の重さを法定刑で判断するのではなく、裁判所が現実に言い渡した刑の重さで判断します。窃盗罪の法定刑は10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(刑法235条)ですが、法定刑が10年以下だからといって直ちに該当するのではなく、判決が拘禁刑1年を言い渡したのか、1年2月を言い渡したのかで結論が変わります。

「超える」という文言も重要です。拘禁刑1年ちょうどの実刑は、1年を「超える」刑ではないため、同号には当たりません。他方、1年1月であれば該当します。有期拘禁刑は1月以上20年以下(刑法12条1項)とされ、実務では月単位で刑期が定められますから、1年か1年1月かという一月の違いが、在留の帰趨を分ける境目になります。

なお、罰金刑は拘禁刑ではありませんから同号の対象外ですが、後で述べるとおり在留期間更新の審査には影響します。

執行猶予が付けば、4号リには当たらないのですか

刑の全部の執行猶予であれば、当たりません。入管法24条4号リのただし書は、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者を明文で除外しています。全部執行猶予は、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の言渡しを受けた場合に、情状により1年以上5年以下の期間その執行を猶予する制度です(刑法25条1項)。拘禁刑2年に3年間の全部執行猶予が付けば、宣告刑は1年を超えていますが、同号からは除かれます。

ただし、猶予が取り消されると話は変わります。猶予の期間内に更に罪を犯して拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑に全部執行猶予が付かなかったときなどには、刑法26条により猶予の言渡しは必ず取り消され、猶予されていた刑を服役することになります。この時点で、元の判決は「刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者」の除外から外れ、1年を超える刑であれば同号に該当し得る状態になります。

刑の一部執行猶予の場合は、どう数えるのですか

猶予されなかった実刑部分の長さで数えます。刑の一部の執行猶予は、3年以下の拘禁刑の言渡しを受けた場合に、再犯防止のために必要かつ相当と認められるときに、刑の一部について1年以上5年以下の期間その執行を猶予する制度です(刑法27条の2第1項)。「拘禁刑2年、うち6月を2年間猶予」という判決であれば、まず1年6月を服役し、出所後に猶予期間が進行します(同条2項)。

入管法24条4号リのただし書は、刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者については、その刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間が1年以下であるものを除外しています。したがって、実刑部分が1年以下であれば同号から除かれ、1年を超えれば該当します。具体的には次のとおりです。

  • 拘禁刑1年6月、うち6月猶予。実刑部分は1年であり、1年以下ですから除外されます。
  • 拘禁刑2年、うち6月猶予。実刑部分は1年6月であり、1年を超えるため該当します。
  • 拘禁刑1年2月、うち2月猶予。実刑部分は1年であり、除外されます。

一部執行猶予は、その言渡し後に更に罪を犯して拘禁刑以上の刑に処せられた場合などに、刑法27条の4により必ず取り消されます。取り消されると猶予部分も服役することになり、全体の刑期で評価される状態に戻りますから、上記の除外は失われ得ます。逆に、取り消されることなく猶予期間を経過すれば、その拘禁刑は猶予されなかった部分の期間を刑期とする刑に減軽されます(同法27条の7第1項)。

なお、薬物使用の事案では、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律により、一部執行猶予の対象が広げられています。しかし、薬物事犯については入管法24条4号チが、覚醒剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法などに違反して有罪の判決を受けた者を刑の軽重を問わずに掲げていますから、一部執行猶予で4号リを免れても4号チで退去強制事由に当たります。数え方の議論は、薬物事犯以外の罪について意味を持つとお考えください。

複数の事件が一つの判決にまとめられたとき、刑はどう決まりますか

一つの刑として言い渡され、その一つの刑で4号リを判断します。確定裁判を経ていない二個以上の罪は併合罪となり(刑法45条前段)、その二個以上の罪について有期拘禁刑に処するときは、最も重い罪の法定刑の長期にその2分の1を加えたものを長期として、一つの刑を定めます(同法47条)。窃盗2件と傷害1件が同時に起訴されれば、それぞれについて別々の刑が言い渡されるのではなく、全体で「拘禁刑1年6月」というように一つの刑が言い渡されます。

ここに落とし穴があります。一件一件を見れば拘禁刑6月や8月に相当する軽い事件でも、3件、4件と併合されれば、合計としての宣告刑が1年を超えることは珍しくありません。再逮捕と追起訴を重ねられる類型、たとえば複数回の万引き、複数の被害者に対する特殊詐欺の受け子行為、同種の暴行の繰り返しでは、個々の事件の軽さではなく、併合された全体の刑の重さで在留が判断されます。

だからこそ、追起訴の可能性がある事案では、早い段階で、どの事実を認め、どの事実を争うのか、どの事件について被害弁償を優先するのかという全体設計が必要です。一部の事件を不起訴に持ち込めば、併合される罪の数が減り、全体の宣告刑を1年以下に収める余地が広がります。

別々の判決を受けた場合は、刑を合計するのですか

入管法24条4号リの文言は、無期又は1年を超える拘禁刑に「処せられた者」であり、複数の判決の刑期を合算して判断するという規定は置かれていません。したがって、条文の構造上は、それぞれの判決で言い渡された刑ごとに、1年を超えるかどうかを見ることになります。例えば、先の判決で拘禁刑8月、後の判決で拘禁刑10月の実刑を受けた場合、合計は1年6月ですが、いずれの判決も単独では1年を超えていません。

もっとも、これはあくまで4号リの該当性の話です。刑法上、ある罪について拘禁刑以上の刑の確定裁判があったときは、その罪と裁判確定前に犯した罪とは併合罪の関係に立ち(同法45条後段)、確定裁判を経ていない罪について更に処断されます(同法50条)。2個以上の裁判があったときは、その刑を併せて執行します(同法51条1項)。刑の執行は合算されますから、身柄拘束の期間は長くなります。そして、入管の在留期間更新や在留特別許可の判断では、個々の判決が1年以下であっても、複数の有罪判決を受けたという事実そのものが素行の評価として重く見られます。4号リに当たらないことと、在留が守られることは、別の問題です。

別表第一の在留資格なら、執行猶予でも危険な号があります

技術・人文知識・国際業務、経営・管理、技能、留学、家族滞在、技能実習、特定技能など、入管法別表第一の在留資格で在留する方には、同法24条4号の2が適用されます。同号は、刑法第2編第12章(住居侵入)、第27章(傷害)、第36章(窃盗及び強盗)、第37章(詐欺及び恐喝)、第39章(盗品等)などの罪により拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としており、執行猶予の有無や刑期の長短による除外規定がありません。

したがって、別表第一の方が窃盗や詐欺で拘禁刑6月に3年間の執行猶予を受けた場合、4号リには当たりませんが、4号の2に当たります。4号リの数え方をどれほど有利に組み立てても、この号の前では意味を持ちません。他方、日本人の配偶者等、永住者、定住者などの別表第二の在留資格の方には4号の2は適用されず、4号リの数え方が中心的な意味を持ちます。ご自身の在留資格がどちらの表に属するかを、最初に確認する必要があります。

なお、退去強制の場面だけでなく、いったん出国して再び入国しようとする場面にも別の基準があります。入管法5条1項4号は、1年「以上」の拘禁刑に処せられたことのある者を上陸拒否事由としており、4号リと異なり「以上」であるうえ、執行猶予による除外もありません。拘禁刑1年に執行猶予が付いた方は、4号リには当たらず退去強制を受けなくても、自ら出国すると再入国が認められないという事態が生じ得ます。

想定される刑事手続の流れ

逮捕されると、警察は48時間以内に検察官へ送致し、検察官は24時間以内に勾留を請求するかどうかを判断します。勾留は原則10日、延長でさらに最長10日です。複数の事件がある場合は、一つの事件の勾留が満期を迎えるころに別の事件で再逮捕され、この23日間の手続が繰り返されることがあります。ここで、各事件が起訴されるか不起訴となるかが、併合される罪の数と全体の宣告刑を決めていきます。

起訴後は、公判で量刑が争われます。全部執行猶予を目指すのか、一部執行猶予の実刑部分を1年以下に収めるのか、実刑となる場合に1年を超えない刑を求めるのかは、在留資格の種類と各号の構造を踏まえて決める必要があります。判決が確定すると、入管は判決の内容を把握し、退去強制事由に当たる場合は退去強制手続が始まります。

在留資格への影響

本記事で見てきたとおり、4号リの該当性は、宣告刑が1年を超える実刑か、一部執行猶予の実刑部分が1年を超えるかで決まります。加えて、別表第一の方は4号の2が、薬物事犯は4号チが、それぞれ刑の重さや執行猶予にかかわらず問題になります。

退去強制事由に当たらない場合でも、在留期間更新の許可は入管法21条3項により「更新を適当と認めるに足りる相当の理由」があるときに限られ、有罪判決は素行の評価に影響します。罰金刑や執行猶予判決であっても、更新が不許可となる例は現実にあります。また、長期の身柄拘束によって就労や就学が中断すれば、在留資格の取消し(同法22条の4第1項5号・6号)の問題も生じます。

退去強制事由に当たった場合に残る道が在留特別許可です。ここでも数え方が現れます。入管法50条1項ただし書は、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者について、4号リと同じ除外を置いたうえで、人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情があるときに限り許可できるとしています。入管庁が公表する許可事例を見ても、この基準を超える実刑を受けた方の許可は限られており、刑の長さが在留特別許可の難易度を直接に左右します。

不起訴処分を最優先の目標にする理由

刑の一月一月を争う量刑弁護は重要ですが、宣告刑がどの程度になるかは最終的に裁判所の判断であり、弁護人が完全に制御することはできません。これに対し、不起訴処分を得れば、宣告刑は存在せず、4号リも4号の2も問題になりません。数え方の議論に入る前に議論の土俵そのものをなくすことが、在留を守る最も確実な方法です。

特に、別表第一の在留資格の方が窃盗・詐欺・傷害などの罪に問われた場合、これらの罪は執行猶予でも4号の2に当たり、しかも詐欺罪のように法定刑に罰金がない罪では、起訴されれば拘禁刑以外の刑はあり得ません。起訴か不起訴かが、そのまま在留の有無に直結します。当事務所は、この構造を踏まえ、逮捕直後から被害弁償、示談、事実関係の主張立証を通じて不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えます。

逮捕の連絡を受けたら、まず何をすべきか

第1に、黙秘権の理解です。憲法38条1項は自己に不利益な供述を強要されないことを保障し、刑訴法198条2項は取調べに先立ってその旨を告げることを求めています。複数の事件が疑われている場合、一つの事件について供述した内容が、他の事件の捜査の手がかりになり、併合される罪の数を増やすことがあります。何を話すかは、弁護人と方針を決めてからにしてください。

第2に、早期の私選弁護人の選任です。併合罪の全体設計、被害弁償の優先順位、追起訴への対応は、最初の勾留の段階から始める必要があります。勾留が決まってから動き出すのでは、最も重要な最初の72時間を使い切ってしまいます。

第3に、通訳の質です。「1年6月、うち6月を猶予」という主文の意味を、ご本人が正確に理解できていなければ、控訴するかどうかの判断もできません。捜査機関の通訳は捜査のための通訳であり、ご本人のために動く立場ではありません。当事務所には、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しており、接見から判決の説明まで一貫して依頼者のために対応します。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所では、接見の初動から公判の結審まで、松村大介弁護士が全工程を直接担当いたします。刑事手続と在留の判断を一体のものとして捉え、在留資格の種類と入管法24条各号の構造を踏まえた弁護方針を、逮捕直後から組み立てます。

特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された方の事案では、不当な取調べへの抗議と、各事件の事実関係の主張立証を重ね、全ての事件について不起訴処分を得ました。併合されれば1年を超える刑が現実になる類型で、起訴自体を避けたことにより、在留の問題を生じさせずに済んだ例です。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された方の事案では、徹底した証拠分析と被告人質問、反対尋問により無罪判決を獲得しました。薬物事犯は刑の軽重を問わず4号チに当たるため、有罪か無罪かがそのまま在留の帰趨を決めます。

在留を失い不法滞在で起訴された方について、婚姻と認知の手続を実現し、入管の過去の許可事例を分析して主張を組み立て、在留特別許可を一度の申請で獲得した事例もあります。退去強制事由に当たってしまった後も、公表事例との均衡を主張する道は残されています。

結語

「1年を超える拘禁刑」という一見単純な基準の背後には、宣告刑基準、全部執行猶予と一部執行猶予の違い、併合罪による刑の一本化、別表第一と別表第二の違い、上陸拒否事由との食い違いという、いくつもの分かれ道があります。判決の主文を聞いてから考え始めるのでは遅く、逮捕の時点で、ご本人の在留資格と疑われている罪の構造を照らし合わせ、どこに着地させるべきかを定めておく必要があります。数え方を知ることは、守るべき線がどこにあるかを知ることです。その線を守る最初の一歩を、当事務所とともに踏み出してください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):刑罚部分缓刑、数罪并罚与入管法24条4号リ|「超过1年的拘禁刑」究竟怎样计算

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