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入管の違反調査から収容令書まで|退去強制手続の「入口」を条文で読む(入管法27条以下)

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入管の違反調査から収容令書まで|退去強制手続の「入口」を条文で読む(入管法27条以下)

入管の違反調査から収容令書まで|退去強制手続の「入口」を条文で読む(入管法27条以下)

2026/09/11

退去強制の手続について調べ始めると、多くの方はまず口頭審理や在留特別許可の話に行き着かれます。けれども実務では、その手前にある入口の段階、すなわち入国警備官の違反調査から収容令書の発付、そして違反審査に至るまでの流れが、後の結論を静かに決めていることが少なくありません。出入国在留管理庁が今秋から他省庁と合同で立入調査を行う方針を固めたとする報道もあり、調査の端緒はこれまでより身近になっています。本記事では、この入口の段階を入管法27条以下の条文に沿って読み解き、その場で何を確かめ、何を残しておくべきかを整理いたします。

本記事の要点

  • 退去強制の手続は、入国警備官による違反調査(入管法27条)から始まります。端緒には、通報、他省庁との合同立入調査、刑事手続からの通知、本人の出頭申告があります。
  • 臨検、捜索、押収には裁判官の許可状を要します(入管法31条)。許可状に基づかない調査は任意調査であり、応じる義務の範囲が異なります。
  • 収容令書は主任審査官が発付し(入管法39条・40条)、収容期間は原則30日、やむを得ない事由があるときは30日を限り延長され得ます(同法41条)。要急事件には令書によらない収容の定めがあります(同法43条)。
  • 令和5年改正入管法により、収容に代わる監理措置が導入されました(入管法44条の2等)。従来からの仮放免(同法54条)と併せ、収容されずに手続を進める道が広がっています。
  • 在留特別許可は申請権が法定され、考慮事情が入管法50条5項各号に明示されました。入口で何を残すかが、その判断を左右します。

入管の手続は、どこから始まるのですか

入管法27条は、入国警備官は、同法24条各号のいずれかに該当すると思料する外国人があるときは、違反調査をすることができると定めています。つまり、退去強制の手続は、令書の発付からではなく、この違反調査から始まります。

端緒はいくつかあります。第1に通報です。同法62条1項は何人も通報することができるとし、同条2項は、国又は地方公共団体の職員が職務の遂行に当たって該当すると思料する外国人を知ったときの通報義務を定めています。第2に、行政上の立入調査を契機とする場合です。報道によれば、出入国在留管理庁は今秋から他省庁と合同で立入調査を行う方針とされ、関係省庁の立入検査に入管職員が同行してその場で在留カードを確認し、就労資格のない方が確認された場合には出頭を求めた上で事業者側の調査に進むとされています。第3に、刑事手続からの通知です。第4に、ご本人が自ら出頭して申告される場合です。どの端緒から始まったかによって、手続の進み方も、準備すべき資料も変わってまいります。

入国警備官の調査には、どこまで応じる義務がありますか

調査の方法は、任意によるものと、裁判官の許可状に基づくものとに分かれます。入管法28条は、違反調査の目的を達するため必要な取調べをすることができるとしつつ、強制の処分は法律に特別の定めがなければすることができない旨を明らかにしています。同法29条は、入国警備官が容疑者に対して出頭を求め、取り調べることができる旨を定めています。

他方、同法31条は、臨検、捜索又は押収については、原則として入国警備官の所属官署の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官の許可を受けなければならないとしています。許可の請求に当たっては、容疑者が同法24条各号のいずれかに該当することを認めるべき資料の添付が求められ、容疑者以外の者の住居等について行う場合には、違反事件との関連性を認めるに足りる状況を示す資料が求められるとされています。

その場で職員が示している書面が許可状なのか、任意の協力を求めるものなのかを確認することには、大きな意味があります。もっとも、現場で言い争うことをお勧めするものではありません。氏名と所属を確認し、何を求められたのかを書き留め、可能であれば書面の写しを受け取ったうえで、速やかに弁護士にご連絡いただく。この落ち着いた対応が、後の手続で効いてまいります。

収容令書とは何ですか。どのくらい収容されるのですか

入管法39条は、入国警備官は、容疑者が同法24条各号のいずれかに該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、収容令書により収容することができるとしています。収容令書は入国警備官の請求に基づき主任審査官が発付するもので、その方式は同法40条に定められており、容疑者の氏名、居住地、国籍、退去強制の事由、有効期間等が記載されます。

収容の期間について、同法41条は30日以内としつつ、主任審査官がやむを得ない事由があると認めるときは30日を限り延長することができるとしています。また、同法43条は要急事件の定めを置き、容疑者が同法24条各号のいずれかに明らかに該当し、かつ、収容令書の発付を待っていては逃亡の虞があると信ずるに足りる相当の理由があるときは、令書によらずに収容することができるとしています。この場合、入国警備官は直ちに収容令書の発付を請求しなければなりません。収容した容疑者は、同法44条により、原則として48時間以内に調書等とともに入国審査官に引き渡されます。

収容されずに手続を進める方法はありますか

令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)により、収容に代わる監理措置が導入されました。収容令書の段階の監理措置は入管法44条の2以下に、退去強制令書の段階の監理措置は同法52条の2以下に定められています。監理措置がとられる場合には、親族や支援者等の中から監理人が選定され、一定額の保証金の納付を求められることがあり、住居や行動範囲の制限、呼出しへの応答といった遵守事項が付されます。

従来からの仮放免(同法54条)も存続しています。改正の趣旨は、身柄の拘束を当然の前提とする運用を改め、逃亡等のおそれの程度と、収容によって受ける不利益とを個別に比較して判断する点にあるとされています。ここで言う不利益とは、抽象的なものではありません。幼いお子様の送り迎えが誰にもできなくなること、持病の通院が途切れること、勤務先を失うこと。そうした具体的な事情を、資料とともに早い段階で示すことが、監理措置や仮放免の判断において意味を持ちます。

違反審査では何が判断されるのですか

入管法45条は、引渡しを受けた入国審査官は、容疑者が退去強制対象者に該当するかどうかを速やかに審査しなければならないとしています。同法46条は、容疑者が自己は退去強制対象者に該当しない旨を立証することができる旨を定め、同法47条は審査後の手続を定めています。該当しないと認定したときは直ちに放免し、該当すると認定したときはその旨を知らせ、口頭審理の請求ができる旨を通知することになります。

次の段階、すなわち口頭審理(同法48条)、異議の申出(同法49条)、法務大臣の裁決と在留特別許可(同法50条)は、別の記事で詳しく取り上げております。ここで申し上げたいのは、違反審査の段階で作成された調書や提出した資料が、そのまま後の段階の土台になるという点です。入口で述べた事実関係を、後から大きく変えることは容易ではありません。

在留特別許可に向けて、この段階で何を準備すべきですか

令和5年改正入管法により、在留特別許可の申請権が法定され、考慮事情が入管法50条5項各号に明示されました。すなわち、在留を希望する理由、家族関係、素行、入国の経緯、在留の期間、法的地位、退去強制の理由、人道的な配慮の必要性その他の事情です。逆に申しますと、この各号に対応する資料を入口の段階から積み上げておけば、後の判断において主張が通りやすくなります。婚姻や親子関係を示す書類、就学状況、納税や社会保険の状況、通院の記録、地域とのつながりを示すもの。どれも、時間が経ってから集めようとすると難しくなります。

併せて、出入国在留管理庁が平成16年以降年度別に公表している在留特別許可の許可・不許可事例の活用も検討に値します。これらは行政自身が許可相当と判断した先例であり、同種の事情を有する事案について異なる取扱いをすることは、憲法14条1項の平等原則の観点から問題となり得る、という主張の根拠になります。もとより、必ず許可されると申し上げるものではありません。

もう一点、当事務所が重視している論点がございます。刑事事件では故意や過失の有無を論ずることが当然の出発点であるのに対し、入管の実務では、退去強制事由の判断に故意・過失は要件とされないとする運用が長年踏襲されてまいりました。松村大介弁護士は、責任主義の射程を行政処分にどこまで及ぼすかという憲法論・行政法論の根本問題として、この実務を問う訴訟に取り組んでおります。現に係争中の重要論点であり、刑事事件の段階から故意・過失を争っておくことが、将来の入管手続における主張の基礎を成します。

想定される刑事手続の流れ

刑事事件を契機として入管手続に進む場合、まず刑事の側の時間軸を押さえる必要があります。逮捕された場合、警察は48時間以内に事件を検察官に送致し、検察官は24時間以内に、身柄を拘束したまま捜査を続ける手続である勾留を裁判官に請求するかどうかを判断します。この合計72時間で、その後の見通しが大きく変わります。勾留されると原則10日間、延長でさらに最大10日間、身柄の拘束が続き、その間に起訴か不起訴かが決まります。

刑事手続と入管手続の関係については入管法63条が定めを置いており、退去強制対象者に当たる外国人について刑事訴訟に関する法令等による手続が行われる場合の退去強制手続の進め方が規律されています。実務上は、刑事施設からの引渡しという形で入管の手続に移行する例が多く、身柄が切れ目なく移ることがあります。刑事の弁護人が入管手続を視野に入れているかどうかで、この移行時の準備の質が変わってまいります。

外国人事件特有のリスク(退去強制・在留資格)

入管法24条の各号は、退去強制事由を細かく類型化しています。4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を挙げ、括弧書きで刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者を除いています。4号チは、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚醒剤取締法等の規定に違反して有罪の判決を受けた者を挙げており、薬物事犯は刑の重さを問わず該当し得ます。4号ニは旅券法23条1項(6号を除く)から3項までの罪により刑に処せられた者を挙げ、罰金でも該当し得ます。他の外国人に不法就労活動をさせた場合は3号の4(不法就労助長罪は同法73条の2)、不法残留は4号ロ、資格外活動は4号イが問題となり、別表第一の在留資格の方については4号の2も確認を要します。

加えて、在留資格取消し(入管法22条の4)や、在留期間更新の不許可(同法21条3項、更新・変更ガイドラインの素行善良要件)のリスクも併存します。「執行猶予が付いたから日本に居られる」という理解は、条文の構造に照らして正確とは言えません。

不起訴処分の重要性(不起訴目標主義)

以上のとおり、刑事の結論は入管の手続に直結します。だからこそ当事務所は、執行猶予判決の獲得を最終目標に置くのではなく、起訴前の段階から不起訴処分の獲得を最優先の目標として弁護活動を組み立てております。刑事手続の段階から退去強制手続を一体的に視野に入れ、示談書、被害弁償の受領書、身元引受書、就労や家族関係を示す資料を、後の入管手続でそのまま使える形で整えていくことが肝要です。

初動対応の3つのポイント

第1に、黙秘権の行使です。憲法38条1項および刑事訴訟法198条2項により、言いたくないことを言わない権利が保障されています。入管の違反調査における供述も調書として残り、後の口頭審理や在留特別許可の判断において参照されます。記憶が曖昧なまま署名してしまうと、後から訂正することは容易ではありません。

第2に、早期の弁護人選任です。逮捕直後は当番弁護士制度を利用でき、勾留後は要件を満たせば国選弁護人が付きます。もっとも、入管手続を見据えた資料の収集や、監理措置・仮放免の準備まで進めるには、私選弁護人による集中的な対応が有効な場面が多くございます。

第3に、通訳の質です。当事務所には、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。違反調査の段階から言葉の齟齬を残さないことが、後の主張の一貫性を支えます。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が、接見の初動から公判の結審、さらに入管手続に至るまで全工程を直接担当いたします。事務員や若手弁護士による代行は行っておりません。入口の段階で何を確かめ、何を残すかという判断は、経験と条文の読みの両方を要するためです。

D-2として、冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案を担当いたしました。「退去強制事由には故意・過失が不要」とする従来の実務に対し、責任主義・過失責任主義の射程を問う訴訟を提起し、上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められております。訴訟における主張と在留特別許可の獲得とは、それぞれ別個の手続における別個の判断であり、混同すべきものではありませんが、入口の段階から故意・過失の有無を丁寧に記録してきたことが、その後の主張の土台になったことは確かです。

D-1として、観光目的で来日された相談者が日本人女性との間にお子様を授かったものの在留資格を喪失し、不法滞在で逮捕・起訴された事案を担当いたしました。婚姻と認知が未了であったため当局から一旦不受理とされたところ、憲法的観点から交渉して婚姻・認知を実現し、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、入管当局の過去の許可事例を分析して、1回の申請で在留特別許可を獲得いたしました。

A-1として、覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得した実績がございます。裁判員裁判の対象事件や報道された重大事件にも多数対応してまいりました。証拠を一点ずつ検証する姿勢は、入管の違反調査の記録を精査する場面でも変わりません。

在留資格に関しましては、提携する行政書士と連携し、在留期間更新や在留資格変更の申請をサポートする体制を整えております。刑事手続から入管手続まで、窓口を分けずに一貫してお引き受けできる点が、当事務所の特徴です。

結語

退去強制の手続は、収容令書が出てから慌てて対応するには、進み方が速すぎます。違反調査という入口の段階で、誰が何を求めているのかを確かめ、供述と資料を落ち着いて整えておくこと。それが、口頭審理や在留特別許可という後の段階で使える材料を残す道です。ご本人が調査を受けた段階でも、ご家族から連絡が来た段階でも構いません。早くご相談いただくほど、選べる道が残ります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):从入管的违反调查到收容令书|以条文读懂退去强制程序的「入口」(入管法第27条以下)

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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