舟渡国際法律事務所

在留特別許可の具体的な取り方|出頭申告から許可までの手順と、各段階でしておくべきこと

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在留特別許可の具体的な取り方|出頭申告から許可までの手順と、各段階でしておくべきこと

在留特別許可の具体的な取り方|出頭申告から許可までの手順と、各段階でしておくべきこと

2026/09/18

在留期限が過ぎてしまった、刑事事件の判決が確定して在留資格を失うおそれがある、配偶者と日本で暮らし続けたい。こうした状況で最後に残る道が在留特別許可です。在留特別許可は法務大臣の裁量による判断ですが、手続の流れと判断の基準は法律とガイドラインで定められています。どの段階で何をしておくかによって、結果は大きく変わります。本記事では、2026年9月に当事務所が在留特別許可を得た事例の経過も交えながら、出頭から許可までの手順を実務の目線で整理します。

本記事の要点

  • 在留特別許可は、退去強制手続の中で法務大臣が判断します(入管法50条1項)。令和5年改正法(2024年6月10日施行)により申請手続が設けられ、考慮される事情が法律に書き込まれました(同条5項)。
  • 摘発される前に自ら入管に出頭することは、ガイドライン上、積極的な事情として考慮されます。
  • 申請書は、入管法50条5項が挙げる事情ごとに、資料を添えて組み立てるのが基本です。
  • 違反審査の事情聴取では、刑事裁判の記録や過去の申請内容と突き合わせて質問されます。
  • 手続の選択(口頭審理を請求するかどうか)で、結論が出るまでの期間が変わります。

在留特別許可とは何か

在留特別許可は、退去強制の対象となる外国人について、法務大臣が特別に日本での在留を認める制度です(入管法50条1項)。判断にあたっては、在留を希望する理由、家族関係、素行、日本に入国することになった経緯、在留期間、その間の法的地位、退去強制の理由となった事実、人道上の配慮の必要性などが考慮されます(同条5項)。出入国在留管理庁の「在留特別許可に係るガイドライン」(2024年3月改定)は、積極的に考慮する事情と消極的に考慮する事情を整理したうえで、積極的な事情が消極的な事情を明らかに上回る場合に許可を検討するとしています。

なお、1年を超える実刑判決を受けた方などについては、在留を認めないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情がある場合に限って許可されます(入管法50条1項ただし書)。執行猶予付き判決であれば、このただし書の対象にはなりません。

手順1 出頭申告

在留期限を過ぎた方が、摘発される前に自ら地方出入国在留管理官署に出頭することを出頭申告といいます。ガイドラインは、不法滞在を申告するために自ら出頭したことを積極的な事情として挙げています。警察の逮捕や入管の摘発で発覚した場合と比べ、許可の見込みに差が出ることは、公表されている事例からも読み取れます。

出頭の前に、次の資料を揃えておくと、その後の手続が滑らかに進みます。

  • 旅券、在留カード(期限切れのものを含む)
  • 婚姻を証明する書類(婚姻届受理証明書、戸籍謄本、本国の婚姻証明書等)
  • 交際から婚姻、同居までの経過が分かる写真・メッセージ等
  • 住民票、課税・納税証明書、在職証明書、給与明細、預金残高証明書
  • 刑事事件がある場合は判決書の謄本
  • 身元保証人の身元引受書

手順2 違反調査と身柄の扱い

出頭すると、入国警備官による違反調査が行われます(入管法27条)。その後、収容令書が発付される場合と、収容に代えて監理措置が決定される場合があります。監理措置は、監理人の監督の下で社会の中で生活しながら手続を受ける制度です。生活の基盤や家族の状況、逃亡のおそれがないことを示す資料は、この段階でも役に立ちます。

手順3 在留特別許可の申請

令和5年改正法により、在留特別許可を申請する手続が設けられました(入管法50条2項)。申請は、退去強制令書が発付された後はできません(同条3項)。申請書と理由書は、入管法50条5項の事情に沿って組み立てるのが基本です。当事務所では、次の順で構成することが多くあります。

  • 理由の要旨:最も強い積極的な事情を冒頭に置く
  • 在留と家族の経緯:入国から現在までを時系列で示す
  • 積極的な事情:家族関係、在留期間と法的地位、生活基盤、出頭申告
  • 消極的な事情の位置付け:前科や違反の内容を正確に示し、なぜ許可を妨げないかを説明する
  • 公表事例との比較:同じ類型の許可事例を示し、同様の取扱いを求める

消極的な事情を書かずに済ませることはできません。入管は刑事裁判の記録や過去の申請書類を把握しています。不利な事情を自分から正確に示し、そのうえで評価を争う方が、信頼を損ないません。

手順4 違反審査(事情聴取)

入国審査官が、退去強制事由に当たるかどうかを審査します(入管法45条)。この審査の中で行われる事情聴取は、在留特別許可の判断にも直結します。婚姻の経緯、生活の状況、前科の内容と反省などが詳しく問われます。刑事事件がある場合、審査官は判決の内容を把握したうえで質問します。説明が判決の認定と食い違うと、反省していないと受け取られるおそれがあります。

当事務所の事例では、午前中の説明が判決の認定とずれていたため、昼の休憩時間に助言し、午後に説明を改めました。前もって判決書の「罪となるべき事実」と「量刑の理由」を読み込み、何をどう説明するかを整理しておくことが重要です。

手順5 口頭審理を請求するかどうか

入国審査官が退去強制事由に当たると認定すると、その旨が通知されます。認定に不服があれば、通知を受けた日から3日以内に口頭審理を請求できます(入管法48条1項)。口頭審理では特別審理官が審理し、代理人の弁護士も立ち会えます。さらに判定に不服があれば、3日以内に法務大臣へ異議を申し出ることができます(同法49条1項)。

退去強制事由そのもの(在留期限を過ぎたこと、有罪判決が確定したこと等)に争いがない場合は、認定に服して、在留特別許可の判断に進む選択もあります。当事務所の事例では、この選択により、事情聴取から35日で許可に至りました。逆に、退去強制事由に当たるかどうか自体を争うべき事案(不法就労助長の故意・過失を争う場合等)では、口頭審理を請求して主張を尽くすべきです。期限が3日と短いため、事情聴取の前に方針を決めておく必要があります。

手順6 許否の判断と、その後

許可されると、在留資格と在留期間が決定されます。日本人の配偶者であれば「日本人の配偶者等」、永住者の配偶者であれば「永住者の配偶者等」、定住者の家族であれば「定住者」が一般的で、最初の在留期間は1年とされることが多くあります。不許可の場合は、理由を記載した書面で通知され、退去強制令書が発付されます。不許可処分や退去強制令書発付処分に対しては、処分を知った日から6か月以内に取消訴訟を提起でき(行政事件訴訟法14条1項)、送還を止めるための執行停止の申立ても検討します。

期間の目安

審査期間は事案と地方局の状況によって大きく異なり、一般には半年前後から1年以上かかるとされています。当事務所の事例では、申請から事情聴取まで約4か月半、事情聴取から許可まで35日、合計で約5か月半でした。期間中は、住所・勤務先・家族の状況に変化があれば速やかに届け出て、監理措置等の条件を守ることが欠かせません。条件違反は、ガイドライン上、消極的な事情として扱われます。

刑事事件がある場合は、判決の前から準備が始まる

刑事事件を抱えている方にとって、在留特別許可の準備は判決の前から始まっています。起訴される罪名の数、刑の重さ、実刑か執行猶予か、罰金か拘禁刑か。こうした刑事手続の結果が、入管法24条のどの号に当たるか、50条1項ただし書の制限を受けるかを決めます。刑事弁護の段階から入管手続を見通すことが、在留特別許可を取るための最初の一歩です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所では、出頭申告の準備から申請書の作成、事情聴取への対応、許可後の在留資格の更新まで、松村大介弁護士が直接担当します。事務員や若手弁護士による代行は行いません。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しており、他の言語は事案に応じて通訳を手配します。在留資格の更新・変更は、提携の行政書士と連携して対応します。

2026年9月には、有印私文書偽造・同行使の罪で執行猶予付き判決を受けたベトナム国籍の男性について、日本人の配偶者として在留特別許可を得ました(ご本人の同意を得て紹介しています)。また、観光目的で来日し不法滞在で逮捕・起訴された方について、婚姻と認知の手続を当局との交渉で実現し、過去の許可事例の分析を踏まえて、1回の審査で在留特別許可を得た事例があります。

結語

在留特別許可は、書類を出して待つだけの手続ではありません。出頭の時期、申請書の組み立て、事情聴取での説明、口頭審理を請求するかどうか。どの段階にも、結果を左右する判断があります。いま手続のどの段階にいるのかを確認することから始めてください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士/第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)/舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)/中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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