舟渡国際法律事務所

実刑判決が確定したあと、ご家族は何を知っておくべきか|刑事施設での処遇・面会・仮釈放から退去強制・帰国後の上陸拒否まで

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実刑判決が確定したあと、ご家族は何を知っておくべきか|刑事施設での処遇・面会・仮釈放から退去強制・帰国後の上陸拒否まで

実刑判決が確定したあと、ご家族は何を知っておくべきか|刑事施設での処遇・面会・仮釈放から退去強制・帰国後の上陸拒否まで

2026/09/14

「控訴はしない。早く終わらせたい」。ご本人がそう決め、判決が確定したという知らせを受けたご家族から、「これから夫はどこに行くのか」「手紙は届くのか」「刑期が終わればそのまま帰って来られるのか」というご相談を受けることが少なくありません。実刑判決の確定は刑事裁判の終わりですが、ご家族にとっては、刑事施設での生活、仮釈放、入管への引渡し、送還、そして帰国後の再入国という、別の長い道のりの始まりです。この記事では、実刑判決が確定したあとに実際に何が起きるのかを条文に沿って整理し、ご家族が今のうちに準備できることをお伝えします。

本記事の要点

  • 判決確定後、ご本人は拘置所から刑事施設へ移送され、日本語を解さない外国人受刑者については、通訳や翻訳の体制を備えた施設に集めて処遇する運用が行われています。
  • 親族との面会・手紙・差入れは刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律で認められていますが、外国語の手紙は内容確認のため時間を要し、面会にも制約があります。
  • 仮釈放は刑法28条により刑期の3分の1を経過すれば法律上可能となり、退去強制が予定される外国人の場合は、仮釈放と同時に入管に引き渡されて送還に進むのが通常です。
  • 退去強制の手続は刑務所にいる間に入管法63条1項に基づいて進み、退去強制令書は刑の執行終了後に執行されるのが原則です。
  • 送還後は入管法5条1項9号により原則5年(2回目以降は10年)の上陸拒否期間があり、1年以上の拘禁刑を受けた方は同項4号により期間の経過後も上陸を拒否され得ます。

判決確定から刑務所へ移るまでに何が起きるか

判決の宣告から14日の控訴期間が経過するか、控訴を取り下げると、判決は確定します。確定後、ご本人は勾留されていた拘置所から刑を執行する刑事施設へ移送されます。移送先は本人が選べるものではなく、刑期、年齢、犯罪傾向、日本語の能力などをもとに決められます。

日本語を解さない外国人受刑者については、通訳や翻訳の体制、宗教や食事への配慮を備えた特定の刑事施設に集めて処遇する運用が行われています。移送のあとに施設からご家族へ通知が届くまでには時間差があり、「どこに移されたのか分からない」と不安になる時期が生じます。弁護人が付いていれば、確定前に移送先の見通しや連絡方法を整理しておくことができます。

刑事施設における処遇は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律30条により、受刑者の年齢、資質及び環境に応じ、改善更生の意欲の喚起を旨として行われます。外国人受刑者にもこの原則は及びますが、帰国が予定されている方については、日本社会への復帰を前提とする指導の一部が実情に合わない場合があります。

面会・手紙・差入れはどこまでできますか

親族との面会は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律111条1項1号により、原則として許されます。親族以外の方は、同項2号・3号に当たる場合(訴訟の遂行や事業の維持のため必要な方、釈放後の雇用予定者など)か、同条2項の個別の判断によります。面会には同法112条により職員が立ち会うことができ、回数や時間は施設ごとに定められています。

ご家族が最も戸惑われるのは外国語での面会です。立ち会う職員が理解できない言語での会話は、施設の規律維持の観点から制約を受けることがあり、施設が通訳を手配するか、日本語で話すよう求められる場合があります。事前に施設に問い合わせて、どのような条件で面会できるのかを確認しておくことが必要です。

手紙については、同法126条が他の者との信書の発受を原則として許すと定め、同法127条により職員が検査を行うことができます。外国語で書かれた手紙は、内容を確認するために翻訳を要するため、日本語の手紙に比べて発受に時間がかかり、翻訳の費用負担を求められることもあります。同法129条は、職員が理解できない内容のもの、規律を害するおそれのあるものなどについて発受の差止めや削除を認めていますので、暗号めいた表現や、事件関係者との連絡を疑わせる記載は避けなければなりません。

差入れの金品は、同法44条3号により検査を受けます。差し入れられる物品の種類や数量は施設の規則で定められ、食品や医薬品は原則として差し入れられません。現金は施設内で日用品を購入する資金として重要ですので、送金の方法を早めに確認しておくとよいでしょう。

仮釈放はいつ、どのように認められますか

刑法28条は、拘禁刑に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑は刑期の3分の1、無期刑は10年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができると定めています。判断は地方更生保護委員会が行い、施設内での生活態度、帰住先の有無、再犯のおそれなどが考慮されます。

退去強制が予定されている外国人の方の場合、仮釈放の意味は日本人の場合と大きく異なります。日本社会に戻って保護観察を受けるのではなく、仮釈放と同時に入管に引き渡され、収容を経て送還されるのが通常の流れです。入管法62条4項は、地方更生保護委員会が退去強制事由に当たる外国人について仮釈放を許す決定をしたときは、直ちに入管に通報しなければならないと定めており、刑事施設と入管との間で釈放日の連絡が取られます。

このため、「仮釈放されれば一緒に日本で暮らせる」という期待は、現実との落差を生みます。仮釈放は刑事施設からの釈放であって、日本での在留を認めるものではなく、帰住先として帰国先の住居や受入れの状況を示すよう求められることもあります。

刑務所から入管へ、退去強制の手続はどう進みますか

退去強制の手続は、刑期が終わってから始まるのではありません。入管法63条1項は、刑事訴訟や刑の執行の手続が行われている外国人についても、収容しないまま退去強制の手続を進めることを認めています。実務では、刑事施設に入国警備官や入国審査官が出張し、違反調査、入国審査官の審査、特別審理官の口頭審理(同法48条)、法務大臣への異議の申出(同法49条)という一連の手続を、服役中に進めていきます。退去強制令書は、この過程で発付されます。

同法63条2項は、こうして発付された退去強制令書は刑の執行が終了した後に執行すると定め、ただし書で、検事総長又は検事長の許可があれば刑の執行中でも執行できるとしています。あわせて同法62条3項は、矯正施設の長が退去強制事由に当たる外国人を刑期満了などにより釈放するときは直ちに入管に通報しなければならないと定めており、釈放の当日に入国警備官が刑事施設で身柄を引き取り、入管の収容施設へ移す運用が行われています。

入管に移ったあとは、同法52条3項により速やかに送還先へ送還されることになります。直ちに送還できない場合は、同条9項により送還可能のときまで収容されるか、令和5年改正で設けられた監理措置(同法52条の2)に付されます。旅券が失効している場合には、同法52条12項に基づき、旅券の発給申請など送還に必要な行為を命じられることがあります。

服役中に進む退去強制手続の中で、在留特別許可(同法50条1項)を求める余地がないわけではありません。もっとも、同項ただし書は、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた方については、在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情がある場合に限って許可できると定めており、要件は厳格です。出入国在留管理庁が公表する許可事例の中には、1年を超える実刑を受けた方について、日本人の子の監護養育などを理由に許可された例も含まれていますが、その数は限られています。ご家族の側で、日本に残るべき事情を示す資料を服役中から整えておくことが、この局面で意味を持ちます。

帰国したあと、日本にはいつ戻れますか

送還された方は、入管法5条1項9号により一定期間、日本への上陸を拒否されます。過去に退去強制や出国命令を受けたことがない方は同号ハにより退去の日から5年、2回目以降は同号ニにより10年です。

しかし、実刑判決を受けた方について注意すべきなのは、この5年や10年が過ぎても上陸できるとは限らないという点です。同項4号は、日本国又は日本国以外の国の法令に違反して1年以上の拘禁刑又はこれに相当する刑に処せられたことのある者を、期間の定めなく上陸拒否事由としています。1年以上の拘禁刑を宣告された方は、9号の期間が経過した後も、4号によって上陸を拒否され得るということです。薬物事犯については同項5号が、刑の軽重を問わず同様の扱いを定めています。

これらの上陸拒否事由に当たる方が再び日本に入国するには、法務大臣の上陸特別許可(同法12条1項3号)が必要になります。日本人の配偶者や子がいる場合など、特別に上陸を許可すべき事情があるかどうかが個別に判断されますが、確実に認められるものではありません。ご家族が日本に残る前提で将来を設計するのか、帰国先での合流を考えるのか、早い段階で見通しを立てる必要があります。

ご家族が今のうちに準備できること

ご家族にできることは、思いのほか多くあります。まず、旅券の有効期限の確認です。旅券が失効していると送還が遅れ、収容が長引く原因になります。次に、銀行口座、賃貸住宅、携帯電話、未払賃金など日本に残す財産や契約の整理です。ご本人が施設にいる間の処理には委任状や本人確認が必要になりますので、弁護人を通じて進めます。

ご本人の在留資格に依存する家族滞在の資格で在留している配偶者やお子さんは、ご本人が在留資格を失うと自分たちの在留も揺らぎます。日本人の配偶者等、定住者などへの変更が可能かどうか、早めに検討しなければなりません。

在留特別許可や将来の上陸特別許可を視野に入れるのであれば、婚姻関係の実態、お子さんの就学状況、日本での生活基盤を示す資料を時系列で整理しておきます。入管の判断は書面で行われ、資料の有無が結論を左右します。

想定される刑事手続の流れを振り返る

実刑判決の確定に至る道のりを振り返ると、逮捕から48時間以内に警察が事件を検察官に送り、検察官が24時間以内に勾留を請求し、裁判官が勾留を認めれば原則10日、延長でさらに10日という最大23日間の身柄拘束の中で起訴・不起訴が決まります。この段階で不起訴になっていれば、刑事施設も退去強制令書も問題になりませんでした。

起訴後は、保釈が認められない限り勾留が続き、公判を経て判決に至り、宣告から14日以内に控訴しなければ確定します。控訴するかどうかは、量刑の見通しだけでなく在留や再入国への影響も踏まえて判断すべきものです。実刑の期間が1年を超えるか否かは、在留特別許可の要件(入管法50条1項ただし書)と上陸拒否事由(同法5条1項4号)の双方に関わるからです。

在留資格への影響:入管法24条のどの号に当たるか

実刑判決が確定した方が退去強制事由に当たるかどうかは、入管法24条の号ごとに判断されます。最も多く問題になるのは4号リで、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者が該当し、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者と、刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であって執行が猶予されなかった部分の期間が1年以下の者は除かれます。実刑1年以下の判決であれば、この号には当たりません。

しかし、薬物事犯については4号チが、麻薬及び向精神薬取締法、覚醒剤取締法などに違反して有罪の判決を受けた者を掲げており、刑の軽重や執行猶予の有無を問わず該当します。また、別表第一の在留資格(技術・人文知識・国際業務、技能、留学、家族滞在など)で在留する方については4号の2が、窃盗、傷害、詐欺など一定の罪により拘禁刑に処せられた者を掲げており、こちらも執行猶予の有無を問いません。

退去強制事由に当たらない場合でも、有罪判決を受けた事実は、在留期間更新の許可(同法21条3項)における素行の評価に影響し、在留資格の取消し(同法22条の4)の契機となることもあります。刑期中に在留期間が満了して不法残留(同法24条4号ロ)となり、退去強制事由が重なることも珍しくありません。

なぜ起訴前の段階で不起訴処分を最優先するのか

この記事で述べてきた流れは、すべて有罪判決の確定から始まっています。逆に言えば、起訴前に不起訴処分を得ていれば、刑事施設への収容も、入管収容も、送還後の上陸拒否も生じなかったということです。当事務所が執行猶予判決ではなく不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えているのは、この構造を踏まえてのことです。

執行猶予が付けば在留を守れる類型(4号リが中心)と、執行猶予でも在留を失う類型(薬物事犯の4号チ、別表第一在留者の特定犯罪の4号の2)があります。どちらに当たるのかを逮捕直後に見極め、不起訴に向けて示談、被害弁償、事実関係の争い、身元引受の体制などを組み立てる必要があります。

逮捕直後に守るべき三つのこと

第1に、黙秘権です。憲法38条1項は自己に不利益な供述を強要されないことを保障し、刑事訴訟法198条2項は取調べに先立って供述を拒むことができる旨を告げることを求めています。黙秘したことを不利益に扱うことは許されません。逮捕直後に作られた供述調書は、刑事裁判だけでなく、刑務所内で進む退去強制手続や在留特別許可の判断でも参照されます。

第2に、早期の私選弁護人の選任です。勾留前の段階から一貫して事件を把握し、退去強制手続まで見通して動ける弁護人が必要です。

第3に、通訳の質です。捜査機関が手配する通訳人は捜査のために通訳する立場であり、ご本人の利益のために動くわけではありません。言い分が正確に伝わり、調書の内容を理解して署名するためには、依頼者側の通訳が要ります。退去強制手続の口頭審理においても、通訳の正確さは結論に直結します。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所では、接見の初動から公判の結審まで、松村大介弁護士が全工程を直接担当いたします。判決確定後の刑事施設での対応、退去強制手続における在留特別許可の申請、送還後の上陸特別許可の検討まで、刑事と入管を一体のものとして担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しており、接見から入管手続の口頭審理まで、依頼者の側に立って通訳いたします。

在留資格を失って不法滞在で起訴された方について、刑事手続と並行して婚姻と認知の手続を実現させ、出入国在留管理庁が公表する過去の許可事例を分析して主張を組み立て、一度の申請で在留特別許可を得た事例がございます。ご本人が身柄を拘束されている間にご家族と連携して事情を整えることが、この結果につながりました。

冤罪により不法就労助長罪に問われた依頼者の事案では、退去強制事由の判断に故意・過失を要するかを問う訴訟を提起し、上訴審まで争いました。同じ方について、その後、在留特別許可が認められました。この論点は議論の途上にあり、結論を断定することはできません。

このほか、国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象となる事件、世界的に報道された事件への対応経験があり、中国籍の方の重大事件にも多数対応してまいりました。長期の実刑が見込まれる事案では、判決後の道のりをご家族とともに見通すことも弁護活動の一部です。

結語

実刑判決の確定は、ご家族にとって一つの区切りであると同時に、次の手続の始まりです。刑事施設での生活には面会や手紙の制約があり、仮釈放は送還と結び付き、帰国後には上陸拒否の期間が待っています。しかし、各段階にはご家族が備えられることがあり、弁護人が関与できる場面があります。旅券の確認、財産の整理、お子さんの在留資格、在留特別許可や上陸特別許可のための資料の準備は、いずれも今から始められます。先の見えない不安を、順を追って整理された見通しに変えることが当事務所の役割です。判決確定後であっても、遠慮なくご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):实刑判决确定之后,家属应当了解什么|从监狱处遇、会见、假释到退去强制与回国后的上陆拒否

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


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