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配偶者からDVで通報されて逮捕されたとき|傷害・暴行、DV防止法の保護命令、「日本人の配偶者等」の在留と離婚後の切替え

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配偶者からDVで通報されて逮捕されたとき|傷害・暴行、DV防止法の保護命令、「日本人の配偶者等」の在留と離婚後の切替え

配偶者からDVで通報されて逮捕されたとき|傷害・暴行、DV防止法の保護命令、「日本人の配偶者等」の在留と離婚後の切替え

2026/09/14

夫婦げんかの最中に配偶者が110番通報し、駆け付けた警察官にその場で逮捕される。翌日には、ご本人が何も知らないうちに配偶者が自宅を出て、連絡が取れなくなる。「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格で暮らす中国籍の方から、このようなご相談を受けることが増えています。配偶者からの暴力として扱われる事件は、刑事責任の問題であると同時に、婚姻という在留の土台そのものが揺らぐ問題でもあります。傷害や暴行の罪はどう成立するのか、保護命令とは何か、別居や離婚は在留にどう響くのか。逮捕直後の混乱の中でも見通しを持てるよう、順に整理いたします。

本記事の要点

  • 配偶者に対する暴力も刑法204条の傷害(15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)や208条の暴行(2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料)として処罰され、夫婦であることは免責事由になりません。
  • DV防止法の接近禁止命令(10条・1年間)や退去等命令(10条の2・原則2か月)に違反すると、同法29条により2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金に処せられます。
  • 「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の方が配偶者としての活動を6か月以上行わないと、入管法22条の4第1項7号により在留資格を取り消され得ますが、正当な理由がある場合は除かれます。
  • 離婚や死別があったときは14日以内に入管への届出が必要で(入管法19条の16第3号)、離婚後は他の在留資格への変更を検討することになります。
  • 傷害は刑法第27章の罪であり、家族滞在などの別表第一の在留資格の方は、執行猶予付きでも拘禁刑に処せられれば入管法24条4号の2に該当し得るため、起訴前の不起訴処分が在留を守る中心的な目標になります。

夫婦の間でも傷害や暴行で逮捕されるのですか

逮捕されます。刑法204条は人の身体を傷害した者を15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処し、同法208条は暴行を加えたが傷害に至らなかった者を2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処すると定めています。いずれの条文にも、被害者が配偶者である場合を除く定めはありませんし、告訴がなければ起訴できない親告罪でもありません。配偶者が後に「処罰は望まない」と述べたとしても、それだけで事件が終わるわけではありません。

DV防止法、正確には配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律は、1条1項で、配偶者からの暴力を、身体に対する暴力、すなわち身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの、又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動と定義しています。同条3項により、婚姻の届出をしていない事実婚の相手も配偶者に含まれます。この法律自体は暴力を直接処罰する規定を置いていませんが、通報を受けた警察は、被害を申告する側の保護を優先して動きます。

実務上の争点は、暴力の有無そのものよりも、どちらが先に手を出したのか、押し返した行為が正当防衛や相互の暴行として評価されるべきものではないか、けがの程度と原因が申告どおりかといった点にあります。夫婦間の出来事は密室で起こり、目撃者がいないため、通報時の119番や110番の録音、診断書、部屋の状況、双方のスマートフォンの記録が重要になります。逮捕直後に「自分が悪い」とだけ述べて調書が作られると、後の修正は容易ではありません。

保護命令とは何ですか。違反するとどうなりますか

保護命令は、刑事事件とは別に、被害者の申立てにより裁判所が発する命令です。DV防止法10条1項の接近禁止命令は、配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた被害者が、更なる暴力等により生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいときに、命令の効力が生じた日から1年間、被害者の住居その他の場所で身辺につきまとい、又は住居や勤務先の付近をはいかいすることを禁じるものです。同条2項により、面会の要求、連続した電話やメッセージの送信、深夜の電話、名誉を害する事項の告知、位置情報の無断取得なども併せて禁じられ、3項・4項により被害者と同居する子や親族等への接近も禁じられ得ます。

同法10条の2の退去等命令は、被害者と生活の本拠を共にしている配偶者に対し、命令の効力が生じた日から2か月間(住居の所有者又は賃借人が被害者のみである場合に被害者の申立てがあれば6か月間)、その住居から退去し、付近をはいかいしないことを命じるものです。ご自身の名義で借りている自宅であっても、退去を命じられ得ます。

保護命令に違反した者は、同法29条により2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金に処せられます。ここで注意していただきたいのは、違反の多くが「話し合いたかった」「子どもに会いたかった」という動機から起こることです。相手の勤務先に行く、共通の知人を通じて連絡を取ろうとする、子どもの学校の前で待つ。こうした行為が新たな犯罪となり、傷害や暴行の事件の処分にも重く響きます。保護命令が出た後の連絡は、すべて弁護人を通じて行う必要があります。

逮捕された後、自宅に帰れますか。配偶者と連絡できますか

原則として、しばらくは帰れませんし、連絡もできません。傷害や暴行の事件で勾留されると、被害者である配偶者と同居しており接触の機会があることを理由に、勾留が認められやすく、裁判所が接見等禁止の決定(刑事訴訟法81条)を付すこともあります。釈放されても、配偶者が自宅にいる限り、自宅に戻ることは示談の交渉を妨げる行為と受け取られ、保護命令が出ていれば犯罪になります。

したがって、逮捕直後に弁護人が最初に整えるのは、ご本人の一時的な居所です。友人宅や親族宅、短期の賃貸など、配偶者から離れた場所を確保し、そこで生活することを裁判所と検察官に示すことで、勾留を回避し、あるいは早期の釈放につなげることができます。同時に、配偶者への謝罪や示談の申入れ、子どもとの面会の調整は、弁護人が相手方や相手方の弁護士、支援センターを通じて進めます。ご本人が直接連絡を取ろうとすることは、どのような動機であっても、状況を悪化させます。

「日本人の配偶者等」の在留資格はどうなりますか

逮捕や別居があったからといって、その時点で直ちに在留資格が失われるわけではありません。ただし、時間が経つにつれて、2つの入口から在留が問題になります。

第1に、在留資格の取消しです。入管法22条の4第1項7号は、「日本人の配偶者等」の在留資格(日本人の配偶者の身分を有する者に係るもの)又は「永住者の配偶者等」の在留資格(永住者等の配偶者の身分を有する者に係るもの)で在留する者が、その配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6か月以上行わないで在留していることを、取消事由として定めています。ただし、活動を行わないことにつき正当な理由がある場合は除かれます。別居が始まってから6か月が、ひとつの目安です。

もっとも、婚姻関係が破綻しているかどうかは、別居の事実だけで決まるものではありません。配偶者が一方的に家を出て所在を明かさない場合、離婚の協議や調停が続いている場合、子どもの監護をめぐって調整中の場合など、婚姻を維持する意思を持ちながら別居を余儀なくされている事情は、正当な理由の有無や、活動を行っていないと評価すべきかどうかの判断に関わります。取消しの前には、入国審査官による意見の聴取が行われ(同条2項)、ご本人又は代理人が出頭して意見を述べ、証拠を提出することができます(同条4項)。この手続で、別居に至った経緯と婚姻に関するご本人の意思を、資料に基づいて具体的に説明することが重要です。

第2に、在留期間の更新です。更新は、入管法21条3項により、更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可されます。婚姻の実体が失われつつある状況で更新の時期を迎えると、配偶者の協力が得られないことも相まって、許可は難しくなります。有罪判決の事実は素行の評価にも影響します。

離婚になったら、在留資格を切り替えられますか

離婚が成立すると、配偶者の身分を前提とする在留資格の基礎は失われます。入管法19条の16第3号は、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」及び配偶者としての「家族滞在」で在留する方について、配偶者との離婚又は死別があったときは、14日以内に出入国在留管理庁長官に届け出ることを義務付けています。届出を怠ると、20万円以下の罰金の対象となり得ます。

離婚後も日本で生活を続けるためには、他の在留資格への変更が必要です。日本人との間に子がいて、その子を日本で監護養育している場合や、婚姻が相当期間続き日本での生活基盤が確立している場合には、定住者への変更が検討されます。就労できる学歴や職歴があれば、技術・人文知識・国際業務などの就労資格への変更も選択肢です。どの資格を目指すかは、離婚の経緯、子の親権と監護の状況、収入と居住の安定性によって変わります。

刑事事件が絡む場合、離婚の協議は示談の協議と表裏の関係になります。離婚に応じる代わりに被害届を取り下げる、慰謝料の支払と刑事の宥恕を一体で合意する、子との面会交流を取り決めるといった調整は、刑事事件と離婚事件の両方を見通せる弁護人が担う必要があります。相手方が離婚と処罰の双方を強く求めている事案では、示談が難航しますが、そのような事案こそ、暴力の態様とけがの程度、経緯の相互性を証拠に基づいて丁寧に主張することが、処分の軽減と在留の維持の双方に生きてまいります。

想定される刑事手続の流れ

現行犯逮捕されると、警察は48時間以内に事件と身柄を検察官に送致し、検察官は24時間以内に勾留を請求するかどうかを判断します。勾留が認められれば原則10日間、延長されればさらに最大10日間の拘束が続きます。配偶者への暴力の事件では、被害者との同居を理由に勾留されやすい一方、けがが軽く、ご本人が別の居所を確保でき、配偶者への接触をしないことを弁護人が具体的に示せれば、勾留請求がされず、あるいは勾留請求が却下されて、数日で釈放される例も少なくありません。

逮捕から勾留の判断までの72時間は、この事件類型では特に重要です。この間に、居所の確保、勤務先への連絡、子どもの世話の手配、相手方への接触禁止の約束を整えられるかどうかで、勾留の有無が分かれ、勾留の有無は在留期間や勤務先との関係に直結します。

退去強制事由との関係

入管法24条は退去強制事由を号ごとに定めています。「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」は別表第二の在留資格ですので、基本となるのは同条4号リです。無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者が該当し、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者は除かれます。傷害の事件で実刑判決を受けなければ、4号リには該当しないという構造です。

しかし、配偶者の身分に基づく在留資格ではなく、家族滞在や技術・人文知識・国際業務などの別表第一の在留資格でお住まいの方の場合は、事情が異なります。同条4号の2は、別表第一の在留資格で在留する者が刑法第2編第27章の罪などにより拘禁刑に処せられた場合を、刑期の長短を問わず、執行猶予の有無を問わず、退去強制事由としています。傷害も暴行も第27章に置かれた罪ですから、執行猶予付きの拘禁刑判決であっても該当し得ます。ご夫婦がともに中国籍で、一方が就労資格、他方が家族滞在という組合せは多く、この場合は執行猶予でも在留を失う危険を直視しなければなりません。

そして、退去強制事由に当たらない場合でも、前述の在留資格の取消し(22条の4第1項7号)と更新の不許可(21条3項)という別の入口が待っています。刑事の見通しと在留の見通しは、別々に立てる必要があります。

不起訴処分を最優先の目標とする理由

当事務所は、配偶者に対する傷害や暴行の事件で、執行猶予判決を目標に置くのではなく、起訴前の不起訴処分を最優先の目標としています。別表第一の在留資格の方にとっては、執行猶予付きでも拘禁刑判決が退去強制事由になり得ますし、別表第二の方にとっても、有罪判決の存在は取消手続や更新の場面で不利に働きます。

傷害や暴行は、配偶者個人の身体という個人的な法益を侵害する罪です。したがって、被害弁償と謝罪、相手方の宥恕、再発防止のための具体的な取組み(別居の継続、カウンセリングの受講、飲酒の制限など)が、処分に直接影響します。あわせて、暴力の態様が申告どおりであったのか、相互の暴行ではなかったのか、正当防衛の余地はないのかを、通報時の録音や診断書、部屋の状況といった客観的な証拠に基づいて主張します。感情的な対立が強い事件ほど、証拠に立ち返る姿勢が結論を左右します。

逮捕されたとき、最初にすべき3つのこと

第1に、黙秘権です。憲法38条1項は自己に不利益な供述を強要されないことを保障し、刑事訴訟法198条2項は取調べに先立って供述を拒めることを告げるよう求めています。夫婦間の事件では、「自分が悪かった」という気持ちから、記憶と異なる内容まで認めてしまう例が非常に多く見られます。何を認め、何を認めないかは、弁護人と相談してから決めることが原則です。

第2に、できる限り早く私選の弁護人を選任することです。居所の確保、相手方への接触の遮断、示談と離婚の協議、入管への対応は、事件を継続して担当する弁護人でなければ一体として進められません。勾留が決まってからでは、最初の72時間を失っています。

第3に、通訳の質です。捜査機関が手配する通訳は捜査のための通訳であり、ご本人の利益のために動く立場ではありません。「押した」「払いのけた」「つかんだ」といった言葉の訳し方ひとつで、暴行の態様の認定は変わります。当事務所には外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しており、接見から公判まで、依頼者ご本人のために動く通訳をご利用いただけます。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所では、接見の初動から公判の結審まで、松村大介弁護士が全工程を直接担当いたします。配偶者との事件では、刑事手続、離婚と子の監護、在留資格の3つが同時に動きますので、担当を分けずに一人の弁護士が全体を見通すことが不可欠です。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しており、中国本土のご家族との連絡も直接に行えます。

在留資格を失い不法滞在で起訴された方について、婚姻と認知の手続を実現させ、入管が公表する過去の許可事例を分析して主張を組み立て、在留特別許可を一度の申請で獲得した事例があります。婚姻や親子関係を在留の基礎として立て直す作業は、配偶者との事件で在留が揺らいだ方にも共通する課題です。

また、特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された方について、不当な取調べへの抗議と主張立証を重ね、全件について不起訴処分を得た事例があります。取調べの適正を守りながら、証拠に基づく主張で不起訴を積み上げる姿勢は、感情の対立が激しい夫婦間の事件でも変わりません。

結語

配偶者からの通報で逮捕された方の多くは、「家の中の出来事がなぜ犯罪になるのか」という戸惑いと、「このまま日本にいられなくなるのか」という不安を同時に抱えています。刑事事件としての傷害や暴行、保護命令、在留資格の取消しと更新、離婚後の切替え。これらは別々の制度ですが、初動の対応によって互いに結び付き、良い方向にも悪い方向にも動きます。ご本人が配偶者に直接連絡を取ることを我慢し、居所を確保し、証拠に基づいて経過を整理することから、立て直しは始まります。婚姻の行方がどうであれ、日本での生活を続ける道は残されています。早い段階でご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):被配偶者以家庭暴力报警而遭逮捕时|伤害罪与暴行罪、DV防止法的保护命令、「日本人的配偶者等」在留资格与离婚后的转换

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