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退去強制令書が出たら、いつ、どこへ、どのように送還されるのか|送還先・自費出国・難民申請中の送還停止と令和5年改正の例外・送還後の上陸拒否期間

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退去強制令書が出たら、いつ、どこへ、どのように送還されるのか|送還先・自費出国・難民申請中の送還停止と令和5年改正の例外・送還後の上陸拒否期間

退去強制令書が出たら、いつ、どこへ、どのように送還されるのか|送還先・自費出国・難民申請中の送還停止と令和5年改正の例外・送還後の上陸拒否期間

2026/09/14

「退去強制令書が出ました」という一報を受けたご家族から、「明日にも飛行機に乗せられるのか」「送り先は本人の希望で選べるのか」「難民申請をすれば送還は止まるのか」というご質問を続けて受けることがあります。退去強制令書は、退去強制の手続の最終段階で発付される書面であり、これが出た後の流れは、それまでの審査の段階とは性質が異なります。誰が執行するのか、送還先はどう決まるのか、自費で帰国する道はあるのか、送還が止まる場合はどのような場合か、そして帰国後いつ日本に戻れるのか。この記事では、令和5年改正(令和6年6月施行)で変わった点を含め、入管法の条文に沿って令書発付後に実際に起きることを整理します。

本記事の要点

  • 退去強制令書は入管法52条1項により入国警備官が執行し、同条3項により速やかに送還先へ送還され、直ちに送還できないときは収容又は監理措置に付されます。
  • 送還先は入管法53条1項により国籍国が原則で、国籍国に送還できないときに限り、同条2項により本人の希望を考慮した他の国が選ばれ、同条3項により迫害のおそれのある国は除かれます。
  • 自費出国(入管法52条4項)を申請して許可されれば送還先を自ら定める余地があり、同条5項により上陸拒否期間が1年に短縮される決定を受けられる場合があります。
  • 難民認定申請中は入管法61条の2の9第3項により送還が停止されますが、令和5年改正で同条4項の例外が設けられ、3回目以降の申請や重大犯罪者などは停止の対象外となりました。
  • 送還後は入管法5条1項9号により原則5年、2回目以降は10年の上陸拒否期間があり、1年以上の拘禁刑を受けた方は同項4号により期間の経過後も上陸を拒否され得ます。

退去強制令書が発付されると、まず何が起きますか

入国警備官による執行が始まります。入管法52条1項は、退去強制令書は入国警備官が執行すると定め、同条3項は、執行に当たって退去強制を受ける者に令書又はその写しを示し、速やかに同法53条に規定する送還先に送還しなければならないとしています。航空券の手配、旅券の確認、送還先の国の受入れといった条件が整っていれば、発付から日を置かずに送還が実施されることがあります。

他方、直ちに送還できない場合は、同条7項により入国警備官が主任審査官に通知し、主任審査官は同条8項により監理措置に付するか収容するかを審査します。収容する場合は、同条9項により送還可能のときまで入国者収容所などに収容されます。令和5年改正により、収容に代わる監理措置(同法52条の2)が設けられ、逃亡や不法就労のおそれの程度、収容による不利益の程度などを考慮して、監理人の監理のもとで収容しないことが相当と認められるときは、監理措置に付されることになりました。収容中の方やそのご家族は、同法54条により仮放免を請求することもできます。

送還のために旅券が必要であるにもかかわらず失効している場合、主任審査官は同法52条12項により、相当の期間を定めて、旅券の発給申請などの行為を命じることができます。この命令に違反した場合は、同法72条5号により1年以下の拘禁刑若しくは20万円以下の罰金又はその併科の対象となります。

送還先はどこになりますか(入管法53条)

原則は国籍国です。入管法53条1項は、退去強制を受ける者はその者の国籍又は市民権の属する国に送還されるものとすると定めています。中国籍の方であれば、原則として中国に送還されます。

国籍国に送還することができないときに限り、同条2項により、本人の希望を考慮して、日本に入国する直前に居住していた国、入国前に居住していたことのある国、日本に向けて船舶等に乗った港の属する国、出生地の属する国、出生時にその出生地の属していた国、その他の国のいずれかに送還されます。「本人の希望により」とありますが、これは国籍国への送還ができない場合の規定であり、国籍国への送還が可能である限り、本人が別の国を希望しても選ぶことはできません。

同条3項は、前2項の国に含まれない国を定めています。難民条約33条1項に規定する領域の属する国その他その者が迫害を受けるおそれのある領域の属する国、拷問等禁止条約3条1項に規定する国、強制失踪条約16条1項に規定する国は、送還先から除かれます。これが送還における人権保障の中核であり、難民認定申請と結び付いて意味を持つ規定です。

自費出国という選択肢(入管法52条4項・5項)

送還を待つのではなく、自らの費用で出国することができます。入管法52条4項は、退去強制令書の発付を受けた者が自らの負担により自ら本邦を退去しようとするときは、入国者収容所長又は主任審査官がその申請に基づいて許可することができると定め、この場合には令書の記載や同法53条の規定にかかわらず、申請に基づいて送還先を定めることができるとしています。つまり、自費出国の許可を受ければ、国籍国以外の国へ出国する余地が生まれます。

自費出国には、もう一つの利点があります。同条5項は、過去に退去強制や出国命令を受けたことがない方について、法務大臣が、その者の素行、退去強制の理由となった事実その他の事情を考慮して相当と認めるときは、申請に基づき、法務省令で定める日までに自費出国する場合に限り、上陸拒否期間を1年とする決定をすることができると定めています。この決定を受けて期限内に出国すれば、同法5条1項9号ロにより、上陸拒否期間は退去の日から1年となります(短期滞在の活動を行おうとする場合を除く)。通常の5年と比べれば大きな違いですが、決定は法務大臣の裁量によるものであり、退去強制の理由が刑事事件である場合には認められにくい傾向があります。

収容を長引かせないという観点からも、自費出国は現実的な選択肢です。争う余地がない事案では、早期の自費出国と1年の上陸拒否期間の決定を目指す方が、ご本人とご家族の利益にかなうことがあります。

難民認定申請をすれば送還は止まりますか(61条の2の9第3項・4項)

原則として止まりますが、令和5年改正で重要な例外が設けられました。入管法61条の2の9第3項は、難民認定又は補完的保護対象者認定の申請をした在留資格未取得外国人について、退去強制の手続を行う場合でも、申請に対する処分が確定するまでの間は同法52条3項の規定による送還を停止すると定めています。これがいわゆる送還停止効です。

しかし、同条4項は、次の方には3項を適用しないと定めています。第1に、申請前に日本にいる間に2度にわたり申請を行い、いずれも不認定が確定した方、すなわち3回目以降の申請者です(ただし、難民認定を行うべき相当の理由がある資料を提出した方は除かれます)。第2に、無期若しくは3年以上の拘禁刑に処せられた方(刑の全部又は一部の執行猶予を受けた方を除く)、又は同法24条3号の2、3号の3若しくは4号オからカまでに該当する方(テロリストなど)です。これらの方は、難民認定申請中であっても送還が停止されません。

改正前は、申請の回数や内容を問わず送還が停止されたため、送還を免れる目的で申請を繰り返す例があると指摘され、改正に至りました。改正後は、3回目以降の申請では、難民認定を行うべき相当の理由がある資料を提出できるかどうかが決定的な意味を持ちます。過去の申請で提出しなかった新たな資料、本国の情勢の変化を示す資料などを、弁護人とともに整えなければなりません。なお、在留資格未取得外国人が申請した場合、同法61条の2の4により、一定の除外事由に当たらない限り仮滞在の許可が与えられ、同法61条の2の9第2項により仮滞在期間中は退去強制手続自体が停止されます。

令和5年改正で新設された送還忌避への対応

令和5年改正は、送還を拒む方に対する新たな仕組みを設けました。入管法55条の2第1項は、退去強制を受ける者を送還先に送還することが困難な場合として、本人が自ら退去する意思がない旨を表明しており、かつ送還先が退去強制令書の円滑な執行に協力しない国として法務大臣が告示で定める国に含まれていない場合、又は偽計若しくは威力を用いて送還を妨害したことがあり再び同様の行為に及ぶおそれがある場合に、主任審査官が相当の期間を定めて本邦からの退去を命じることができると定めています。この命令に当たっては、あらかじめ本人の意見を聴かなければなりません。

この退去の命令に違反して退去しなかった場合は、同法72条7号により、1年以下の拘禁刑若しくは20万円以下の罰金又はその併科の対象となります。送還を拒むこと自体が刑事罰の対象となり得るという点で、改正前とは大きく異なります。ただし、同法55条の2第2項は、難民認定申請による送還停止、退去強制処分の効力を争う訴訟における執行停止決定、出国の制限のいずれかに当たる間は、命令の効力が停止すると定めています。

このほか、監理措置の導入、旅券発給申請命令とその違反への罰則、仮放免中の逃亡への罰則(同法72条6号)も、送還の実効性を高める趣旨で設けられました。令書が出た後の対応は、改正前の感覚のままでは判断を誤りかねません。

送還されたあと、いつ日本に戻れますか(5条1項9号)

入管法5条1項9号は、退去強制を受けた方の上陸拒否期間を定めています。過去に退去強制や出国命令を受けたことがない方は、同号ハにより退去の日から5年、2回目以降の方は同号ニにより退去の日から10年です。自費出国について同法52条5項の決定を受けて期限内に出国した方は、同号ロにより1年です。

ただし、刑事事件を理由に退去強制された方は、この期間が過ぎても上陸できるとは限りません。同項4号は、1年以上の拘禁刑又はこれに相当する刑に処せられたことのある者を、期間の定めなく上陸拒否事由としており、同項5号は、薬物に関する法令に違反して刑に処せられたことのある者を、刑の軽重を問わず同様に扱っています。これらに当たる方が再入国するには、法務大臣の上陸特別許可(同法12条1項3号)を要します。

想定される刑事手続の流れと退去強制手続の関係

刑事事件を端緒とする退去強制の場合、逮捕から48時間以内の送致、検察官による24時間以内の勾留請求、原則10日と延長10日の勾留という最大23日間の身柄拘束の中で起訴・不起訴が決まり、起訴されれば公判、判決へと進みます。退去強制の手続は、この刑事手続と並行して進められます。入管法63条1項は、刑事手続が行われている外国人について収容しないまま退去強制手続を行うことを認め、同条2項は、発付された退去強制令書を刑事手続の終了後に執行すると定めています。

このため、刑事裁判で執行猶予判決を受けて釈放された当日に、入管に収容されるということが起こり得ます。刑事手続の終了は、退去強制令書の執行の始まりでもあるからです。刑事弁護の段階から、令書が発付された場合の対応(在留特別許可の申請、自費出国、難民申請の要否)を並行して検討しておく必要があります。

在留資格への影響:どの号で令書が出るのか

退去強制令書は、入管法24条各号のいずれかに該当すると認定されて発付されます。刑事事件に関係する号として、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を掲げる4号リ(刑の全部の執行猶予は除く)、薬物事犯で有罪判決を受けた者を掲げる4号チ(刑の軽重を問わない)、別表第一の在留資格で在留する方の特定犯罪を掲げる4号の2(拘禁刑であれば執行猶予でも該当)があります。刑事事件と関係なく、不法残留(4号ロ)、資格外活動(4号イ)が理由となることもあります。

どの号で認定されたかは、その後の手続に影響します。同法61条の2の9第4項2号のとおり、3年以上の実刑を受けた方は難民認定申請による送還停止効を受けられず、同法50条1項ただし書のとおり、1年を超える実刑を受けた方は在留特別許可の要件が厳格になります。令書が発付された後であっても、その前提となる該当性の判断に誤りがあれば、退去強制令書発付処分の取消訴訟と執行停止の申立てによって争う道があります。

なぜ起訴前に不起訴処分を最優先の目標にするのか

この記事で述べた送還の流れは、退去強制事由に該当するという認定から始まります。刑事事件を端緒とする場合、有罪判決がその認定の根拠です。当事務所が、執行猶予判決ではなく起訴前の不起訴処分を最優先の目標としているのは、不起訴であれば有罪判決を前提とする退去強制事由が生じず、令書も送還も上陸拒否期間も問題にならないからです。

執行猶予が付いても在留を失う類型として、薬物事犯(入管法24条4号チ)と別表第一在留者の特定犯罪(同条4号の2)があります。これらの類型では、執行猶予判決の獲得は、送還を遅らせるだけの結果に終わりかねません。刑事の見通しと入管の見通しを一体で立て、不起訴に向けた活動を最初から組み立てることが必要です。

逮捕直後に守るべき三つのこと

第1に、黙秘権です。憲法38条1項は自己に不利益な供述を強要されないことを保障し、刑事訴訟法198条2項は取調べに先立ってその旨を告げることを求めています。刑事手続で作られた調書は、退去強制手続の違反調査や口頭審理でもそのまま用いられますので、逮捕直後の供述は、送還に至る道筋全体に影響します。

第2に、早期の私選弁護人の選任です。刑事事件と退去強制手続を一体で見通し、令書発付後の選択肢まで視野に入れて動ける弁護人が、勾留前の段階から関与することが必要です。

第3に、通訳の質です。捜査機関の通訳人は捜査のための通訳であり、入管の手続でも入管が手配した通訳が用いられます。ご本人の側に立って訳し、口頭審理や自費出国の申請、難民認定申請の場面で正確に意思を伝える通訳が別に必要です。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所では、接見の初動から公判の結審まで、松村大介弁護士が全工程を直接担当いたします。退去強制令書が発付された後の在留特別許可の申請、自費出国の申請、難民認定申請、退去強制令書発付処分の取消訴訟と執行停止の申立てまで、刑事と入管を一体で担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しており、入管の口頭審理や収容施設での面会にも同行いたします。

在留資格を失って不法滞在で起訴された方について、刑事手続と並行して婚姻と認知の手続を実現させ、出入国在留管理庁が公表する過去の許可事例を分析して主張を組み立て、一度の申請で在留特別許可を得た事例がございます。令書の発付を待つのではなく、退去強制手続の早い段階から在留特別許可に向けた資料を整えたことが、この結果につながりました。

冤罪により不法就労助長罪に問われた依頼者の事案では、退去強制事由の判断に故意・過失を要するかを問う訴訟を提起し、上訴審まで争いました。同じ方について、その後、在留特別許可が認められました。この論点は議論の途上にあり、結論を断定することはできません。

このほか、国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象となる事件、世界的に報道された事件への対応経験があり、中国籍の方の重大事件にも多数対応してまいりました。重大事件では送還後の上陸拒否が長期に及ぶため、帰国後の生活まで見据えた助言を行っております。

結語

退去強制令書の発付は、手続の終わりではなく、送還という執行の始まりです。送還先は原則として国籍国であり、本人が自由に選べるわけではありません。難民認定申請による送還停止には、令和5年改正で明確な例外が設けられました。送還を拒めば刑事罰の対象となり得る一方で、自費出国と1年の上陸拒否期間の決定という、早期の帰国を選ぶ方への道も用意されています。どの道を選ぶかは、ご本人の事情、ご家族の状況、将来日本に戻る可能性をどう考えるかによって異なります。令書が出た後であっても、選べる道は残っています。まずは現在の状況を整理するために、ご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):退去强制令书发付之后,何时、送往何处、如何遣返|遣返目的地、自费出国、难民申请期间的遣返停止与令和5年修法的例外、遣返后的上陆拒否期间

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