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中国語で書いた謝罪文を日本の刑事事件で提出するときの注意点と翻訳の実務

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中国語で書いた謝罪文を日本の刑事事件で提出するときの注意点と翻訳の実務

中国語で書いた謝罪文を日本の刑事事件で提出するときの注意点と翻訳の実務

2026/08/13

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

謝罪文は、検察官が起訴・不起訴を判断する際に読む数少ない被疑者本人の言葉です。中国籍の方の場合、まず中国語で気持ちを書き、それを日本語に訳して提出する流れが一般的ですが、直訳では意図が伝わらないことが少なくありません。中国語の定型的な詫びの表現をそのまま置き換えると、日本の実務で期待される、何をしたか、なぜ悪いか、どう償うかという記述が抜け落ちるためです。他方で、事実と異なる記載や、供述調書と食い違う記載は、刑事処分だけでなく、その後の在留資格の判断にも影響します。ここでは書き方と翻訳の勘所を整理します。

本記事の要点

  • 謝罪文は検察官が処分を決める前に読む数少ない本人の言葉であり、定型的な詫びの表現だけでは評価されにくいものです。
  • 中国語の原文をそのまま直訳すると、行為の特定、被害の認識、再発防止という日本の実務が求める三点が抜け落ちがちです。
  • 供述調書や否認の方針と矛盾する記載はかえって不利益に働くため、必ず弁護人の確認を経てから提出します。
  • 不起訴を得られれば拘禁刑に処せられないため、別表第一の在留資格の方は入管法24条4号の2による退去強制のリスクを回避できます。

謝罪文は誰が読み、どこで使われるのですか

結論から申し上げると、謝罪文の主な読み手は検察官と被害者であり、起訴猶予(刑事訴訟法248条)の判断資料として使われます。捜査段階では、被疑者の言い分は取調べを経た供述調書という形でしか記録に残らず、そこには捜査官の要約が入ります。本人の言葉で書かれた謝罪文は、その例外として、反省の具体的な中身を直接伝える手段になります。被害者に示談の一環として届ける場合は、金銭の提示より先に届けることで交渉の入口が開くこともあります。公判に至った場合も情状証拠として取り調べられ、さらに退去強制手続に進んだときは、在留特別許可(入管法50条)の判断で提出する資料の一つになります。読み手が複数であることを前提に、どの場面で読まれても矛盾しない内容にしておく必要があります。

中国語から日本語に訳すとき、どこで意味がずれますか

結論として、ずれが生じやすいのは謝意の表現と責任の引き受け方です。中国語の非常抱歉、深感懺悔といった表現は、日本語に直訳すると強い言葉に見える一方、何について詫びているのかが特定されないまま終わりがちです。日本の実務では、日時、場所、行為の内容を自分の言葉で具体的に書き、被害者にどのような迷惑や損害が生じたかを述べることが重視されます。また、中国語では主語を省く書き方が自然でも、日本語では私がと明示しなければ責任の所在が曖昧になります。翻訳は逐語訳ではなく、原文の趣旨を保ったまま日本の書式に組み替える作業だとお考えください。訳文は必ず本人に読み聞かせ、内容に同意していることを確認します。

事実を争っている場合でも謝罪文を書くべきですか

争う部分がある事件では、謝罪文の提出は慎重に判断すべきです。理由は、謝罪文が事実上の自白として扱われ、後の弁解と矛盾する証拠になりかねないためです。もっとも、事件の一部のみを争う場合には、争わない部分に限って被害者への謝意を述べ、争点に触れない書き方をすることは可能です。例えば、暴行の事実は認めるが傷害の程度を争うといった場合に、行為そのものへの反省と今後の生活態度に限定して書く方法があります。書き分けの可否は証拠の内容によって変わりますので、取調べ対応の方針と一体で決める必要があります。取調べで黙秘を選択している段階で、本人だけの判断で謝罪文を差し入れることは避けてください。

謝罪文は在留資格にどのような影響がありますか

直接の効果はありませんが、間接的な影響は小さくありません。まず、謝罪文が示談の成立を後押しし、不起訴処分につながれば、拘禁刑に処せられないため、別表第一の在留資格の方について入管法24条4号の2の退去強制事由には該当しません。執行猶予付きの有罪判決でも同号に該当してしまう類型があるため、不起訴を目指す意味は大きいといえます。他方、謝罪文に書いた事実関係は、退去強制手続や在留期間更新の審査でも参照されます。刑事処分を軽くしたい一心で、実際より広い範囲の事実を認めてしまうと、その記載が在留資格取消し(入管法22条の4)や更新不許可の根拠として引用されることがあります。刑事と入管の両方を見据えた記載が必要です。

よくあるご質問

謝罪文は中国語のままで提出できますか

中国語のみの提出は避け、日本語訳を付けるのが実務です。検察官も裁判官も日本語で読むため、訳文の質がそのまま評価に影響します。原文と訳文を併せて提出し、訳した者を明示しておくと内容の信頼性が伝わりやすくなります。機械翻訳のみに頼ると、責任の所在や事実の特定が曖昧になりやすい点にも注意が必要です。

謝罪文はいつまでに出せばよいですか

身柄事件では、勾留期間(刑事訴訟法208条により原則10日、延長でさらに最大10日)の満期前が一つの区切りです。検察官はその時点までの資料で処分を決めるため、満期直前ではなく数日前までに提出できるよう準備します。在宅事件でも、事件送致後に早めに出しておくほうが処分の検討に反映されやすくなります。

被害者が受け取りを拒んでいる場合はどうしますか

無理に届けようとすると、接触を避けたいという被害者の意向に反し、かえって不利に働きます。弁護人が預かったうえで、受領の意思が示された時点で渡す扱いにするか、検察官に対して謝罪文の写しを提出し、届ける意思があることを記録に残す方法が現実的です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 盗撮被害の事案において、刑事告訴と示談交渉を担当し、300万円の慰謝料の支払を内容とする示談を成立させた事例(被害者代理人)。
  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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