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旅券の押収と中国側の出国制限|刑事事件で旅券が返らないときの対処と在留手続

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旅券の押収と中国側の出国制限|刑事事件で旅券が返らないときの対処と在留手続

旅券の押収と中国側の出国制限|刑事事件で旅券が返らないときの対処と在留手続

2026/08/13

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

刑事事件になると、旅券が押収されたまま返ってこない、あるいは保釈の条件として弁護人に預けるよう求められることがあります。中国籍の方の場合、これに加えて中国側で出国が制限される可能性を心配される方が少なくありません。旅券が手元にないと、在留期間の更新や資格変更の申請、金融機関での本人確認、転職時の手続などが一斉に滞ります。本稿では、日本の刑事手続における旅券の扱い、中国の出入境管理法に基づく制限の枠組み、そして旅券がない状態で在留を維持するための実務的な手当てを整理します。

本記事の要点

  • 旅券は刑事訴訟法99条により差し押さえられることがあり、身分事項や出入国歴の確認が終われば還付や仮還付を求める余地があります。
  • 保釈では、逃亡防止のため旅券を弁護人に預けることが条件とされる運用が一般的で、これは押収とは別の措置です。
  • 中国の出境入境管理法は、刑罰の執行が終わっていない者や刑事被告人について出国を認めない場合を定めており、日本での手続と別に確認が必要です。
  • 旅券が手元になくても在留手続を進める方法はありますので、期間満了前に入管へ相談し、不法残留(入管法24条2号の2)を避けることが最優先です。

押収された旅券はいつ返してもらえますか

捜査上の必要がなくなった時点で還付を求めることができます。旅券は刑事訴訟法99条に基づき差し押さえられますが、その目的は入国日や出入国の履歴、名義の同一性を確認することにあります。これらの確認は写しの作成で足りることが多く、原本を長期に留め置く必要は通常ありません。弁護人は、還付または仮還付(刑事訴訟法123条)を請求し、必要であれば準抗告を検討します。実務上は、在留期間の満了日が迫っている、勤務先への提示が必要であるといった具体的な不利益を疎明すると、応じてもらいやすくなります。逆に、逃亡のおそれが強く主張されている事案では、原本の返還に代えて写しの交付にとどまる場合もありますので、その場合は入管に対する説明資料として写しをどう使うかを考えます。

保釈のときに旅券を預けるよう言われるのはなぜですか

国外逃亡を物理的に困難にするための条件だからです。刑事訴訟法93条3項は、保釈に住居の制限その他適当と認める条件を付すことができると定めており、外国籍の被告人については、旅券を弁護人に保管させ、出国を試みないことを条件とする運用が広く行われています。これは押収とは別個の措置で、被告人が自発的に応じる形をとります。近年の刑事訴訟法改正では、逃亡防止のための報告命令や位置測定端末に関する制度も設けられており、運用の動向を確認しておく必要があります。弁護人としては、旅券の保管に応じることを積極的に申し出るとともに、勤務先の上司や同居のご家族による監督体制を具体的に示し、保証金の額の相当性とあわせて主張することになります。

中国側で出国が制限されることはありますか

あり得ます。中国の出境入境管理法12条は、中国公民について出国を認めない場合を列挙しており、有効な出入国証明書を持たない場合、刑罰の執行が終わっていない場合、刑事事件の被告人または犯罪の嫌疑を受けている者である場合などが含まれます。日本での事件が直ちにこれに当たるわけではありませんが、中国国内でも並行して立件されている場合には問題になり得ます。また、旅券法に基づき旅券の失効や不発給の措置がとられる場合もあります。制限の有無は個別の事情によりますので、断定はできません。中国側の取扱いについては、駐日の領事機関や中国の弁護士に確認することが確実です。日本側の弁護人は、日本の手続の経過を示す書面を整えることで、その確認を支援します。

旅券がない状態で在留期間が切れそうなときはどうしますか

期間満了前に必ず入管へ相談し、状況を記録に残してください。旅券の原本を提示できないことを理由に申請を諦めてしまうと、不法残留(入管法24条2号の2・4号ロ)に陥り、退去強制手続に進むおそれがあります。実務では、旅券が押収中である旨の資料、たとえば押収品目録交付書の写しや弁護人の報告書を添えて事情を説明し、申請の受理や取扱いについて指示を仰ぐことになります。勾留中でご本人が出頭できない場合は、法定代理人や取次資格のある方の関与も検討します。刑事手続の側では、こうした在留上の切迫を身柄解放の必要性として主張します。最終的には不起訴処分を得ることが、旅券の還付にも在留の維持にも直結します。

よくあるご質問

旅券の写しでも在留期間更新の申請はできますか

原本の提示が原則ですが、押収されている事情を疎明したうえで、写しと押収を示す資料を添えて相談すると、取扱いについて具体的な指示を受けられることがあります。自己判断で申請を見送らず、期間満了前に必ず窓口へ相談してください。

旅券の有効期限が勾留中に切れたらどうなりますか

更新は領事機関の手続となりますが、身体拘束中は本人の出頭が難しく、時間を要します。弁護人を通じて早めに手続の可否を照会し、必要な委任状や写真の準備を進めることが重要です。在留手続の側にも、事情を事前に説明しておくことをお勧めします。

保釈中に旅券を返してもらって帰国することはできますか

できません。保釈は日本国内にとどまることを前提とした条件付きの釈放であり、無断で出国すれば保釈が取り消され、保証金も没取され得ます。やむを得ない事情があるときは、必ず事前に弁護人を通じて裁判所へ条件変更の申立てを行ってください。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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