舟渡国際法律事務所

薬物依存からの回復と在留|治療と再乱用防止の取組みを手続にどう活かすか

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薬物依存からの回復と在留|治療と再乱用防止の取組みを手続にどう活かすか

薬物依存からの回復と在留|治療と再乱用防止の取組みを手続にどう活かすか

2026/08/13

薬物をやめたいと思いながら、それが続かない。この状態を、意志の弱さという言葉だけで説明することはできません。依存は繰り返しの中で形づくられていくものであり、本人の努力だけに委ねられる問題ではないと考えられております。ご相談にお越しになる方の中にも、ご自身を責め続けて疲れ果てておられる方が少なくありません。本記事では、回復に向けた取組みと、それが刑事手続や在留の手続の中で持つ意味を、責めることなく、しかし現実を曇らせることなくご説明いたします。

本記事の要点

  • 警察庁の令和7年における組織犯罪の情勢によれば、覚醒剤事犯の再犯者率は64.6%に上ります。繰り返しは個人の資質だけの問題ではありません。
  • 同じ資料では、大麻事犯の初犯者率は72.6%であり、20歳未満では85.4%となっています。
  • 医療機関への受診や治療プログラムへの参加は、それ自体が回復のための手段であると同時に、手続における客観的な資料にもなります。
  • 入管法50条5項は素行及び人道上の配慮の必要性を考慮要素として掲げており、取組みの記録はここに接続します。
  • 薬物事犯は入管法24条4号チにより有罪判決だけで退去強制事由となるため、起訴前の段階での対応が在留を左右します。

やめられないことは、意志の弱さの問題なのでしょうか

そのように単純化することはできません。依存の状態にある方が繰り返しに至る背景には、身体の反応、生活環境、孤立、心理的な負荷など、複数の要素が絡み合っております。努力していないから続かない、という説明では、実際に起きていることを捉えきれません。

当事務所は、ご相談の場で過去の行為を責めることをいたしません。責めることで回復が進むという知見を持ち合わせていないからです。ご本人が事実を率直に話せる環境を作ることのほうが、弁護活動にとっても、その後の生活にとっても有益です。

統計が示していること

警察庁が公表した令和7年における組織犯罪の情勢によれば、覚醒剤事犯の再犯者率は64.6%です。繰り返しが例外ではなく多数を占めているという事実を、この数字は示しております。ご自身だけが特別に弱いのだ、とお考えになる必要はございません。

他方、同じ資料によれば、大麻事犯の初犯者率は72.6%、20歳未満では85.4%に上ります。まだ繰り返しに至っていない段階の方が多く含まれているということです。いま置かれている段階に応じて、必要な支援は異なってまいります。

参考として、令和7年版犯罪白書によれば、令和6年の大麻取締法違反の起訴猶予率は35.5%、覚醒剤取締法違反の起訴猶予率は8.5%です。ただし、これらは初犯かどうかや行為の態様を区別した数値ではございませんので、そのままご自身の見通しとして受け取られませんようお願いいたします。

医療につながるという選択について

依存が疑われる状態にある場合、まずは医療機関にご相談いただくことが現実的な第一歩になります。専門的な診療を行う医療機関や、回復に向けたプログラムを提供する機関が各地にございます。どの機関が適しているかは症状や生活の状況により異なり、医療の専門家の判断に委ねるべき事柄です。

治療の内容や効果について、弁護士が判断を示すことはいたしません。ただ、受診を始めた事実、継続している事実は、後の手続において客観的な資料として意味を持ちます。診察の記録や参加証明は、保管しておいていただくようお願いしております。

ご家族には何ができるでしょうか

ご家族が最初に直面されるのは、どう接すればよいのか分からないという戸惑いです。厳しく叱ることで解決するのであれば、これほど多くの方が苦しむことはございません。ご本人が事実を隠さずに話せる関係を保つこと。医療につながる手続を一緒に進めること。薬物と接触しやすい環境を実際に変えていくこと。地味ではありますが、これらのほうが確かな効果を持ちます。

ご家族自身が抱え込まれることも避けていただきたい点です。同じ立場のご家族が集まる会や、公的な相談窓口も存在いたします。支える側が消耗すれば、体制そのものが続きません。

  • 受診の予約や同行など、医療につながる具体的な手伝い
  • 住まいや交友関係を含む生活環境の見直し
  • 就労や学業を続けられるようにするための現実的な調整
  • ご家族自身が相談できる窓口を確保しておくこと

取組みを、手続の中でどう活かすのか

検察官が処分を決める前の段階では、弁護人から意見書を提出することがございます。そこでは、繰り返さないための体制が現に整えられているかどうかが重要な要素になります。医療機関の受診状況、治療プログラムへの参加、家族による監督の体制、雇用や学業の継続の見込み。いずれも、口頭の約束ではなく書面と記録で示すことに意味がございます。

在留の手続でも同様です。入管法50条5項は、素行及び人道上の配慮の必要性を考慮要素として掲げております。薬物事案で素行が不利に働くことは避けられませんが、その評価は行為の時点で固定されるものではありません。その後の取組みを時系列の記録として示せるかどうかが問われます。

在留の構造についても、正確に知っておいてください

回復に向けた取組みは大切ですが、それだけで在留が守られるわけではございません。入管法24条4号チは、麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律、あへん法、覚醒剤取締法、麻薬特例法、又は刑法第2編第14章に違反して有罪の判決を受けた者を退去強制事由として掲げており、刑種も刑期も限定しておりません。執行猶予が付いても該当いたします。

したがって、外国人の薬物事件においては、公判で執行猶予を得ることを目標に据える方針は、在留という観点からは目標設定を誤っております。起訴前の段階で不起訴処分を獲得することが、在留を守る完全な出口です。回復に向けた取組みは、その目標に向けた弁護活動を支える具体的な材料にもなります。

当事務所の体制と、これまでの解決事例

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。担当者が入れ替わらないため、ご本人が一から事情を説明し直す負担がありません。中国語については、外国人事件に精通した専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、ご本人のために動く立場の通訳をご利用いただけます。中国語以外の言語については、事案に応じて通訳人を手配いたします。

特殊詐欺の出し子とされた20代の女性について、主観的な事情を総合的に主張して不起訴処分を獲得した事例がございます。受け子として複数回再逮捕された事案では、取調べ対応と不当な取調べへの抗議、丁寧な主張立証を通じて全件不起訴を獲得いたしました。在留の分野では、過去の許可事例を分析することにより、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例もございます。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

回復は直線的に進むものではないと言われております。うまくいかない時期があったとしても、取組みが無意味だったということではありません。医療につながり、生活を整え、その足跡を記録として残していく。その積み重ねが、ご本人の日々を支えると同時に、手続の場で語ることのできる事実にもなってまいります。焦らずに、できるところから始めていただければと存じます。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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