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上陸拒否の期間は何年になるのか|入管法5条1項5号と9号の関係を条文で整理する

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上陸拒否の期間は何年になるのか|入管法5条1項5号と9号の関係を条文で整理する

上陸拒否の期間は何年になるのか|入管法5条1項5号と9号の関係を条文で整理する

2026/08/13

上陸拒否の期間については、5年という数字だけが独り歩きしていることがございます。実際には、入管法5条1項は複数の号を並べており、それぞれ性質の異なる事由を定めております。期間の定めが置かれている号もあれば、置かれていない号もある。この違いを知らないまま帰国の準備を進めてしまうと、後になって想定と異なる事態に直面しかねません。本記事では、薬物に関する刑を受けた方に関わる5号と、退去強制歴に対応する9号との関係を、条文の並びに沿って丁寧に解きほぐしてまいります。誤解の多い論点ですので、順を追ってご確認いただければ幸いです。

本記事の要点

  • 入管法5条1項9号は、退去強制歴等に応じて1年、5年又は10年という期間を定めています。
  • これに対し、同項5号(薬物に関する法令違反により刑に処せられたことのある者)には、期間の定めがありません。
  • したがって、9号の期間が経過しても、5号に該当する限り上陸拒否の事由は残ります。
  • 5号は刑に処せられたことで足り、罰金でも該当します。外国の法令違反も含まれます。
  • 5号に該当する場合、入国するには入管法12条1項の上陸特別許可を求めるほかありません。

5年たてば日本に入れる、というのは正しいですか

退去強制歴だけを見るのであれば、期間の考え方は当てはまります。しかし、薬物に関する法令違反で刑に処せられている場合には、その説明は当てはまりません。入管法5条1項は、複数の上陸拒否事由を号ごとに並べており、それぞれが独立して働くからです。ある号の期間が経過しても、別の号に該当していれば、上陸は拒否されることになります。

つまり、問うべきは「何年たったか」ではなく、「どの号に該当しているか」です。この順序を取り違えると、帰国後の見通しを大きく誤ることになります。

期間の定めがある号(入管法5条1項9号)

9号は、イからヘまでに掲げる者で、それぞれ定める期間を経過していないものを上陸拒否の対象とする、という構造を採っております。イは、6号又は8号に該当して上陸を拒否された者について、拒否された日から1年と定めております。ロは、24条各号(4号オからヨまで及び4号の3を除く)に該当して退去強制された者のうち、52条5項の決定を受け、法務省令で定める日までに52条4項の許可に基づき退去したもの(短期滞在で入国しようとする者を除く)について、退去の日から1年と定めております。

そしてハ以下では、退去強制歴に応じて5年又は10年という期間が定められております。ここで大切なのは、9号が期間という枠組みを持っているという点そのものです。期間が定められているからこそ、その経過によって当該事由は解消されます。

  • イ 6号又は8号により上陸を拒否された者 拒否された日から1年
  • ロ 一定の要件のもとで退去強制された者 退去の日から1年
  • ハ以下 退去強制歴に応じて5年又は10年

期間の定めがない号(入管法5条1項5号)

5号は、麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者を掲げております。この号には、9号のような期間の定めが置かれておりません。

したがって、退去強制の日から1年が経過し、あるいは5年、10年が経過したとしても、5号に該当している限り、上陸拒否の事由は残り続けることになります。9号の期間が満了したことをもって入国できると考えてしまうのが、この分野で最も多い誤解の一つです。

罰金でも該当するのか、外国での刑はどうなるのか

5号は、刑に処せられたことを要件としており、刑の重さによる限定を置いておりません。したがって、罰金であっても該当いたします。この点は、1年以上の拘禁刑又はこれに相当する刑に処せられたことのある者を対象とする4号とは、明確に異なります。4号には刑の重さによる線引きがあり、5号にはそれがない、という対比でご理解いただくと分かりやすいかと存じます。

また、5号は日本国以外の国の法令違反をも明文で含めております。日本国外で薬物により刑に処せられた経歴がある場合も、同様に問題となり得るということです。なお、6号は麻薬・覚醒剤等を不法に所持する者、8号は銃砲刀剣類等を不法に所持する者を、それぞれ上陸拒否事由としており、これらは9号イの1年の対象となります。

退去強制事由の側との対応関係

入国の側の5条1項5号に対応するのが、退去の側の24条4号チです。4号チは、麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律、あへん法、覚醒剤取締法、麻薬特例法、又は刑法第2編第14章に違反して有罪の判決を受けた者を掲げており、刑種の限定も刑期の限定も置いておりません。

他方、4号リは、ニからチまでに掲げる者のほか、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としたうえで、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者等を除いております。執行猶予による除外は4号リの但書に置かれたものであって、4号チには及びません。入る側にも出る側にも、薬物についてだけ緩衝装置が置かれていない。これが制度の実像です。

では、どうすればよいのか

5号に該当する場合、通常の上陸許可の枠組みでは入国できませんので、入管法12条1項の上陸特別許可を求めることになります。法務大臣の裁量に委ねられた特別の許可であり、結果を事前にお約束できるものではございません。それでも、日本にご家族がおられる方にとっては、これが唯一の道筋になります。

そして、この難しさを踏まえるならば、そもそも刑に処せられる前の段階、すなわち起訴前の処分をめぐる段階こそが最大の勝負所であるということになります。当事務所が不起訴処分の獲得を最優先目標に据えるのは、この構造を前提としているからです。

当事務所の体制と関連事例

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。中国語については外国人事件に精通した専属通訳が常駐しており、中国語以外の言語については事案に応じて通訳人を手配いたします。刑事手続終了後の在留資格に関する手続は、提携の行政書士とともに対応しております。

在留特別許可の分野では、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された相談者について、当局と交渉して婚姻と認知を成立させ、過去の許可事例を分析することで一度の申請により在留特別許可を獲得した事例がございます。また、冤罪により不法就労助長罪に問われた女性の事案では、責任主義の射程を問う訴訟を係争中であり、同事件において前例のない在留特別許可を獲得した実績もございます。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

上陸拒否の期間という問いに対する正確な答えは、該当する号によって異なる、というものです。9号には年限があり、5号にはありません。この違いは条文を並べて読めば見えてまいりますが、日常の会話の中では、しばしば5年という数字だけが残ってしまいます。ご自身の状況がどの号に当たるのかを確認することから始めていただければと存じます。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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