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退去強制令書が発付された後は在留特別許可を申請できない|入管法50条3項が定める期限

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退去強制令書が発付された後は在留特別許可を申請できない|入管法50条3項が定める期限

退去強制令書が発付された後は在留特別許可を申請できない|入管法50条3項が定める期限

2026/08/13

退去強制の手続が進んでいく最中は、いつまでに何をしておけばよいのかが分からないまま、日々だけが過ぎてしまいがちです。在留特別許可は、手続のどの段階でも求められるものではございません。入管法50条3項は、退去強制令書が発付された後は在留特別許可の申請をすることができないと明文で定めております。すなわち、令書が出る前に申請を終えておかなければならない、という時間の枠が制度そのものに組み込まれているのです。本記事では、薬物事件によって退去強制事由に該当してしまわれた方とそのご家族に向けて、申請ができる時期と、その限られた時間に何を積み上げるべきかを、条文に沿って落ち着いて整理いたします。

本記事の要点

  • 入管法50条3項により、退去強制令書が発付された後は、在留特別許可の申請をすることができません。
  • 申請ができるのは、同条2項により、収容令書によって収容された外国人、又は監理措置決定を受けた外国人です。
  • 同条4項により、47条3項の認定若しくは48条8項の判定に服し、又は49条3項の裁決を経た後でなければ、在留特別許可はできません。
  • 薬物事犯は入管法24条4号チにより有罪判決だけで退去強制事由となり、24条の3の出国命令も利用できないため、手続は退去強制の一本道を進みます。
  • 不許可の場合には、同条10項により、理由を付した書面で通知されます。

退去強制令書が出た後でも、在留特別許可を申請できますか

できません。入管法50条3項は、退去強制令書が発付された後は在留特別許可の申請をすることができない旨を定めております。ここは解釈の余地が乏しい明文の規定であり、令書が出てしまえば、申請という手段そのものが閉じられます。

この一点だけでも、在留特別許可を求める活動は「刑事事件が全部終わってから考える」というものではないことがお分かりいただけると存じます。刑事手続の途中から、退去強制手続で何を主張するかを見据えて資料を集めておく。その準備の差が、限られた時間の中で結果を分けていきます。

申請ができるのは誰か(入管法50条2項)

入管法50条2項は、在留特別許可の申請ができる者を、収容令書により収容された外国人又は監理措置決定を受けた外国人と定め、法務省令で定める手続により法務大臣に対して行うものとしております。従前は法務大臣の職権発動を促す陳情という位置づけで語られてきましたが、令和5年の改正により申請という形が法律上に位置づけられました。

したがって、ご本人が今どの地位にあるのかを正確に把握することが、最初の作業になります。刑事施設におられるのか、収容令書による収容に切り替わっているのか、監理措置の決定を受けているのか。この確認を抜きにして、申請の時期を組み立てることはできません。

認定・判定・裁決という三つの節目(入管法50条4項)

在留特別許可は、手続の節目を経た後でなければ行われません。入管法50条4項は、47条3項の認定若しくは48条8項の判定に服し、又は49条3項の裁決の後でなければ在留特別許可はできない旨を規定しております。つまり、入国審査官の違反審査による認定、特別審理官の口頭審理による判定、法務大臣の裁決という段階を踏まえて判断される構造です。

つまり、在留特別許可を求める活動には、始まりの側にも終わりの側にも枠があります。始まりは2項が定める地位、終わりは3項が定める令書の発付。その間だけが、主張と資料を届けることのできる時間です。

  • 47条3項の認定に服したとき
  • 48条8項の判定に服したとき
  • 49条3項の裁決を経たとき
  • そして、退去強制令書が発付される前であること(50条3項)

薬物事件では、なぜ時間の余裕が乏しいのですか

薬物事犯は、有罪判決を受けた事実そのものが退去強制事由になるからです。入管法24条4号チは、麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律、あへん法、覚醒剤取締法、麻薬特例法、又は刑法第2編第14章に違反して有罪の判決を受けた者を掲げており、刑種の限定も刑期の限定も置いておりません。執行猶予が付いても、罰金であっても、この条文の射程に入ります。

さらに、入管法24条の3の出国命令は、対象が24条2号の4、4号ロ、6号から7号までに限られたうえ、要件として24条4号ハからヨまでのいずれにも該当しないことが課されております。4号チに該当する方はこの要件を満たしませんので、自ら出頭されても出国命令にはならず、退去強制の手続を進むことになります。手続の分岐がない以上、時間の使い方だけが残された変数です。

令書が発付される前に積み上げておくもの

入管法50条5項は、法務大臣が考慮するものとして、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に入国することとなった経緯、本邦に在留している期間、その間の法的地位、退去強制の理由となった事実、人道上の配慮の必要性を挙げ、そのほか内外の諸情勢及び本邦における不法滞在者に与える影響その他の事情を考慮するものと定めております。薬物事案では、素行と退去強制の理由となった事実が最も重い障害となりますから、それ以外の要素をどれだけ具体的な資料で裏づけられるかが問われます。

そして、仮に許可されなかった場合でも、同条10項により理由を付した書面で通知されます。この書面は、その後に採りうる手段を検討するうえでの出発点になります。何が足りないと判断されたのかを条文の項目に沿って読み解くことができるからです。

  • 同居の実態、生計、養育の状況を示す客観的な資料
  • 在留期間中の就労・納税・社会保険の記録
  • 医療機関の受診状況や再乱用防止に向けた取組みの記録
  • 身元を引き受け、監督にあたる方の書面と、その方の生活基盤を示す資料

当事務所の対応体制

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。事務員や若手弁護士が代わりに動く方式を採っておりませんので、刑事手続の途中で得た事実関係が、そのまま入管手続の主張に引き継がれます。

中国語につきましては、外国人事件に精通した専属通訳が常駐しております。捜査機関が指定する通訳とは別に、ご依頼者ご本人のために動く立場の通訳を刑事手続の全般でご利用いただけます。中国語以外の言語につきましては、事案に応じて通訳人を手配いたします。刑事手続が終わった後の在留資格の更新や変更につきましては、提携の行政書士とともにワンストップで対応いたします。

関連する解決事例

観光目的で来日された相談者が在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案がございます。婚姻と認知が未了であったため一旦は不受理とされましたが、憲法的な観点から当局と交渉して婚姻と認知を成立させ、有利な証拠を集めたうえで、入管当局の過去の許可事例を分析することにより、一度の申請で在留特別許可を獲得いたしました。

また、冤罪により不法就労助長罪に問われた女性の事案では、退去強制事由には故意・過失が不要とする従来の実務を問い直すべく、責任主義の射程を争う訴訟を現在も係争中です。同じ事件では、前例のない在留特別許可を獲得した実績もございます。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

在留特別許可の制度には、入管法50条2項が定める入口と、同条3項が定める出口があります。この二つの間にある時間をどう使うかが、実務のほとんどすべてを占めると申し上げても過言ではございません。順序を知らないまま待つことだけは避けていただければと存じます。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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