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在留特別許可は「申請」できます|令和5年改正が薬物事案にもたらした三つの変化

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在留特別許可は「申請」できます|令和5年改正が薬物事案にもたらした三つの変化

在留特別許可は「申請」できます|令和5年改正が薬物事案にもたらした三つの変化

2026/08/13

在留特別許可については、長らく「法務大臣の職権による恩恵であって、こちらから求める筋のものではない」という説明がなされてまいりました。実務でも、職権の発動を促す陳情という形で書面を提出するのが通例でした。令和5年の改正は、この位置づけを条文のうえで組み替えております。申請の主体が明記され、考慮すべき要素が法律で定められ、不許可の際には理由を付した書面で通知することが義務づけられました。薬物事案に取り組む立場から見て、この三つの変化はいずれも実務的な意味を持ちます。本記事では、条文に即してその内容を確認してまいります。

本記事の要点

  • 入管法50条2項は、在留特別許可の申請を、収容令書により収容された外国人又は監理措置決定を受けた外国人が法務大臣に対して行うものと定めております。
  • 50条5項は、家族関係・素行・在留期間・人道上の配慮の必要性などの考慮要素を法律で明示しております。
  • 50条10項は、不許可処分をするときは速やかに理由を付した書面で通知しなければならないと定めております。
  • 50条1項但書の列挙に24条4号チは含まれておらず、薬物事犯であること自体によって加重要件が課されることはありません。
  • 申請は50条4項の定める段階を経た後に行うものであり、退去強制令書の発付後はできません(50条3項)。

在留特別許可は、こちらから申請することができます

結論から申し上げます。在留特別許可は、条文上、当該外国人からの申請によって求めることができるものと位置づけられております。入管法50条1項は、退去強制対象者に該当する場合であっても、一定の場合には「当該外国人からの申請により又は職権で」在留を特別に許可することができると定めております。

そのうえで、50条2項が申請の手続を定めます。すなわち、在留特別許可の申請は、収容令書により収容された外国人又は監理措置決定を受けた外国人が、法務省令で定める手続により法務大臣に対して行うものとされております。申請の主体が、条文のなかで具体的に示されているということです。

令和5年改正で、実務は何が変わったのでしょうか

変化は三つの点に整理できると考えております。第一に、申請という形式が明文化されたこと。第二に、考慮要素が法律で列挙されたこと。第三に、不許可の場合に理由を付した書面での通知が義務づけられたことです。

第二の点について、50条5項は、法務大臣が考慮するものとして、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に入国することとなった経緯、本邦に在留している期間、その間の法的地位、退去強制の理由となった事実、人道上の配慮の必要性を挙げております。

第三の点について、50条10項は、不許可処分をするときは、速やかに理由を付した書面で通知しなければならないと定めております。判断の理由が示されるということは、その理由が考慮要素をどのように評価した結果なのかを、後から検討できるということでもあります。

誰が、いつ申請できるのでしょうか

申請の主体は、50条2項が定めるとおり、収容令書により収容された外国人又は監理措置決定を受けた外国人です。したがって、まずご自身がこのいずれかの状態にあるかどうかを確認する必要がございます。

申請の時期については、50条4項が、47条3項の認定若しくは48条8項の判定に服し、又は49条3項の裁決の後でなければ在留特別許可はできないと定めております。退去強制手続の段階を踏まえた仕組みになっているということです。

  • 申請できる方=収容令書により収容された外国人、監理措置決定を受けた外国人(50条2項)
  • 申請できる段階=認定・判定に服し、又は裁決の後(50条4項)
  • 申請できなくなる時点=退去強制令書の発付後(50条3項)
  • 不許可のとき=理由を付した書面で通知(50条10項)

薬物事案では、但書の読み方が特に重要になります

在留特別許可の判断には、場合によって加重された要件が課されます。50条1項但書は、無期若しくは1年を超える拘禁刑に処せられた者(刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者、及び一部猶予で執行が猶予されなかった部分の期間が1年以下の者を除く)であるとき、又は24条3号の2、3号の3、4号ハ若しくはオからヨまでに該当する者であるときは、在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情があると認めるときに限る、と定めております。

この列挙に、薬物事犯を対象とする24条4号チは含まれておりません。したがって、薬物事犯であることそれ自体によって、この加重要件が課されることはございません。1年を超える実刑に処せられていない限り、通常の枠組みのもとで判断されることになります。

考慮要素の法定化を、公表事例と結び付ける

出入国在留管理庁は平成16年以降、在留特別許可の許可事例・不許可事例を年度別に公表しております。これらは、行政庁自身が「許可することが相当である」と判断した先例の集積です。当事務所では、ご相談の事案に近い類型を公表事例から抽出する作業を、書面作成の出発点に置いております。

50条5項が考慮要素を法定化したことにより、この作業は以前より構造化しやすくなりました。従前は、事情の全体を並べて総合考慮を求めるほかありませんでしたが、現在は、家族関係についてはこの先例、在留期間についてはこの先例、というように、条文の項目ごとに比較の対象を示すことができます。

そして、同種の事情を有する事案について許可の実績があるにもかかわらず、本件についてのみ異なる取扱いをすることに合理的な理由が見出せない場合には、憲法14条1項の平等原則の観点から問題を提起する余地がございます。ただし、公表事例は記載が抽象化されており、本質的な事情の類似性を軸に組み立てることになりますし、結果をお約束できる手法でもございません。

申請書面をどう組み立てるか

書面は、50条5項の各項目を見出しとして立て、その下に事実と資料を配置する構成が有効だと考えております。薬物事案では、「素行」と「退去強制の理由となった事実」が最も重い項目になります。ここを避けて他の項目だけを厚くしても、説得力は生まれません。事件の経緯を正面から記述し、そのうえで再発防止のための具体的な体制を示すという順序が、結果として伝わりやすいと感じております。

当事務所の体制と、これまでのお取り扱い

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)では、松村大介弁護士が刑事の接見から入管手続の書面作成まで直接担当いたします。在留特別許可の書面は事実関係の細部が説得力を左右いたしますので、経過を把握している者が起案することに意味がございます。

中国語につきましては、外国人事件に精通した専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、ご本人のために動く立場の通訳をご利用いただけます。その他の言語は事案に応じて通訳人を手配し、手続終了後の在留資格の更新・変更等は提携の行政書士とともに対応しております。

お取り扱いの例を挙げますと、在留資格を失って不法滞在で逮捕・起訴された相談者について、当局との交渉により身分関係を整え、入管当局の過去の許可事例を分析することで、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例がございます。また、不法就労助長罪の認定事件において前例のない在留特別許可を獲得した事例、特殊詐欺の出し子とされた20代の女性について不起訴処分を獲得した事例もございます。

在留特別許可をめぐる条文は、令和5年の改正によって、判断の枠組みが外から見える形に整えられました。それは、こちら側が何を主張すべきかが明確になったということでもあります。制度を恩恵として受け身に待つのではなく、条文の項目に沿って主張を組み立てていく。そうした取り組み方が可能になったと考えております。なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ご紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


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