舟渡国際法律事務所

麻薬特例法5条「業として行う不法輸入等」|無期又は5年以上の拘禁刑と罰金の必要的併科

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麻薬特例法5条「業として行う不法輸入等」|無期又は5年以上の拘禁刑と罰金の必要的併科

麻薬特例法5条「業として行う不法輸入等」|無期又は5年以上の拘禁刑と罰金の必要的併科

2026/08/13

組織的な薬物事犯では、麻薬及び向精神薬取締法や覚醒剤取締法に加えて、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律、いわゆる麻薬特例法が適用されることがございます。この法律の5条は、量刑の枠組みが他の条文と大きく異なります。ご家族としては、なぜこれほど重い条文が持ち出されるのか、在留はどうなるのかという二つの不安を同時に抱えることになります。ここでは条文の構造を整理し、手続をどう見通すかをご説明いたします。

本記事の要点

  • 麻薬特例法5条の業として行う不法輸入等は、無期又は5年以上の拘禁刑に1000万円以下の罰金が必要的に併科されます。
  • 同法6条の薬物犯罪収益等隠匿、7条の収受、8条1項の規制薬物としての物品の輸入等も、それぞれ罰則が定められています。
  • 麻薬特例法は入管法24条4号チの列挙法令に含まれており、有罪判決を受けた時点で退去強制事由が生じます。
  • 1年を超える実刑となれば、在留特別許可について50条1項但書の加重要件が課されます。
  • 令和6年の麻薬特例法違反の起訴率は36.8%、起訴猶予率は52.5%です(令和7年版犯罪白書)。

麻薬特例法5条はどのような条文ですか

業として行う不法輸入等を処罰する規定であり、無期又は5年以上の拘禁刑に、1000万円以下の罰金が必要的に併科されます。拘禁刑のみで完結せず、罰金が併せて科される構造をとっている点に特徴がございます。

同法には、このほかにも重要な条文が置かれています。6条は薬物犯罪収益等の隠匿を10年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はこれらの併科としています。7条は薬物犯罪収益等の収受を7年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はこれらの併科としています。8条1項は、規制薬物としての物品の輸入等について3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金を定めています。

なぜ「業として」の認定が争点になるのですか

この一語の有無によって、適用される条文と量刑の幅が大きく変わるためです。

たとえば覚醒剤の営利目的輸入は覚醒剤取締法41条2項により無期若しくは3年以上の拘禁刑とされ、情状により1000万円以下の罰金が併科されます。麻薬及び向精神薬取締法64条1項の営利目的によるヘロイン等の輸入も、無期若しくは3年以上の拘禁刑と1000万円以下の罰金です。これに対し麻薬特例法5条は、下限が5年以上に引き上げられ、罰金が必要的併科とされています。

そのため弁護活動では、反復継続性の有無、組織における位置づけ、報酬の性質と受領の経緯、指示系統の実態といった事情を、証拠に即して具体的に検討していくことになります。関与の程度を正確に描き直すことが、そのまま適用条文の争いにつながる場面です。

統計から見える麻薬特例法違反の位置

令和7年版犯罪白書によれば、令和6年の麻薬特例法違反の起訴率は36.8%、起訴猶予率は52.5%となっています。ほかの薬物関係法令と比べると、覚醒剤取締法違反の起訴率74.2%・起訴猶予率8.5%、大麻取締法違反の起訴率44.1%・起訴猶予率35.5%、麻薬取締法違反の起訴率57.5%・起訴猶予率15.9%という数値が示されております。

もっとも、これらは罪名ごとの総数であり、行為の態様や関与の程度によって内訳は大きく異なります。麻薬特例法違反という枠のなかには、5条のような重い類型から8条のような比較的軽い類型までが含まれておりますので、平均値をご自身の事案の見通しとして受け取ることはできません。

統計は、罪名ごとに弁護の勝負所が異なることを示す手がかりとして用いるべきものであり、結果を予測するための道具ではないと考えております。

在留への影響はどうなりますか

麻薬特例法は、入管法24条4号チが列挙する法令のひとつです。したがって、同法違反で有罪の判決を受けた時点で、退去強制事由に該当いたします。

同号は「有罪の判決を受けた者」とのみ規定しており、刑種にも刑期にも触れておらず、執行猶予による除外もございません。また在留資格の種類も問いませんので、別表第一の就労資格の方も、別表第二の永住者・定住者・日本人の配偶者等の方も、同じ土俵に立たされます。

さらに、実刑が1年を超えた場合には、在留特別許可の局面で入管法50条1項但書が作動し、「本邦への在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情」があると認めるときに限られることとなります。4号チそれ自体は但書の列挙に含まれておりませんが、5条のように下限の高い条文が適用される事案では、この加重要件が現実の問題として立ち上がってまいります。

三つの局面を一体で設計する

重大事案であっても、あるいは重大事案だからこそ、手続を三つの局面に分けて設計しておく必要がございます。

第一の防御は、刑事事件における不起訴処分の獲得です。有罪判決そのものが在留を失わせる以上、公判での執行猶予獲得を最終目標に据える方針は、在留という観点からは目標設定を誤っていると考えております。第二の防御は、退去強制手続における退去強制事由該当性の争いです。第三の防御は、在留特別許可であり、入管法50条5項が法定した考慮要素を積み上げ、公表されている許可事例との均衡から憲法14条1項の平等原則違反を主張していく作業になります。

当事務所の体制について

舟渡国際法律事務所は東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階にございます。松村大介弁護士が、初回の接見から公判の結審まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士による代行は行っておりません。共犯者が複数存在する事案や、公判が長期に及ぶ事案では、担当者が一貫していることが方針の一貫性を支えます。

中国語については、外国人事件に精通した専属通訳が常駐しております。捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続の全般で利用していただけます。中国語以外の言語につきましては、事案に応じて通訳人を手配いたします。

これまでにお受けした事案から

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の徹底的な分析と被告人質問・反対尋問を通じて無罪判決を獲得した事案がございます(A-1)。裁判員裁判対象事件や、報道された重大事件にも多数対応してまいりました。

国際刑事事件、裁判員裁判対象事件、世界的に報道された重大事件への対応実績もございます(E-1)。国境をまたぐ事案では、証拠の所在や関係者の供述の位置づけを丁寧に確認していく必要がございます。

麻薬特例法5条が適用される事案では、量刑の幅も、在留への影響も、通常の薬物事件とは異なる水準で議論されます。もっとも、条文が重いことと、事実の認定が動かないこととは別の事柄です。どの行為が、どの条文の、どの要件に当たると主張されているのかを一つずつ確認するところから始めていただければと思います。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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