舟渡国際法律事務所

THCリキッド・大麻グミ・CBD製品と刑事責任|成分の鑑定と「知らなかった」の争い方

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THCリキッド・大麻グミ・CBD製品と刑事責任|成分の鑑定と「知らなかった」の争い方

THCリキッド・大麻グミ・CBD製品と刑事責任|成分の鑑定と「知らなかった」の争い方

2026/08/13

海外で合法的に販売されていた製品、国内の店頭やインターネットで購入した製品、旅行先で土産として受け取った製品。こうした物から規制対象の成分が検出され、思いがけず捜査の対象となる方がいらっしゃいます。製品の見た目や商品名からは、法律上どの区分に当たるのかが分からないことも少なくありません。外国人の方の場合、ここでの認定が刑事責任の有無にとどまらず、在留の帰趨にまで及びます。本記事では、成分をめぐる争点と、購入時の認識をどう主張していくかを整理いたします。

本記事の要点

  • 大麻は令和6年12月12日以降、麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬として規律されています。
  • 製品にどの成分が含まれていたかは、鑑定によって初めて確定します。商品名や販売時の説明では決まりません。
  • 麻向法上の麻薬に当たると認定され有罪判決を受ければ、入管法24条4号チにより退去強制事由が生じます。
  • 故意(認識)の有無は刑事の争点であると同時に、その後の入管手続における主張の基礎にもなります。
  • 入管法5条1項6号は、麻薬・大麻・覚醒剤等を不法に所持する者を上陸拒否事由として定めています。

海外で合法だった製品なら、日本でも問題にならないのでしょうか

そうはなりません。日本国内での規制は、日本の法令によって定まります。購入した国での適法性は、日本における構成要件該当性を左右しないのが原則です。

大麻については、令和6年12月12日以降、麻薬及び向精神薬取締法上の「麻薬」として規律されています。所持・譲渡し・譲受けは同法66条1項により7年以下の拘禁刑、営利の目的があるときは同条2項により1年以上10年以下の拘禁刑とされ、情状により300万円以下の罰金が併科されます。使用(施用)・受施用は同法66条の2第1項により7年以下の拘禁刑です。輸入・輸出・製造は65条1項1号により1年以上10年以下の拘禁刑となります。

したがって、海外で購入した製品を日本に持ち込む行為は、成分次第では輸入の問題として扱われる可能性がございます。空港での携帯品検査や国際郵便の検査を契機として発覚する事案も見受けられます。

成分の鑑定が出発点になります

適用される法令は、押収された物の成分によって決まります。ここが最初に確認すべき点です。

リキッド、食品、化粧品といった形態の製品では、外形から成分を判断することができません。規制対象の成分が検出されれば麻向法の問題となり、指定薬物にとどまるのであれば医薬品医療機器等法の問題となります。両者は在留への影響の経路が異なりますので、この区別は決定的です。

鑑定に関しては、鑑定資料と押収物の同一性、押収から鑑定に至るまでの保管の経過、鑑定方法と検出された数値の意味など、確認すべき事項がいくつもございます。捜査段階で開示を求め、必要に応じて専門的知見を得ながら検討していくことになります。

「含まれていると知らなかった」という主張はどう組み立てるのですか

客観的な事情の積み重ねによって示していくほかありません。認識は内心の事柄ですから、本人の供述だけで立証されるものではないからです。

検討の手がかりとなるのは、次のような事情です。

これらを丹念に集め、購入から所持に至る経過を一つの筋道として提示していく作業になります。取調べにおける供述は、通訳を介する過程でニュアンスが変わることがありますので、調書の記載を確認する姿勢が欠かせません。

  • 購入した経路と、その際に販売者から示された表示や説明の内容
  • 支払った価格が、規制対象品の取引として不自然でないか
  • 製品の保管状況、他人と共有していたか、隠匿の態様があったか
  • 使用の目的や、購入に至った動機に関する具体的な経緯
  • 通信履歴・購入履歴・レシート等、購入時の認識を裏づける客観資料

故意を争うことは、入管手続にもつながります

刑事段階で認識の有無を争い、その経過を記録として残しておくことには、後の手続における意味がございます。

入管実務では、退去強制事由の判断に故意・過失は要件とされないとする運用が長年踏襲されてまいりました。この運用に対し、松村大介弁護士は、不法就労助長を理由とする退去強制事案において、責任主義の射程が行政処分たる退去強制にも及ぶべきではないかを正面から問う訴訟を現在係争中です。結論を先取りして申し上げることはできませんが、争点として存在している論点です。

製品の成分に関する認識が問題となる事案は、まさにこの論点が現実味を帯びる場面です。刑事手続で認識を徹底的に争い、その主張と証拠を残しておくことが、退去強制手続や在留特別許可の局面における主張の土台となります。逆に、早期の身柄解放を優先して安易に認める供述をしてしまうと、後の手続で取り返すことが難しくなります。

有罪判決を受けた場合に何が起きるか

麻向法違反として有罪の判決を受けた場合、入管法24条4号チにより退去強制事由が生じます。同号は「有罪の判決を受けた者」と定めるのみで、刑種・刑期の限定も、執行猶予による除外もございません。

また、入管法5条1項5号は、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する法令に違反して刑に処せられたことのある者を上陸拒否事由としており、こちらには期間の定めが置かれていません。同項6号は、これらの薬物を不法に所持する者自体を上陸拒否事由として定めています。旅行や短期の滞在で来日された方にとっては、その後の再入国が長く閉ざされることを意味します。

だからこそ、外国人の薬物事件では、公判における執行猶予の獲得を最終目標に据える方針では足りません。起訴前段階における不起訴処分の獲得を最優先の目標として弁護活動を組み立てる必要がございます。

当事務所の体制について

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。事務員や若手弁護士による代行は行わない方針をとっております。

中国語につきましては、外国人事件に精通した専属通訳が常駐しております。捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を刑事手続の全般で利用していただけます。英語・ベトナム語・韓国語等については、事案に応じて通訳人を手配いたします。

これまでにお受けした事案から

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の徹底的な分析と被告人質問・反対尋問を通じて無罪判決を獲得した事案がございます(A-1)。認識の有無が中心的な争点となる事案では、客観的事情の一つひとつを検証していく作業が結果を左右いたします。

冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の救済にあたり、責任主義・過失責任主義の射程を問う訴訟を係争中の事案もございます(D-2)。同事件では、不法就労助長罪の認定がされた事案において前例のない在留特別許可を獲得した実績もございます。

そのほか、国際刑事事件、裁判員裁判対象事件、世界的に報道された重大事件への対応実績もございます(E-1)。

製品の名称や販売時の説明は、法律上の区分を決めるものではありません。まず成分がどう認定されているかを確認し、そのうえで購入と所持に至る経過を客観的な資料とともに示していく。この順序を踏むことが、刑事と在留の双方にとって最も確かな進め方だと考えております。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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