舟渡国際法律事務所

職務質問と所持品検査は適法だったのか|違法収集証拠排除という視点

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職務質問と所持品検査は適法だったのか|違法収集証拠排除という視点

職務質問と所持品検査は適法だったのか|違法収集証拠排除という視点

2026/08/13

路上で声をかけられ、かばんの中身を見せるよう求められ、そのまま薬物が見つかって逮捕された。自宅の前で待たれていた、あるいは車を停められた。こうした経緯で摘発された方から、あのやり方は許されるのかというご相談をいただくことがございます。捜査の端緒がどのように作られたのかは、単なる経緯の問題ではなく、証拠として用いてよいかという法律問題につながります。本稿では、個別の事件の適法性について断定的な評価を述べることは避けつつ、一般論として、どのような視点から検討していくのかをご説明いたします。

本記事の要点

  • 薬物事件では、押収された物そのものが決定的な証拠となるため、収集の過程が争点となり得ます。
  • 職務質問は警察官職務執行法に基づく行政上の活動であり、強制にわたることは許されないとされております。
  • 所持品検査については、承諾の有無や態様、必要性と相当性の観点から限界が論じられてまいりました。
  • 違法があった場合に証拠を排除すべきかは、違法の重大性と、排除することが相当かという枠組みで判断されます。
  • 端緒に関する事実は記憶が薄れやすいため、できるだけ早く時系列を記録しておくことが有益です。

捜査の入口が問題になると、何が変わるのですか

薬物事件では、押収された物や採取された資料が、事実上の中心的な証拠となります。したがって、その物がどのようにして捜査機関の手に渡ったのかという過程は、証拠の許容性に直結いたします。一般論として、収集の手続に重大な違法があり、これを証拠として用いることが相当でないと判断される場合には、証拠から排除されるという枠組みが最高裁の判例によって示されてまいりました。

実務上、この主張が認められる場面は限られております。安易な期待を持っていただくのは本意ではありません。それでも、記録を取り寄せ、時系列を丹念に復元する作業を怠れば、そもそも検討の対象にすらならない。弁護人としては、まずその作業から始めることになります。

職務質問は、どこまで許されるのでしょうか

職務質問は、警察官職務執行法に基づく活動であり、犯罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある者などに対して質問することができるものとされております。あくまで任意の活動であって、相手方の意思を制圧するような強制にわたることは許されないというのが基本的な理解です。

もっとも、現場では任意と強制の境目が判然としない場面が生じます。長時間その場に留め置かれた、複数の警察官に囲まれて立ち去ることが事実上できなかった、車のエンジンキーを取り上げられたといった事情があれば、任意の範囲を超えていないかが検討の対象になり得ます。判断は、質問に至った経緯、疑いの根拠、留め置きの時間、その間のやり取りといった具体的事情の総合によることになります。

所持品検査の限界は、どこにありますか

所持品検査についても、承諾に基づいて行われることが原則とされております。本人が同意していない状況で、かばんの中身を取り出す、衣服のポケットに手を差し入れるといった態様に及べば、実質的には捜索に当たるのではないかという問題が生じます。令状によらずに捜索と同視し得る行為が行われたのであれば、令状主義の潜脱ではないかが問われることになります。

検討にあたっては、次のような事情を一つずつ確認してまいります。個別の事件でこれらがどう評価されるかは、事案ごとに大きく異なりますので、あくまで検討の枠組みとしてご覧いただければ幸いでございます。

  • 検査に先立って、承諾を求める言葉が実際にあったかどうか
  • 承諾したとされる場合、その内容が母語で正確に伝わっていたか
  • 有形力の行使があったか、その程度はどのようなものであったか
  • 検査が行われた時間帯、場所、居合わせた警察官の人数
  • 疑いを抱いた根拠として、後に何が説明されているか

外国人に対する声かけの契機が問題となる場面

外国人の方から、なぜ自分だけが呼び止められたのか分からない、というお話を伺うことがございます。声をかけた契機が何であったかは、疑いの根拠が存在したかという問題と結びついており、一般論としても検討に値する事項でございます。

この点は、社会的にも議論の対象となってきた領域です。当事務所としては、個別の事件について予断をもって評価することはいたしませんが、記録上どのような理由が挙げられているのかを確認し、当時の客観的な状況と整合するのかを検証する作業を行っております。ご本人にとっては思い出したくない場面かもしれませんが、時刻、場所、周囲の人の様子、交わされた言葉を具体的に伺うことが、検証の出発点になります。

端緒を争うことが、在留にどうつながるのか

外国人の薬物事件では、証拠の収集手続に関する検討は、第一の防御線の中核をなします。入管法24条4号チは、麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律、あへん法、覚醒剤取締法、麻薬特例法、刑法第2編第14章のいずれかに違反して有罪の判決を受けた者を退去強制事由と定めており、刑種にも刑期にも限定を置いておりません。罰金でも執行猶予付きでも、等しく該当いたします。

この構造からすると、公判における執行猶予の獲得は、在留という物差しでは到達点になりません。当事務所は、起訴前の不起訴処分の獲得を第一の防御線に据え、退去強制手続における争いを第二、在留特別許可を第三の防御線として、三段構えで設計しております。収集手続に疑問が残る事案では、その点を早い段階で明確に主張しておくことが、第一の防御線を厚くするとともに、後の手続で参照される記録を残すことにもなります。

当事務所の体制について

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当しております。摘発時の状況は日を追うごとに記憶が薄れますので、できる限り早い接見で、当時の経緯を細部まで伺うことを重視しております。

中国語については、外国人事件に精通した専属通訳が常駐しております。捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を刑事手続の全般でご利用いただけますので、承諾の有無や当時のやり取りといった微妙な事実関係も、母語で丁寧に確認することが可能です。中国語以外の言語につきましては、事案に応じて通訳人を手配いたします。刑事手続の終了後の在留資格の手続については、提携の行政書士とともに対応いたします。

これまでにお受けした事案から

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠を徹底的に分析し、被告人質問と反対尋問を積み重ねた結果、無罪判決を得た事案がございます。争点の中心が証拠の評価にある事件では、記録の一つひとつを検証する地道な作業が結論を左右いたします。

また、特殊詐欺のいわゆる出し子とされた20代女性の事案では、主観的な事情を総合的に主張して不起訴処分を獲得しております。国際刑事事件や裁判員裁判対象事件、世界的に報道された重大事件への対応実績もございます。

捜査の入口に疑問が残るとき、それを口に出さずに済ませてしまえば、記録の上では何もなかったことになります。争うべきかどうかは記録を見たうえでの判断になりますが、まずは事実を正確に残すことが第一歩でございます。摘発の場面を思い出せる範囲で書き留め、早めにご相談いただければと存じます。なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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