監理措置と仮放免のどちらを選ぶべきか|8つの判断基準
2026/08/12
入管に収容されたご家族の解放を考えるとき、「監理措置」と「仮放免」のどちらを選べばよいのか、迷われる方は少なくありません。両者はいずれも収容されずに社会内で生活することを可能にする制度ですが、根拠や運用の実情には違いがあります。本記事では、実際の判断に役立つ観点を整理しながら、それぞれの制度の特徴と、どのような事情がある場合にどちらが検討されやすいのかを解説いたします。
本記事の要点
- 監理措置は令和5年改正入管法により新設された制度で、監理人の選定を前提とします。
- 令和6年6月10日から末までの運用実績は、監理措置1,123件、仮放免127件です。
- 監理人の9割以上は被監理者の親族・知人が担っています。
- 退令前の監理措置は、退去強制令書の発付により当然に失効します。
監理措置と仮放免は何が違うのか
監理措置は、令和5年改正入管法により新設され、令和6年6月10日に施行された制度であり、監理人による監理の下、収容しないで退去強制手続を進めるものです。退令前は入管法44条の2以下、退令後は52条の2以下が根拠となります。仮放免は従来から存在する制度であり、収容の執行を仮に停止するものです。監理措置は監理人の選定が要件とされる点、届出義務や条件違反時の取消し等の規律が法律上明確化されている点で、仮放免とは制度設計が異なります。どちらを選ぶかは、監理人となる方の有無や、事案の性質によって左右されます。
実際にはどちらが多く利用されているのか
出入国在留管理庁が公表した運用状況によれば、令和6年6月10日の施行から同年末までの間に、監理措置決定は退令発付前647件、退令発付後476件の合計1,123件でした。これに対し仮放免は、退令発付前42件、退令発付後85件の合計127件にとどまります。また、監理人の属性としては9割以上が被監理者の親族・知人であり、その他は元雇用主、弁護士、行政書士、支援者などとなっています。この数字は、新制度である監理措置が実務上広く活用されていることを示す一方、選択の判断は個々の事案の事情に応じて行われるべきものです。
監理措置を選ぶ際に注意すべき点は何か
退令前の監理措置は、退去強制令書が発付されると当然に失効します(法44条の8)。したがって、退令前に監理措置が認められていても、身柄の安定は退令の有無に左右されるという構造上の限界があります。また、監理措置には監理人の選定が必須であり、監理人は生活状況の把握・指導監督などの責務を負うほか、一定の事由が生じた場合には7日以内の届出義務を負います。監理人を誰に依頼するかは、被監理者との信頼関係や継続的な関与が可能かという観点から慎重に検討する必要があります。
当事務所のご案内
本稿のテーマに関連して、当事務所の取組みと解決実績の一部をご紹介いたします。
世界的に報道された事件を含む重大事案において、弁護活動を担当した経験がございます。
ストーカー規制法に基づく警告処分の取消し等を求めた控訴事件では、「警告は単なる行政指導ではなく法的効果を有する」として処分性を正面から認める判決(令和6年6月26日大阪高等裁判所判決)を獲得しております。行政の措置そのものを争う訴訟に注力してまいりました。
身柄の解放と在留の維持は別の問題でございます。監理措置によって社会内での生活が認められても、退去強制手続そのものは進行いたしますので、在留特別許可を見据えた準備を並行して進める必要がございます。
松村大介弁護士が初動から終結まで全工程を直接担当し、若手弁護士や事務員による代行は行っておりません。外国人事件専属の中国語通訳も常駐しておりますので、言語の壁により事実関係が正確に伝わらないという事態を避けることができます。
※ 解決事例は個別事案の事情に基づくものでございます。同様の結果を保証するものではない点にご留意ください。
初回相談は無料でお受けしております。収容中のご本人との接見についてもご相談ください。
おわりに
監理措置と仮放免のいずれが適切かは、監理人となる方の有無、退令の発付状況、事案の個別事情によって異なり、一律に決められるものではありません。まずはご本人が置かれている段階を確認し、選択肢を整理することから始めていただければと思います。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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