舟渡国際法律事務所

入管庁公表事例の年度横断分析という手法

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入管庁公表事例の年度横断分析という手法

入管庁公表事例の年度横断分析という手法

2026/08/12

在留特別許可を求める主張を組み立てる際、個別の事情を丁寧に説明するだけでなく、入管庁が公表している事例を年度を横断して分析するという手法が、有力な視点として注目されています。ある年に許可された事例と類似する事情が、別の年には不許可とされていないかを確認する作業は、単なる興味本位の調査ではなく、憲法が定める平等原則に基づく主張の土台となり得ます。本稿では、この分析手法がどのような考え方に基づくものか、実務での活用のあり方も含めてご説明いたします。

本記事の要点

  • 入管庁公表事例の年度横断的な分析は、在留特別許可の主張を組み立てるうえで有力な視点の一つです。
  • 憲法14条1項が定める平等原則は、同種の事情に異なる扱いがなされていないかを問う根拠となります。
  • 在留特別許可は法務大臣の裁量による許可であり、令和5年改正により考慮事情が法定化されました。
  • 分析はあくまで主張を補強するための手法であり、特定の結果を保証するものではありません。

なぜ年度を横断して事例を分析する必要があるのですか

在留特別許可は、法務大臣の裁量による特別の許可であり、令和5年改正入管法により、その判断にあたって考慮すべき事情が法定化されました。もっとも、個々の判断の背景にある具体的な事情は事案ごとに異なるため、公表されている事例を単年度だけ見ていても、判断の傾向をつかむことは容易ではありません。そこで、複数年度にわたって公表事例を収集し、類似する事情を持つ事案がどのように扱われてきたかを横断的に分析することで、判断の傾向や重視されている事情を浮かび上がらせる手法が用いられます。これは、個別の主張を補強するための一つの手段であり、分析の結果が特定の結論を保証するものではないことに留意が必要です。単年度の情報だけに頼るよりも、視野を広げることが有益です。この点は、事案ごとの個別事情が特に色濃く表れる部分でもあります。

憲法14条1項の平等原則はどのように関わるのですか

憲法14条1項は、法の下の平等を定めており、合理的な理由のない差別的な取扱いを禁じています。在留特別許可の判断において、ある年度に許可された事案と実質的に類似する事情を有する事案が、別の年度において不許可とされているような状況が確認できる場合には、その取扱いの違いに合理的な理由があるのかという観点から、平等原則に基づく主張を組み立てることが考えられます。もっとも、事案ごとに公表されている事情には限りがあり、表面上の類似性だけで直ちに不合理な差別があると断定することはできません。丁寧な事例の収集と、事情の異同を慎重に見極める分析作業が不可欠であり、拙速な断定は避けるべきです。早い段階からこうした点を意識しておくことで、後の手続もスムーズに進みやすくなります。細部の違いが結果に影響することもあるため、慎重な検討が求められます。

この手法を実務で活かすにはどうすればよいですか

年度横断分析を実務で活かすためには、まず入管庁が公表している事例を体系的に収集し、許可・不許可それぞれの事案でどのような事情が重視されているのかを整理することから始まります。そのうえで、依頼者が置かれている具体的な事情と、収集した公表事例とを比較し、共通点と相違点を洗い出す作業が必要になります。こうした分析は、監理措置の段階から収集してきた生活状況や家族関係、就学・医療事情に関する資料とも密接に関連しており、監理措置から在留特別許可までを見据えた一貫した準備の一部として位置づけることができます。地道な調査の積み重ねが、説得力のある主張につながります。実務上は、こうした準備を怠らないことが望ましいといえます。具体的な進め方については、事案の性質に応じて柔軟に検討する必要があります。こうした視点を欠くと、後になって思わぬ支障が生じることもあります。

当事務所のご案内

本稿のテーマに関連して、当事務所の取組みと解決実績の一部をご紹介いたします。

警察の警告処分をめぐる控訴事件において、警察側の主張を全面的に排斥する判決を獲得しております。行政処分に対する司法審査の在り方を問う訴訟を得意としております。

観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子様を授かったものの、在留資格を失い不法滞在として逮捕・起訴されたという事案では、婚姻・認知の手続が未了であったため当局から一旦不受理とされたところ、憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、在留特別許可の獲得に至った事例がございます。

不法就労助長罪の認定を受けた事案において、前例のない在留特別許可を獲得した実績がございます。退去強制事由の判断に責任主義の射程が及ぶかという論点を、実務上正面から提起した事案でございました。

身柄の解放と在留の維持は別の問題でございます。監理措置によって社会内での生活が認められても、退去強制手続そのものは進行いたしますので、在留特別許可を見据えた準備を並行して進める必要がございます。

当事務所では、松村大介弁護士自身が全工程を直接担当する体制を採っております。外国人の方の事件では、接見・取調べの立会い・入管との折衝・訴訟対応のいずれの場面でも一貫した戦略が必要となるためでございます。加えて、外国人事件専属の中国語通訳が常駐しております。

※ 解決事例は個別事案の事情に基づくものでございます。同様の結果を保証するものではない点にご留意ください。

初回相談は無料でお受けしております。収容中のご本人との接見についてもご相談ください。

おわりに

年度を横断した事例分析は、感覚的な印象論に頼らず、客観的な資料に基づいて主張を組み立てるための手法の一つです。もっとも、分析の結果が特定の結論を保証するものではない点にはご留意ください。地道な調査の積み重ねこそが、説得力ある主張の基盤となります。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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