舟渡国際法律事務所

入管法39条1項・52条5項の「できる」規定をめぐる解釈論

お問い合わせはこちら

入管法39条1項・52条5項の「できる」規定をめぐる解釈論

入管法39条1項・52条5項の「できる」規定をめぐる解釈論

2026/08/12

法律の条文にある「することができる」という一言が、収容という重大な身柄拘束のあり方を左右する——そう聞くと意外に思われるかもしれません。入管法39条1項・52条5項はいずれもこの文言を用いていますが、この規定をどう読むかをめぐって、実務と学説の間で見解が分かれています。本記事では、この解釈論の内容を整理します。

本記事の要点

  • 入管法39条1項・52条5項は、いずれも収容「することができる」と定めています。
  • この文言から、収容しない裁量も認められるべきであるとの議論が有力に主張されています。
  • 実務上は、この裁量が十分に活用されず、収容が原則化されてきたとの指摘があります。
  • 令和5年改正で監理措置が導入されましたが、条文の文言自体は維持されています。

「できる」規定とはどのような意味を持ちますか

入管法39条1項は違反調査等の段階における収容について、52条5項は退去強制令書発付後の収容について、それぞれ「収容することができる」と定めています。法律の条文で「することができる」という文言が用いられる場合、一般的には、行政機関に裁量権が与えられ、収容するかどうかを個別の事情に応じて判断できることを意味すると解されます。この文言に照らせば、要件を満たす場合に必ず収容しなければならないとまでは読めず、収容しないという判断も制度上許容されているとの解釈が成り立ちます。

この解釈論はどのような実務上の意義を持ちますか

もっとも、実務上は、退去強制事由に該当する疑いのある外国人について、この裁量が十分に活用されず、原則として収容するという運用がなされてきたとされ、いわゆる全件収容主義として批判の対象となってきました。「できる」規定である以上、収容しない裁量も認められるべきであるとの解釈論は、この実務運用のあり方に対する理論的な異議申立てとしての意味を持っています。退去強制手続中であることのみを根拠とする無条件・無期限の収容は、恣意的拘禁として憲法31条や自由権規約9条1項に反するのではないかとの批判とも密接に結びついています。

令和5年改正はこの解釈論にどう影響しましたか

令和5年改正入管法により、収容しないで退去強制手続を進める監理措置が新設されたことは、収容の裁量を実質化する方向での制度的な対応の一つと位置づけることができます。もっとも、39条1項・52条5項の条文の文言自体は維持されており、収容の要否について裁判所が直接審査する仕組みも導入されていません。「できる」規定の解釈をめぐる議論は、監理措置という新たな選択肢の運用実態を踏まえながら、なお続いていくと考えられます。この解釈論の到達点は、収容実務全体のあり方を左右する重要な論点です。

当事務所のご案内

当事務所は、行政の判断を司法の場で正面から争う訴訟に注力してまいりました。入管事件もその延長線上にございます。

行政庁の措置について処分性を正面から認めさせた高等裁判所判決を得た実績がございます(令和6年6月26日大阪高等裁判所判決)。行政の判断を司法の場で争う経験を重ねてまいりました。

在留資格を喪失し不法滞在として刑事事件にもなっていた依頼者について、刑事裁判を見据えた被告人質問・証人尋問を実施しつつ、婚姻・認知の手続を成立させ、在留特別許可を得た事例がございます。

不法就労助長罪に問われ強制送還の危機に瀕された女性の事案では、「退去強制事由には故意・過失を要しない」とする従来の入管実務そのものを問い直す訴訟を、現在も係争中でございます。

身柄の解放と在留の維持は別の問題でございます。監理措置によって社会内での生活が認められても、退去強制手続そのものは進行いたしますので、在留特別許可を見据えた準備を並行して進める必要がございます。

当事務所では、松村大介弁護士自身が全工程を直接担当する体制を採っております。外国人の方の事件では、接見・取調べの立会い・入管との折衝・訴訟対応のいずれの場面でも一貫した戦略が必要となるためでございます。加えて、外国人事件専属の中国語通訳が常駐しております。

※ 上記の解決事例はいずれも個別の事情を前提とするものであり、同じ結果をお約束するものではございません。

初回のご相談は無料です。中国語でのご相談にも対応しております。

おわりに

入管法39条1項・52条5項の「できる」という一言をめぐる解釈論は、収容という重大な身柄拘束のあり方を根本から問い直す視点を提供しています。制度の理解を深めることは、ご自身やご家族の状況を考える上での助けになります。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。