退去強制事由の判断に故意・過失は要るか|責任主義の射程
2026/08/12
「知らないうちに法律に違反していた」「悪気はなかった」——退去強制事由に該当するかどうかを検討する際、こうした事情がどこまで考慮されるのかは、切実な関心事です。退去強制事由の判断に故意や過失が必要かという論点は、現在も議論が続く難しい問題であり、当事務所の松村大介弁護士も現在この論点に関わる事件を係争中です。本記事では、この論点の背景と刑事手続との関係をご説明します。
本記事の要点
- 退去強制事由の判断に故意・過失を要するかは、現在も議論が続く論点です。
- 刑事事件で執行猶予判決を得ても、退去強制事由に該当しうる点に注意が必要です。
- 起訴前段階での不起訴処分の獲得は、在留を守る上で決定的な意味を持ちます。
- この論点について、松村大介弁護士が現在係争中の事件があります。
退去強制事由の判断に故意・過失は必要とされていますか
退去強制事由に該当するかどうかの判断において、ご本人に故意や過失があったことが必要とされるかという点は、責任主義の考え方が入管法の解釈にどこまで及ぶかという理論的な問題として、現在も議論が続いています。刑事責任の分野では、責任なければ刑罰なしという責任主義の原則が確立していますが、退去強制事由の判断が刑事責任と同様の枠組みで捉えられるべきかについては、見解が分かれています。この論点は実務上も重要な意味を持ち、当事務所の松村大介弁護士も、この点が争点となる事件を現在係争中です。もっとも、係争中の事件の帰趨について断定的な見通しを述べることはできません。
刑事事件の結果と退去強制の関係はどうなっていますか
刑事事件において執行猶予付きの判決を得られたとしても、そのことが直ちに退去強制を免れることを意味するわけではありません。退去強制事由への該当性は、刑事手続とは別の観点から判断されるため、執行猶予判決という刑事上の結果と、退去強制事由に該当するかという入管法上の判断は、必ずしも一致しないのです。この点は、刑事事件の見通しばかりに注意が向きがちなご本人やご家族にとって、見落とされやすい重要な視点といえます。刑事手続の結果が確定した後になって、退去強制事由への該当性が問題になる場面も少なくありません。
不起訴処分を目指すことがなぜ重要なのですか
以上を踏まえると、在留を守るという観点からは、起訴されて有罪判決を受けること自体を避けること、すなわち起訴前段階での不起訴処分の獲得を目標とする弁護方針が決定的に重要になります。執行猶予付き判決であっても退去強制事由に該当しうる以上、有罪判決を回避できるかどうかが、その後の在留の帰趨を大きく左右するためです。刑事事件の初期段階から、退去強制事由の該当性という入管法上の視点を踏まえた弁護活動を行うことが、身柄と在留の双方を守る上で重要な意味を持ちます。
当事務所のご案内
本稿で扱った問題について具体的なご不安をお持ちの方は、当事務所へお問い合わせいただけます。当事務所は、外国人の方の刑事事件と入管手続を一体のものとして扱ってまいりました。
不法就労助長罪の認定を受けた事案において、前例のない在留特別許可を獲得した実績がございます。退去強制事由の判断に責任主義の射程が及ぶかという論点を、実務上正面から提起した事案でございました。
警察の警告処分をめぐる控訴事件において、警察側の主張を全面的に排斥する判決を獲得しております。行政処分に対する司法審査の在り方を問う訴訟を得意としております。
当事務所が一貫して申し上げているのは、「執行猶予が付いたから日本に居られる」とは限らないということでございます。入管法24条各号は号ごとに構造が異なりますので、どの号に当たりうるのかを見極めたうえで、不起訴処分の獲得を第一の目標といたします。
当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、ご本人・ご家族との打合せから入管への同行まで対応いたします。捜査機関が指定する通訳とは立場を異にし、依頼者ご本人のために動く通訳でございます。手続は松村大介弁護士が全工程を直接担当いたします。
※ 上記の解決事例はいずれも個別の事情を前提とするものであり、同じ結果をお約束するものではございません。
初回のご相談は無料でお受けしております。全国からのご依頼に対応しておりますので、遠方の方もご相談いただけます。
おわりに
退去強制事由の判断における故意・過失の要否は、理論的にも実務的にも重要でありながら、なお決着していない論点です。刑事事件に直面した際には、刑事上の結果だけでなく、入管法上の帰結も見据えた対応が求められます。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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