収容部分の執行停止|認められるための主張立証
2026/08/12
収容部分の執行停止は、身柄の解放に直結する重要な手続ですが、申し立てさえすれば当然に認められるものではありません。裁判所に対して、収容を続けることの相当性に疑問があることを具体的に示す主張と、それを裏付ける資料が必要になります。逃亡のおそれが乏しいこと、収容によって被る不利益が大きいことなど、事案ごとに説得力のある材料を積み重ねることが求められます。本記事では、収容部分の執行停止が認められるために押さえておきたい視点を整理いたします。
本記事の要点
- 収容部分の執行停止は、収容を続けることの相当性に疑問があることを具体的に示す必要があります。
- 逃亡・証拠隠滅のおそれの程度と、収容により受ける不利益の程度が主張立証の中心になります。
- 全件収容主義への疑問を背景に、収容の必要性を丁寧に主張する視点も重要です。
- 3か月ごとの収容の必要性の見直しの機会も、あわせて活用できる場合があります。
どのような主張が中心になるのか
収容部分の執行停止を求める際には、収容を継続することの相当性に疑問があることを具体的な事実に基づいて主張することが中心になります。監理措置の要件を検討する際にも、逃亡・証拠隠滅のおそれの程度、収容により受ける不利益の程度その他の事情が考慮されるとされており、この視点は執行停止の主張立証を組み立てるうえでも参考になります。逃亡のおそれが乏しいことを裏付ける生活状況や身元保証の存在、収容が長期化することで生じる心身への負担や家族関係への影響など、事案に応じて具体的な事実を積み重ねていくことが必要です。
全件収容主義への疑問をどう位置づけるか
入管法39条1項・52条5項は、いずれも収容「することができる」と定めるにとどまり、収容しない裁量も認められるべきであるという議論が有力に主張されています。退去強制手続中であることのみを理由とする無条件・無期限の収容は、恣意的拘禁として憲法31条や自由権規約9条1項に反しうるとの指摘もあります。令和5年改正により収容の必要性を3か月ごとに見直す規律が設けられましたが、収容期間の上限や司法審査までは導入されていません。こうした制度的な背景を踏まえたうえで、個々の事案における収容継続の必要性を具体的に問う主張を組み立てることが、執行停止の申立てにおいても意味を持ちます。
立証のために準備すべき資料
主張を裏付けるためには、身元保証や生活基盤の安定を示す資料、監理人となりうる者との関係を示す資料、健康状態や家族の状況に関する資料など、個々の事情に応じた証拠を丁寧に集めることが欠かせません。あわせて、収容の必要性についての3か月ごとの見直しの機会を活用し、その時点での判断内容を執行停止の主張に反映させることも考えられます。もっとも、これらの主張立証を尽くしても、結論が保証されるものではなく、裁判所の総合的な判断に委ねられます。事案の経過や手元の資料を踏まえて、どのような主張立証が有効かは個別に検討する必要があるため、早期に弁護士へ相談することが望まれます。
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※ 上記の解決事例はいずれも個別の事情を前提とするものであり、同じ結果をお約束するものではございません。
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おわりに
収容部分の執行停止は、収容の相当性に対する具体的な疑問を、事実と資料に基づいて示すことができるかどうかにかかっています。全件収容主義への疑問という制度的な背景を踏まえつつ、個々の事情を丁寧に主張立証していくことが求められます。見通しについては事案ごとに異なりますので、早めに弁護士へご相談ください。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
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