元雇用主が監理人になる場合の実務
2026/08/12
かつて雇用していた外国人従業員が収容され、「監理人になってほしい」と頼まれて戸惑っている元雇用主の方に向けてこの記事を書きます。監理措置制度において、元雇用主は監理人の適格者として明示的に想定されている立場です。雇用関係が終わった後も、被監理者を支える選択肢として監理人という役割があることは、あまり知られていません。本記事では、元雇用主が監理人を引き受ける際の実務上のポイントを整理いたします。
本記事の要点
- 監理人の適格者には元雇用主が明示的に含まれています。
- 退令発付前であれば、就労許可申請との関係を検討する余地があります。
- 監理人は生活状況の把握や相談対応など4つの責務を負います。
- 雇用関係の終了は監理人の届出事由の一つとして位置づけられています。
元雇用主はなぜ監理人になれるのか
監理措置制度における監理人の適格者としては、親族、知人、元雇用主、支援者、弁護士、行政書士などが幅広く想定されており、元雇用主はその一つとして明示されています。かつての雇用関係を通じて被監理者の生活状況や人柄を把握している立場は、主任審査官が収容しないことを相当と認める判断において、一定の考慮要素となり得ます。もっとも、未成年者、精神の機能の障害により責務を果たすことができない者、在留資格を有しない外国人は監理人になることができません。選定にあたっては、監理人承諾書兼誓約書などの提出が求められます。
元雇用主が監理人になる場合に検討したいこと
退去強制令書発付前の段階であれば、被監理者は生計を維持するために必要で相当と認められる場合に限り、許可を受けて報酬を受ける活動を行うことができます。この場合、勤務先は雇用契約書に基づき主任審査官が指定するため、元雇用主が改めて雇用契約を結び、就労許可申請における勤務先となることを検討する余地があります。ただし自営業は対象外であり、法令違反活動や風俗営業、源泉徴収が適正に行われていない企業は不適当とされる点にも留意が必要です。退令発付後は、そもそも就労は認められません。
元雇用主として負う責務と注意点
監理人には、生活状況の把握・指導監督、相談対応・援助、主任審査官の報告請求への対応、そして一定の事由が生じたときに7日以内に届け出るという4つの責務があります。届出事由には、被監理者の未届出・虚偽届出のほか、親族関係・雇用関係の終了も含まれます。元雇用主として関わる場合、既に雇用関係が終了していることが前提となる点で、この届出事由の意味合いも意識しておく必要があります。報酬に制限はなく合意により受領できますが、過度な要求は選定取消事由となり得ます。
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おわりに
元雇用主が監理人を引き受けることは、単なる過去の縁にとどまらず、被監理者の在留や生活を支える現在進行形の関わりとなります。就労許可申請との関係も含め、引き受ける前に具体的な見通しを整理しておくことをお勧めいたします。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
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舟渡国際法律事務所
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