インドネシア国籍の方の監理措置と技能実習
2026/08/12
技能実習生として来日したインドネシア国籍の方が、実習先とのトラブル等をきっかけに退去強制手続の対象となり、監理措置を検討されることがあります。監理人には元の実習実施先が選ばれることもありますが、その場合には制度上の利益相反の問題にも目を向ける必要があります。本記事では、技能実習を経てきた方の監理措置における留意点を整理いたします。
本記事の要点
- 監理人には元雇用主もなることができ、技能実習の実施先が候補となる場合があります。
- 監理人は一定の事由が生じたときに7日以内に届け出る責務を負います。
- 監理人と被監理者の間には利益相反が生じ得ると、関東弁護士会連合会が指摘しています。
- 監理措置の下で無許可の就労を行うと、拘禁刑または罰金の対象となり得ます。
元の実習実施先が監理人になることには、どのような留意点がありますか
監理人は主任審査官が選定するものであり、親族、知人、元雇用主、支援者、弁護士、行政書士など幅広い方が対象となり得ます。技能実習を経て監理措置の対象となった方の場合、それまでお世話になっていた実習実施先の関係者が監理人になることも制度上は可能です。もっとも、監理人には被監理者の生活状況の把握・指導監督のほか、条件違反や無許可就労などの一定の事由が生じたときに7日以内に届け出る責務が課されています。かつての実習実施先との関係が良好であることは重要ですが、責務の内容を正しく理解したうえで監理人となっていただくことが、後のトラブルを避けるために大切です。
監理人と被監理者の間にはどのような問題が指摘されていますか
関東弁護士会連合会は、監理人が被監理者の条件違反等を報告する法的義務を負う一方で、被監理者は生活保護を受けられず原則として健康保険も与えられないため、生存のために違反せざるを得ない状況に置かれることがあり、報告すれば収容・逮捕のリスクに直結するという利益相反の問題を指摘しています。技能実習生であった方が生活の困窮から無許可就労に至ってしまうケースも想定され、この場合、監理人が実習実施先の関係者であれば、報告義務と、これまで築いてきた信頼関係との間で難しい判断を迫られることになります。この制度構造上の問題は、監理人を誰に依頼するかを検討する際に十分に理解しておくべき点です。
無許可就労を避けるためにはどうすればよいですか
退令発付前は、生計を維持するために必要で相当と認められる場合に限り、許可を受けて報酬を受ける活動を行うことができます。無許可での就労は、退令発付の前後を問わず3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金の対象となり得るほか、監理措置決定の裁量的取消事由にもなり得ます。技能実習からの移行にあたって生活費の不安を抱える方は少なくありませんが、無許可就労のリスクを避けるため、就労を希望する場合には必ず事前に許可申請の手続を確認し、監理人や弁護士に相談することが重要です。
当事務所のご案内
当事務所は、入管手続と刑事弁護の双方を扱う法律事務所でございます。いずれか一方だけでは依頼者の在留を守りきれない場面が多いためでございます。
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※ 上記の解決事例はいずれも個別の事情を前提とするものであり、同じ結果をお約束するものではございません。
初回相談は無料でございます。ご家族からのお問い合わせも承っております。
おわりに
技能実習を経て監理措置の対象となった方にとって、監理人の選定と就労のルールの理解は、その後の生活の安定に直結します。利益相反という制度上の課題も踏まえながら、ご自身にとって信頼できる体制を整えていただければと思います。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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