フィリピン国籍の方の監理措置と日本人の子の養育
2026/08/12
日本人との間に生まれたお子さんを育てていらっしゃるフィリピン国籍の方が、在留資格をめぐる問題から監理措置の対象となるケースがあります。収容によらず社会内で生活しながら手続を進められる監理措置は、お子さんとの生活を維持するうえでも重要な意味を持ちますが、条件の内容やお子さんの就学に関する取扱いを正確に理解しておく必要があります。本記事では、この点を整理いたします。
本記事の要点
- 監理措置には行動範囲の制限があり、原則として指定住居の属する都道府県の区域内とされています。
- 未成年者や在学者等については、行動範囲の制限に例外が設けられています。
- 監理人には親族もなることができ、配偶者が監理人となることも制度上可能です。
- 在留特別許可は法務大臣の裁量によるものであり、令和5年改正で考慮事情が法定化されました。
監理措置の条件は、子どもとの生活にどう影響しますか
監理措置には、住居の指定、行動範囲の制限、呼出しへの出頭義務など複数の条件が付されます。行動範囲は原則として指定住居の属する都道府県の区域内に制限されますが、未成年者や在学者等については例外が設けられています。お子さんの通学先や配偶者の勤務先との関係で行動範囲の拡大が必要になる場合には、被監理者と監理人が連名で行動範囲拡大許可申請を行うことができます。日本人のお子さんを養育されている方にとって、この行動範囲の制限がご家族の生活にどのように影響するかを事前に把握しておくことは、日々の生活設計のうえで重要です。
配偶者や親族が監理人になることはできますか
監理人は主任審査官が選定するものであり、親族、知人、元雇用主、支援者、弁護士、行政書士など幅広い方がなることができます。日本人の配偶者やそのご家族が監理人となることも制度上は可能ですが、未成年者、精神の機能の障害により責務を果たすことができない者、在留資格を有しない外国人は監理人になることができません。監理人には、被監理者の生活状況の把握・指導監督、相談への対応、報告請求への対応、一定の事由が生じた場合の7日以内の届出という4つの責務があり、家族が監理人となる場合には、この責務と日々の家族関係との両立をどう図るかが実務上の課題となります。関東弁護士会連合会は、監理人と被監理者との間に生じうる利益相反を制度上の問題として指摘しています。
お子さんの就学はどのように扱われますか
文部科学省からは、監理措置に付される者に対する就学案内等についての通知が発出されており、被監理者の子の就学について案内がなされています。在留資格に関しては、在留特別許可は法務大臣の裁量による特別の許可であり、令和5年改正により考慮事情が法定化されました。日本人のお子さんとの生活実態は、在留特別許可の許否を検討するうえでも重要な事情の一つとなり得ますが、許否は個々の事情を総合的に考慮して判断されるものであり、結果を保証することはできません。お子さんの生活と教育を守りながら手続を進めるためには、早期に弁護士へ相談し、必要な準備を進めることが望まれます。
当事務所のご案内
本稿のテーマに関連して、当事務所の取組みと解決実績の一部をご紹介いたします。
営利目的所持として起訴された薬物事犯につき、所持の故意および営利目的の不存在を主張立証し、無罪判決に至った事例がございます。
不法就労助長罪に問われ強制送還の危機に瀕された女性の事案では、「退去強制事由には故意・過失を要しない」とする従来の入管実務そのものを問い直す訴訟を、現在も係争中でございます。
身柄の解放と在留の維持は別の問題でございます。監理措置によって社会内での生活が認められても、退去強制手続そのものは進行いたしますので、在留特別許可を見据えた準備を並行して進める必要がございます。
当事務所では、松村大介弁護士自身が全工程を直接担当する体制を採っております。外国人の方の事件では、接見・取調べの立会い・入管との折衝・訴訟対応のいずれの場面でも一貫した戦略が必要となるためでございます。加えて、外国人事件専属の中国語通訳が常駐しております。
※ 解決事例は個別事案の事情に基づくものでございます。同様の結果を保証するものではない点にご留意ください。
初回相談は無料でお受けしております。収容中のご本人との接見についてもご相談ください。
おわりに
日本人のお子さんを育てていらっしゃる方にとって、監理措置の条件やお子さんの就学の取扱いは、生活の根幹にかかわる問題です。制度の仕組みを正しく理解し、ご家族の状況に応じた準備を進めていただければと思います。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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