ベトナム国籍の方の監理措置で問題となりやすい点
2026/08/12
技能実習や特定技能で来日したベトナム国籍の方が、就労先とのトラブルをきっかけに退去強制手続の対象となり、監理措置の適用を検討されるケースが増えています。監理措置の下では就労できる範囲が限定されており、無許可での就労は罰則の対象となります。本記事では、ベトナム国籍の方の監理措置において実務上とくに問題となりやすい、就労と監理人選定に関する留意点を整理いたします。
本記事の要点
- 退令発付前は許可を受ければ生計維持に必要な範囲で就労できますが、退令発付後は就労が認められません。
- 無許可での就労は、退令発付の前後を問わず拘禁刑または罰金の対象となり得ます。
- 監理人には元雇用主もなることができ、技能実習の実施先が候補となる場合があります。
- 自営業としての報酬活動は、監理措置の下では許可されません。
監理措置の下でどこまで働くことができるのですか
退去強制令書発付前の監理措置では、生計を維持するために必要で相当と認められる場合に限り、許可を受けて報酬を受ける活動を行うことができます。許可を得るには、許可申請書のほか、労働条件を明示する文書、就業予定機関の所在地等を証する資料、収入・資産を示す資料、監理人による援助額を示す資料などの提出が必要です。勤務先は雇用契約書に基づき主任審査官が指定するものであり、本人が自由に選べるわけではありません。また、自営業は「本邦の公私の機関との雇用に関する契約」に該当しないため許可の対象外とされています。他方、退去強制令書発付後は、速やかな退去が原則であるため就労は認められません。技能実習からの移行を検討される方は、この違いをまず正確に理解する必要があります。
無許可で働くとどうなりますか
退令発付前の無許可就労等、そして退令発付後の就労は、いずれも3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金の対象となり得ます。技能実習や特定技能で来日した方の中には、生活の必要から許可を得ないまま就労してしまうケースも見られますが、これは監理措置決定の取消事由にもなり得る行為です。裁量的取消事由には、条件への違反や不法就労をしたことが含まれており、就労に関するルールを守ることは、監理措置による身柄の安定を維持するうえで重要な意味を持ちます。就労を希望される場合は、必ず事前に許可申請の要否を確認することが求められます。
監理人には誰を選べばよいのですか
監理人は主任審査官が選定しますが、候補としては親族、知人のほか、元雇用主も含まれます。技能実習生であった方の場合、実習実施先であった元雇用主が監理人となることも制度上は可能です。もっとも、監理人には被監理者の生活状況の把握・指導監督や、一定の事由が生じた場合に7日以内に届け出る責務が課されており、就労に関するトラブルを経て監理措置に至った経緯がある場合には、元雇用主との関係性が良好であるかどうかも考慮すべき事情となります。監理人選定にあたっては、責務の内容とご本人との信頼関係の両面から検討することが望まれます。
当事務所のご案内
当事務所は、東京都豊島区高田に事務所を置き、全国からのご依頼に対応しております。遠方の入管施設についてもご相談いただけます。
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※ 過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
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おわりに
ベトナム国籍の方の監理措置では、就労のルールを正確に理解し、監理人との信頼関係を保つことが、身柄の安定にとって重要な意味を持ちます。制度の仕組みを一つずつ確認しながら、無用なトラブルを避けるための準備を進めていただければと思います。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
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