監理措置中に転職を余儀なくされたとき
2026/08/12
監理措置の下で働きながら生活している方が、勤務先の事情や体調などにより転職を余儀なくされることがあります。監理措置における就労は、単に働けるかどうかだけでなく、勤務先そのものが主任審査官の指定を受けている点に特徴があり、転職に際しても一定の手続が必要になります。加えて、退去強制令書発付の前後で就労をめぐる扱いが大きく異なるため、自身がどちらの状況にあるのかを踏まえて考える必要があります。本記事では、転職を検討する際に押さえておきたい制度の枠組みを解説します。
本記事の要点
- 退令発付前は、生計維持のために必要かつ相当と認められる場合に限り、許可を受けて就労できます。
- 勤務先は雇用契約書に基づき主任審査官が指定するため、転職には改めて許可が必要です。
- 退令発付後は、速やかな退去が原則であるため、就労は認められていません。
- 自営業は認められず、法令違反活動や風俗営業などは不適当な職種とされています。
監理措置の下での就労は、どのような仕組みになっていますか
退去強制令書発付前の監理措置においては、生計を維持するために必要で相当と認められる場合に限り、許可を受けて報酬を伴う活動をすることができます(法44条の5第1項)。ここで重要なのは、勤務先が本人の自由な選択に委ねられているわけではなく、雇用契約書に基づいて主任審査官が指定するという点です。また、就労は本邦の公私の機関との雇用契約に限られ、自営業は認められていません。法令違反活動や風俗営業、源泉徴収が適正に行われていない企業なども、不適当な職種とされています。報酬の額についても、生活保護の水準を参考に、資産・収入・監理人による援助見込み等から個別に上限が定められます。
転職を余儀なくされた場合、どのような手続が必要ですか
勤務先は主任審査官の指定によるものであるため、転職する場合には、新たな勤務先について改めて許可を得る必要があると考えられます。申請にあたっては、許可申請書のほか、労働条件を明示する文書、就業予定機関の所在地等を証する資料、収入・資産を示す資料、監理人による援助額を示す資料などの提出が求められます。転職の必要が生じた時点で速やかに準備に着手し、無許可のまま新しい職場で働き始めることのないよう注意しなければなりません。無許可就労は退令発付前の監理措置における不法就労等として、監理措置決定の取消事由になり得る事情でもあります。
退令発付後は、転職の手続自体が問題になり得ますか
退去強制令書発付後の監理措置においては、速やかに本邦から退去することが原則とされているため、就労そのものが認められていません。したがって、退令発付後にある方が転職を検討するという場面は、退令発付前とは前提が異なることになります。自身が退令発付前後のいずれの監理措置に置かれているかによって、就労をめぐる可能性が大きく変わるため、まずこの点を正確に確認することが出発点です。なお、就労可能な在留資格を有する方については、そもそも報酬活動許可の申請自体が不要とされています。個別の該当性については、担当官署や弁護士への確認が確実です。
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おわりに
監理措置の下での転職は、単なる職場選びの問題にとどまらず、主任審査官による指定や許可といった手続を伴う点に注意が必要です。無許可のまま新しい仕事を始めることは避け、事前に必要な準備を進めることが、安定した監理措置の継続につながります。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
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