偽装結婚を疑われて収容された場合
2026/08/12
配偶者ビザの審査や在留期間更新の際に、婚姻の実体を疑われて収容されてしまうケースがあります。ご本人はもちろん、日本人配偶者やご家族にとっても、突然の収容は大きな不安を伴うものです。本記事では、偽装結婚を理由とする収容の後にとりうる監理措置という選択肢や、在留特別許可を求める際の考え方について、入管法の条文に即して整理いたします。ご家族が監理人となることを検討されている方にも参考になる内容です。
本記事の要点
- 偽装結婚を理由とする収容は、退去強制令書発付前の手続として進むことが多く、監理措置の対象となり得ます。
- 監理措置の要件は、監理人を選定できることと、主任審査官が収容しないことを相当と認めることです。
- 婚姻の実体があると考える場合は、在留特別許可を求めて事情を丁寧に主張することが重要です。
- 監理人には配偶者やご親族が就くことが多く、生活状況の把握や届出などの責務を負います。
偽装結婚を疑われるとなぜ収容されるのですか
婚姻の実体がないと入管当局が判断した場合、在留資格の基礎を欠くとして退去強制事由に該当すると判断され、収容につながることがあります。この段階では、まだ退去強制令書は発付されておらず、入管法44条の2以下に定める退令前の手続が進められています。この局面では、監理人となるべき者を選定できること、そして逃亡や証拠隠滅のおそれの程度、収容により受ける不利益の程度その他の事情を考慮して主任審査官が収容しないことを相当と認めることを要件として、監理措置により収容を解かれる可能性があります。もっとも、婚姻の実体をめぐる評価は個別の事情に強く左右されるため、一律の結論を述べることはできません。
監理措置ではどのような条件が付されますか
監理措置が認められた場合には、住居の指定、行動範囲の制限、呼出しに対する出頭義務、その他逃亡を防止するために必要な条件が付されます。行動範囲は原則として指定された住居の属する都道府県の区域内に限られますが、未成年者や在学者等については例外が認められる場合があります。また、主任審査官が必要と認めるときは、300万円を超えない範囲内で保証金の納付を求められることがあります。これらの条件に違反すると、監理措置決定の取消し事由となるほか、逃亡や呼出し不応需については刑事罰の対象ともなり得ますので、条件の内容を正確に理解しておくことが大切です。
在留特別許可を求めることはできますか
婚姻の実体があると考えられる場合には、在留特別許可を求めて事情を主張していくことが選択肢となります。令和5年改正により、在留特別許可の許否判断における考慮事情が法律上明確化されました。また、入管庁が公表している許可・不許可の事例を年度を横断して分析し、憲法14条1項が定める平等原則の観点から、同種の事案との均衡を主張していく方針も考えられます。あわせて、監理人となるご家族が被監理者の生活状況の把握や相談への対応といった責務を理解し、届出義務を含めた制度の仕組みを踏まえて協力していくことが、手続を進めるうえで重要になります。
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おわりに
偽装結婚を疑われての収容は、ご本人にもご家族にも大きな負担を強いるものです。もっとも、退令前の監理措置という制度があり、婚姻の実体を丁寧に説明していくことで状況が変わり得る場合もあります。まずは現在の手続段階を確認し、監理措置の要件や在留特別許可の可能性について整理することから始めていただければと思います。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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