退去強制令書が発付された後も働けますか
2026/08/12
すでに退去強制令書が発付された方から、「その後も働き続けられるのか」というご相談を受けることがあります。結論から申し上げると、退令発付後の監理措置では就労は認められません。本記事では、その理由と、退令前後で扱いがどのように変わるのかを整理します。
本記事の要点
- 退令発付後は、速やかな退去が原則であるため就労は認められません。
- 退令発付前は生計維持のために必要な場合に限り許可を受けて就労できます。
- 退令後の監理措置は法52条の2以下に定められ、退令前とは要件・効果が異なります。
- 無許可で就労した場合は、退令発付後の就労として罰則の対象となり得ます。
退令発付後はなぜ働くことができないのですか
退去強制令書発付後の監理措置においては、就労は認められません。これは、退令発付後は速やかに本邦から退去することが原則とされているためです。退令発付前の監理措置であれば、生計を維持するために必要で相当と認められる場合に許可を受けて就労できる制度がありますが、退令発付後にはこの許可の仕組み自体が存在しません。したがって、退令が発付された時点で、それまで就労許可を得ていた方であっても、その効力は前提を失うことになります。
退令前と退令後とで監理措置はどう違うのですか
退令発付前の監理措置は入管法44条の2以下に、退令発付後の監理措置は52条の2以下に、それぞれ根拠を置いています。要件も、退令前は「収容しないことを相当と認めること」、退令後は「送還可能のときまで収容しないことを相当と認めること」とされ、判断の枠組みが異なります。さらに、退令前の監理措置は退去強制令書の発付によって当然に失効します(法44条の8)。このように、退令の発付という一つの出来事が、身柄の取扱いにも就労の可否にも大きな影響を及ぼします。
生活費はどのように工面すればよいのですか
就労が認められない以上、生活費については監理人による援助や、ご本人の資産、親族・知人からの支援などによって工面していただくことになります。監理人には、被監理者の相談に応じ、援助に努めるという責務があります。もっとも、監理人の援助にも限度があるため、生活の見通しが立たない場合には、所轄の地方出入国在留管理官署にご相談いただくことをお勧めします。
当事務所のご案内
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※ 解決事例は個別事案の事情に基づくものでございます。同様の結果を保証するものではない点にご留意ください。
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おわりに
退令発付後は就労が認められないという原則は、退去を前提とした制度設計に基づくものであり、個々のご事情によって直ちに変わるものではありません。もっとも、退令発付の有無や監理措置の適用状況は個別に異なりますので、まずは現在のご自身の状況を正確に把握することが大切です。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
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