司法審査を欠く身柄拘束|改正後もなお残る課題
2026/08/12
逮捕や勾留といった刑事手続における身柄拘束には、裁判所の関与が予定されています。しかし、入管収容についてはどうなのでしょうか。監理措置の導入によって収容をめぐる規律が変わったとはいえ、収容決定そのものに対する司法審査の有無は、また別の問題です。ご家族が収容されている方にとって、この点を理解しておくことは重要です。本記事では、公表されている事実に基づきご説明いたします。
本記事の要点
- 令和5年改正では収容の必要性を3か月ごとに見直す規律が設けられた
- しかし収容決定に対する司法審査は改正後も導入されていない
- 関東弁護士会連合会はこの点を国際人権法上の問題として指摘している
- 自由権規約委員会・恣意的拘禁作業部会の勧告に十分応えていないとされる
収容決定はどのように行われるのか
入管法上、退令発付前・発付後を問わず、収容や監理措置決定の判断は主任審査官が行う仕組みとなっています。監理措置決定の要件では、退令前であれば逃亡・証拠隠滅のおそれの程度や収容により受ける不利益の程度その他の事情を考慮して収容しないことを相当と認めること、退令後であれば逃亡・不法就労のおそれの程度その他の事情を考慮して送還可能のときまで収容しないことを相当と認めることが求められます。これらの判断はいずれも行政機関である主任審査官の権限に委ねられており、その判断過程に裁判所が関与する仕組みは、収容決定の場面において設けられていません。
令和5年改正が設けた見直しの規律
令和5年改正入管法では、収容の必要性を3か月ごとに見直す規律が新たに設けられました。出入国在留管理庁の公表によれば、この見直しに関する報告は128件あり、うち監理措置決定を命じた件数は10件です。これは、収容の要否を継続的に検討する仕組みを法律上位置づけたものですが、この見直しもまた行政機関内部の手続として行われるものであり、裁判所による審査を伴うものではありません。
司法審査の不存在がなぜ問題とされるのか
関東弁護士会連合会は、収容の必要性が明確な要件とされていないこと、収容決定への司法審査がないこと、退令収容に期間の上限がないことを問題として指摘し、これらの点が改正後もなお是正されていないとしています。そのうえで、自由権規約委員会や恣意的拘禁作業部会の勧告に十分応えていないと述べています。身柄拘束の判断過程に裁判所が関与しないことは、その適正さを外部から検証する機会が乏しいことを意味し、この点が令和5年改正後もなお残された課題として指摘されています。
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おわりに
収容決定に対する司法審査の不存在は、令和5年改正によっても解消されなかった課題として指摘されています。ご家族の身柄拘束についてお悩みの方は、こうした制度の現状を踏まえたうえで、対応をご検討いただければと思います。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
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