監理措置は「全件収容主義」を克服したのか
2026/08/12
入管法は、退去強制手続の対象となった外国人を原則として収容するという運用がなされてきました。これは「全件収容主義」と呼ばれ、長年にわたり議論の対象とされてきました。令和5年改正入管法により監理措置が導入され、収容しない選択肢が制度上明確化されましたが、これによって全件収容主義的な運用は克服されたのでしょうか。監理人を引き受けるかどうかを検討されている方にとっても、この制度の位置づけを理解することは有益です。
本記事の要点
- 入管法39条1項・52条5項は「収容することができる」と定めるにとどまり、収容を義務付けてはいない
- そこから収容しない裁量も認められるべきとの議論が有力に主張されている
- 令和5年改正により監理措置が導入され、収容の必要性を3か月ごとに見直す規律も設けられた
- もっとも収容期間の上限や収容決定への司法審査は、改正後も導入されていない
「全件収容主義」とはどのような考え方か
全件収容主義とは、退去強制手続の対象となった外国人を、要件を満たす限り原則として収容するという運用上の考え方を指します。この背景には、入管法39条1項・52条5項がいずれも「収容することができる」と定めるにとどまっている点があります。文言上は裁量を認める規定でありながら、実務上は原則収容という運用がなされてきたことが、長年にわたり議論の対象とされてきました。収容しない裁量も認められるべきであり、退去強制手続中であることのみを根拠とする無条件・無期限の収容は恣意的拘禁として憲法31条・自由権規約9条1項に反するとの議論が有力に主張されています。
監理措置導入によって何が変わったのか
令和5年改正入管法により、監理人による監理の下、収容しないで退去強制手続を進める監理措置が導入されました。あわせて、収容の必要性を3か月ごとに見直す規律も設けられています。出入国在留管理庁が公表した運用状況によれば、この見直しに関する報告は128件あり、そのうち監理措置決定を命じた件数は10件とされています。このように、収容の要否を継続的に検討する仕組みが法律上位置づけられたこと自体は、従来の運用からの変化として評価できる面があります。
それでも残されている課題
もっとも、監理措置の導入によって、収容期間の上限や収容決定に対する司法審査までが設けられたわけではありません。関東弁護士会連合会は、収容の必要性が明確な要件とされていないこと、収容決定への司法審査がないこと、退令収容に期間の上限がないことを問題として指摘しており、これらの点は改正後もなお是正されていないとしています。監理措置は収容しない選択肢を制度上明確にした点で意義がある一方、全件収容主義をめぐる議論の根本部分が解消されたとまでは言い切れない状況にあります。
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おわりに
監理措置の導入は、収容しないという選択肢を法律上明確にしたという点で一定の意義があります。しかし、収容期間の上限や司法審査といった課題は、改正後も残されたままです。ご自身やご家族の状況が、この制度上どのように位置づけられるのかを踏まえたうえで、対応をご検討ください。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
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覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
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